村井 悠

村井 悠

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君の名はアーセナル-第4章 -「ダイチ・エヴァートン&ボーンマス」-

「ダイチ・エヴァートンへの敗北はアルテタ・アーセナルが抱えるいくつかの問題点を明らかにし、絶好調だったチームに大きな影を落とした。そして、ボーンマスへの劇的な逆転勝利は優勝へ突き進む情熱と実感をエミレーツに与え、ネルソンという「ローカル・ヒーロー」を生み出した。この二試合は、2022-23シーズンのガナーズを語る上で避けては通れないものであり、アーセナルを主人公とする物語において、確かなターニングポイントとして存在している筈だ。」  アーセナルは2022ー23シーズンの前半

    • 君の名はアーセナル -第3章「トランスファー・ウィンドウ」-

      フィクション作品において、最初から主人公が完璧な存在であることは少ない(最近はそういう作品も見かけるが)。魅力的な主人公は優れた才能や能力と同時に大きな問題点を抱えており、物語の中で課題解決に取り組むことで、次第に完璧な存在へと近づいていく。  2022-23シーズンのアーセナルに関して言えば、一番の問題点は昨シーズンに引き続き「層の薄さ」にあった。2022年夏の移籍市場におけるフロントの働きは素晴らしく、シティから獲得したジェズスとジンチェンコ、マルセイユへのローンから復

      • 君の名はアーセナル -第2章「ケミストリー」-

        「主人公(チーム、組織なども含む)が様々な要因から、想定された以上の結果を残す」という様なストーリーのフィクション作品は、数多く存在している。それでは、その物語において主人公が残した結果・成果の根拠・理由となっているものは何だろうか。それは一つではないが、恐らく最も重要なのは「ケミストリー」の存在だと思う。  「ケミストリー」という単語は様々な場面で用いられるが、もとは「化学反応・化学現象」という意味だ。フットボールを語る為に訳すなら、「相乗効果」ということになるだろうか。

        • 君の名はアーセナル -第1章「ラスト・ピース」-

           2021-22シーズンのアーセナルは、「5位」でプレミアリーグの最終節を終えた。この結果に関しては、人によって評価が分かれるところだと思う。開幕3連敗を喫して、早々にアルテタの解任論が叫ばれながらも、何とかチームを立て直したという点では良いシーズンだった。久しぶりにシーズンを通してCL争いに食い込んだという意味でも、「古豪」という二つ名を払拭し、チームが正しい方向へ向かい始めた雰囲気もあった。  ただ、シーズン終盤に調子を落とし、CL出場権をあと一歩の所でトッテナムに搔っ

        君の名はアーセナル-第4章 -「ダイチ・エヴァートン&ボーンマス」-

          君の名はアーセナル -前書き-

          「2022ー23プレミアリーグを一つの物語とするなら、主人公はアーセナルだ。彼らが持つケミストリーは、単なる戦術的な語りに留まらない魅力を有している。4月27日に2位マンチェスター・シティとの天王山を迎える前に、今シーズンの彼らが描いた軌跡とエキサイティングな物語を振り返りたい。」 ・前書き  2022-23シーズンのプレミアリーグも終盤に差し掛かり、優勝争いは白熱の様相を呈している。30節が終わった時点で、首位アーセナルの勝ち点は「73」、2位マンチェスター・シティの勝ち

          君の名はアーセナル -前書き-