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本日の自転車活動 ツール・ド・ちゃんぽん キングコース105km 4位 2023年10月22日

割引あり

距離:101.20km(正式には105km)
時間:4:01:32
速度:22.7km/h
平均心拍:156bpm
最大心拍:194bpm
平均ケイデンス:83rpm
最大ケイデンス:182rpm
獲得標高:1,537m
カロリー:2,494kcal

  今日は待ちに待った自転車イベントの日である。今回走るのは昨年も走った「ツール・ド・ちゃんぽん」である。昨年も出走したので、そちらの記事もよければぜひ。それでは本編へ。


  当日は4時起きだった。最近何かと早起きの生活を心がけているためにさして苦ではなかったが、それでもやはり4時と5時の差は大きいような気がする。5時ではYOASOBIの「三原色」よろしく「空は白み始め」ているのだが、4時ではまだまだ星空が見えていた。綺麗なオリオン座の下でコーヒー片手にいそいそと準備を始め、6時くらいに家を出発した。そして昨年と同様、朝の6時半に長崎駅に集合した。
  なぜにこんなにも早く家を出て集まって走るのか、と言えばそれは単に、車がないからである。大学生たるもの免許を持っていないわけではないのだが、いかんせん車がない。しかも人だけ乗せるならまだしも自転車込みで、である。詰まるところ人を移動させるようの車一台、自転車を人数分乗せられるような車一台の計二台を借りる必要がある。別に幹線道路や車通りの少ない道を走るならまだしも、現地周辺は自転車を車で持ってくる参加者ばかりで駐車場が混み合っているという話も昨年とある参加者から小耳に挟んだ。というわけで今回も車での送迎なしの自走による参加となってしまった。長すぎるアップと思えばこれくらいの長さ、耐えられないほどではない。
   しかし昨年と違う点がもう一つある。それは参加者についてである。前回、我がサークルから参加したのは私を含めて三人(うち一人はその活動を機に見ていない)。だが今回は五人である。しかも一年生での参加である。なかなかに稀有である。一年生は何に遠慮しているのか定かではないが大体参加しない。恐らく体力についてだろう、とは思われるがそんなことは彼は気にしなかったらしい。以前の記事でも書いたのだが、彼曰く、「一年生はみんな参加するものだと思ってました」とのこと。別に弱虫ペダルのウェルカムレースだったりするわけではないのだからもっと気楽に構えてほしいところではあるが、心意気としては本当に立派である。この調子で来年以降も部の伝統になっていければ、と思っている。
  さて、全員が集まってきたところで出発した。時刻は7時前。朝日が進行方向右側から差し込んでくるにつれて、澄んだ青空が顔を覗かせ始めていた。今日は絶好の自転車日和である。そう思いながらペダルに力を込め、寒々とした空気の中を五人で切り裂きながら目的地へと向かっていった。

  恐竜博物館へ着いたのは8時少し前のことだった。今回はサークルライドではなかったので、先頭の現部長(S田)がそこまで速度を出さなかった。理由は一年生の子(K)を気遣ったからだった。驚くべきことなのだが彼は4月から入部していたわけではない。夏休み明けの10月から入部したのである。だから多くとも今回は五回目のライドということになる。だからこそ自転車に慣れていないだろう、という配慮のもとゆっくり走行していた。いつの間にかそんなことまで考えられるようなペース配分ができるようになるなんて。しみじみと成長を感じた。


  会場についてまずは受付を済ませた。今回も参加賞をもらったのだが、前回と違って刺繍入りのバスタオルだった。正直これは前回と同様、Tシャツの方が嬉しかった。そして受付を済ませ、博物館前の草原でサークルのAくんと合流した。一応サークルメンバーではあるが、今回は別の友達と一緒に走るとのこと。そんな彼らと話していると、私たちの横に少しだけ小さな集団が形成されていることに気づいた。どうやら写真を撮ってもらうために並んでいるようなのだが、その中心にいたのがなんとあの渡辺航先生であった。
  渡辺先生といえばロードバイクに乗っている人間なら誰しも知っているだろう「弱虫ペダル」の作者である。そして何を隠そう、私のロードバイク入門のきっかけとなった作品でもある。ここで今まで語っていなかった自転車に関する回想に入る。

  私は2020年に高校を卒業し、その年に大学に入学した。その年といえば、世界中のほとんどがまだ体験したことのないほどのウイルスの脅威に悩まされていた。当然の如く催される予定だったイベントは全て中止になり、大学も入学式から日々の授業までオンラインで行われていた。大学に入ったら何か新しいことをしよう、と決心していたのにも関わらずサークルの体験会そのものがなくなってしまったために何もしていなかった。いや出来なかったのである。そんな自動車学校か大学の講義を受けるかしかしていない日々を送っていた。
  しかしこのままではいけないと思い、いろいろなところへ、せめて長崎県内だけでも回ろう、外出しようと思うようになった。しかし日中は両親が車を使用するため、おいそれと借りることはできない。だったら公共交通機関で、と考えたが行き先が限定されるし、それに何より時刻に縛られる。それが非常に嫌だった。そうなると金のない大学生が取れる手段は限られてくる。結果、自宅近くの自転車屋に赴き、初めてお下がりではない自分だけのクロスバイクを買ったのである。
  私はすぐに自転車の魅力というものに引き込まれた。自分の力でどこまでも行けるし、好きな時好きな場所で過ごすことができた。それに何より速いし、漕げば漕ぐ分だけ進んだ。詰まるところ頑張れば頑張った分だけ目に見える成果として長距離を走ることができた。その成功体験そのものが楽しかったのだ。そのせいもあってか購入し1ヶ月後には長崎市内で走ったことのない道はほとんどないくらいまで走り込み、大村湾一周、雲仙岳登頂をするまでになっていた。
  それと同時にアニメや漫画が好きだった私は自転車関係の作品を漁るようになっていった。そこで出会ったのが「弱虫ペダル」だった。物語の序盤までは何者でもなかった小野田が最終的にインターハイを制するまでに至るところに、その努力に、そして仲間たちに非常に心を打たれた。そして以前より余計に自転車にのめり込むようになった。結局夏休み中はひたすらに弱ペダに感化され、毎日のように走り続け、夏休み明けにはサイクリング部に入部を決めていた。そしてあれよあれよという間にロードバイクまで買うようになり、トレーニングを積むようになり、現在に至ったのである。

  そんな私の人生を大きく変えてくれた作品を生み出した作者本人が私の目の前にいたのである。しかも今ならそんなに待ち時間はなかった。だったら行くしかないと、覚悟を決めた。少しうわずった声で写真をお願いしたところ、快く受け入れていただいた。本当に嬉しかった。


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