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景色

 夢見た景色はお日さまが地面を照らし合わさり、鈍き色に輝く世界だった。可憐ながら無邪気な笑顔、小さくとも光に満ち満ちた希望が溢れるおとぎばなしの景色だった。感情が揺さぶられた景色だった。

 夢見た景色は月光色に輝き幻想を閉じ込められた世界だった。己が抱く淡い初恋心、無色透明だったがそこに確かにあった友情、静かだが強固な希望、いつの日にか壊れてしまった心と薄汚れた涙を繊細に包み込んでくれた。寒々としており、心細くなるがあの頃の自分からは逃げ出せた。

 現実の景色はどこか空虚で極彩色に彩られており混沌としていた。退廃に満ち満ちており、希望と失望が濁っていた。現実の景色では一欠片の愛情が寄る辺もない状態で涙を流しながら弱々しく輝いていた。現在も一欠片の愛情が存在することを証明していた。

 過去に夢見た景色に思いを馳せながら生きていく。今日も今日とて心が疲れながら人間関係に悩みながらも生きていく。もがき苦しみ涙を流した現実の景色の先でどんな夢見た景色を見るのだろうか?



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