除夜の鐘
一二月三一日。大晦日の夜。二〇二二年の終わりの日。神社で除夜の鐘をつく。鐘をつくまでの間に二〇二二年に起こった出来事を思い出す。振り返る。行列に並ぶ周囲の人は「今年は楽くて面白い一年だった」「来年も良い一年になりますように」そんな声がちらほら聞こえる。同行していた友人から「今年はどんな一年だった?何があった?LINEで聞けなかった分教えて」聞かれた。聞き出してくるだろうと思ってはいたが、素直に答えられない。素直に答えたくはない問いもある。迷いながらも口に出した答えは偽りの自分。創り上げた作り話の自分。その答えに友人は満足したのかそれ以上は聞いてこなかった。その友人の姿にほっと安堵するが同時に隠し事をしていることへの罪悪感と後悔が同居した。友人は「来年こそ世界が平和になりますように」自分は「来年になったら少しでもいいから友人に自分に素直になれるように」心からの願いを二〇二三年の世界に託した。
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