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カフェ・モカロール

 昨日の午後三時。外では土砂降りの雨粒が窓硝子を叩く。外の景色は濃く真っ白い霧が立ち込め遠く聳え立つ山どころか近くでギラギラ輝くネオンの看板ですら見えない。一面霧。霧。霧。何も外の景色が見えないことにそっと溜め息を吐く。仕方がない。どうしようもない。どうすることも出来ない。
 昔風の小さな花々が散りばめられた小皿におやつをのせる。今日のおやつは一個のモカロール。
どことなくレトロ。ノスタルジック。そして新鮮。何故だろう?日本の近代文学的にも感じられる。近代文学作家と関係あるのかな?
 珈琲が飲めない頃はモカロールを食べて珈琲を飲んだ気分を味わう。どんぐりの背比べ程の背伸び。たった一歩でも大人気分。たった一歩でも大人ぶる。
 珈琲が飲めるとモカロールと共におやつの時間。珈琲は敢えてブラック珈琲。珈琲の苦味を好む大人へと変貌。もうあの頃の純粋で無垢な姿とは、おさらば。さようなら。別れの詩を口ずさむ。



 

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