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秘密の時間

 夜の二二時〇三分。秘密の時間が始まる。スマホのLINEの通知を翌朝の八時〇〇分までOFFにする。これでスマホに邪魔されることもない。そして一冊の小さな古びた文庫本を片手にお布団に潜り込む。お布団の中は湯たんぽ入りでぽかぽかと温かい。寒くもなく暑くもなく丁度良い温度。心地よい。
 寝転びながら文庫本を開く。今日の文庫本は古本屋さんで手に入れた。手垢まみれで長い月日を生きてきた感じがする。ノスタルジックな匂いが鼻腔を擽る。思う存分堪能し文庫を読む。舞台は古き良き時代を描いている。主人公はイケメンな女の子。ストーリーは冒険あり。友情あり。愛憎劇あり。読み応えあり。予想以上に面白い。先の展開が気になる。どんどん読み進めていく。
 一息いれる。ふと壁時計を見上げる。壁時計の長針、短針は一二の文字盤で止まっていた。大慌てで文庫本に栞を挟み片付ける。今日はもうお終い。秘密の時間の続きはまた今度。

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眠れない夜に

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