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猫の日

 二月二二日。猫の日。二〇年前の古びて色褪せた一枚の写真を見つける。其処に映るのはもうこの世にはいない彼。一匹で佇む姿。まだ彼が若かりし頃の姿。凜々しい姿に懐かしさと切なさを覚える。
 彼と出逢いは自宅のガレージ。一人遊び中にいつの間にかふらっと現れた。彼に興味津々。少し離れた距離から眺める。彼は人の目を気にせず顔を洗う。前脚を器用に使いこなしゴシゴシゴシゴシ洗う。顔を洗い終わり声を掛けた。「初めまして。こんにちは。貴方何処から来たの?」彼は鳴かず何処かへ走り去る。驚かせた?
 その後彼は何度もガレージに来て勝手に定住。追い出せず結局飼育することになった。名と首輪を付け彼の食と住を整える。飼育当初噛まれ爪で傷を付けられる。その度に「猫なんて大嫌い」精一杯の悪口。吐くが即日仲直り。月日を経る毎に距離が縮まり離れたり。そんな関係が五年前まで続く。
 五年前。彼は大人になり年老いた。歩くのがやっとの状態。もう彼の終わりが近い。寂しい。まだ彼と生きたい。願いは虚しく叶わず。彼は外出後家に帰らず。彼の帰りを待つが風の噂で虹の橋を渡ったことを知る。ペットロス。
 現在。心の怪我はまだ治療中。彼の写真を眺め「生まれてきてくれてありがとう。私たちの家族になってくれてありがとう」 

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