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読書日記(3)【八咫烏シリーズ2・3】

結構前に八咫烏シリーズの第一作、【烏に単は似合わない】のコミカライズを読んだ。和風ファンタジーに後宮が舞台というもう面白いわけがないだろうと思って読んだらやっぱり面白かった。
以下、シリーズ3作目までのネタバレを含みます。


続く【烏は主を選ばない】と【黄金の烏】の原作を読んだのだが、非常に面白かった。
特に3作目の方では山内という世界観がようやく形を持ち始める。
なぜ八咫烏が人型になることを人形(じんけい)と呼び、本来の姿であるはずの方を鳥形(ちょうけい)というのか。人間(本来の意味での)がいないならば、人形という言葉が生まれるはずがない。
また、外界という存在も朧げながら見えてきた。
山内と貿易を行っている天狗のいる世界はおそらく人間界のことで、天狗は人間に見つからないようひっそりと暮らしているということ。
山内は人間界の狭間に生まれた世界で、今はその世界が崩壊しかかっているということ。

それにしてもずっとグロテスクとしか言いようがない設定がある。
生きていく術を持たない八咫烏は、一生を鳥形で過ごすという縛りのもと、人形の八咫烏に「馬」として養われることになる、という設定だ。
人間にとっての馬と同じで、空輸や移動手段として使われる。同じ種族なのにだ。しかも普段は厩に繋がれるらしい。
見た目が変わるから罪悪感のようなものは持たないのだろうか?
身分の上下がはっきりしている世界観だから別に誰も違和感を持たないのだろうか?
「馬」という言葉が作中で出るたびに心臓の下あたりがざわりとする。気持ちが悪くてしかたがない。
奴隷というシステムと同じなのかもしれないけれど、なんだかもっと酷いもののように感じる。私が「奴隷」というものの歴史的な背景をしっかり知らないからかもしれないが。

とりあえず、山内が完全な異世界ではなく、人間の世界と地続きかもしれないということがわかり、今後の展開がより一層気になるものになった。
4作目は、2、3作目の主人公の雪哉が勁草院に入り山内集を目指す話らしい。
どんな仲間や敵が出てくるのかたのしみだ。

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