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カンボジア国立博物館

はじめに

カンボジアは国民の9割以上を仏教徒が占める国です。また、9世紀から数百年続いたクメール王朝のように長く繁栄した歴史を持っています。クメールルージュによって多くが破壊されたものの、歴史の遺産も数多く残されています。そのような遺産のいくつかが国中から集まっているのが、この国立博物館です。
いまは上座部仏教が主ですが、クメール王朝の時代は大乗仏教やヒンズー教が信仰されていました。そのためその当時の石像にはそのおもかげが見られます。また、どことなく日本で見慣れた仏像にあるようなおだやかな雰囲気が感じられます。


場所

プノンペンの中心部にあります。
私が行ったのは4月で現地では真夏にあたる時期でした。日中は40度近くまで気温が上がり、とても歩いていられません。なので、移動には躊躇なくトゥクトゥクを使ってました。

館内

チケットオフィスとカフェ

門を入ってすぐ右手にチケットオフィスがあります。
チケットオフィスの右手奥のほうに進むと、雰囲気のよいカフェがあります。感じがよいからなのか、パソコンを持ち込んで仕事か何かをしている人たちでいっぱいです。テラス席もあるのですが、なにせ暑いのでみんなエアコン付の建物の中にいました。
チケットオフィスからそのまままっすぐ進むと博物館の建物が見えます。
なお、博物館にはエアコンはいっさいありません。博物館内にもちいさなカフェがありますが、こちらにもエアコンはありません。

館内の構成

ざっくり説明しますと、3分の1がアンコール期の石像、3分の1がアンコール期以降の石像や木像、残りが銅像など、という構成です。

館内マップ


(館内は写真が禁止だったため以下写真はあまりありません。)

アンコール期以降の石像、木像

建物を入って右を奥のほうに進むと、突き当りに仏像が並んだ部屋があります。
国内各地から集められた立像や座像(木像)が整然と並べられています。30体ほどあったでしょうか。その真ん中の一番奥に首から上の仏像(石像)があります。厳しい中にも静かな雰囲気が感じられます。
この部屋は、現地の人も厳粛に感じるのか、みな裸足で入ります。特に靴を脱ぐようサインがあるわけでもありません。カンボジアのお寺には裸足で入りますが、この部屋は博物館というよりもお寺のように感じられるからでしょう。そして皆さん花をお供えしていきます。学生たちがわいわい言いながら入ってきても、靴を脱いで手を合わせて帰っていきます。

アンコール期の石像

上の立像の部屋を出て、16-18世紀ごろの仏像や彫刻などがある部屋を抜けると、アンコール期やそれ以前の石像が置かれている部屋になります。
8世紀ごろから14世紀ごろまでの石像が見られます。日本の平安時代ぐらいから鎌倉時代にあたる時代の石像がいくつも集められています。さすがです。
時代による変遷も分かります。8世紀ごろのものは、まだどことなく外国人風というかインド調な雰囲気を漂わせているですが、12世紀ごろのものになると顔つきも地元の人たちのそれに近づいてくるのが分かります。また静かでおだやかな雰囲気の像が多くなります。
入ってすぐ、12世紀ごろの胸から上の石像がいくつか並んでいます。これがよかった。アンコール期以降の像とはまったく異なる雰囲気で、一言で言うと静かなのです。たとえばこちら。王様の石像ですが、静かな感じがします。

博物館ウェブサイトよりhttps://www.cambodiamuseum.info/image/collection/stone_object/jayavarman_big.jpg

こういう、静かに内面を見つめるかのような表情をした石像がいくつも並んでいます。なかなか見応えがありました。
アンコールのお寺の入口のレリーフもあります。アンコールワットにあるものと違い、目の前に間近に見れます。何人もいる登場人物のそれぞれの表情とか動物とかが細かく彫られているのがよく分かります。
仏像といいレリーフといい、石像を作る技術的な面だけでなく、心情の表し方などから、アンコール朝は文化的にも発達した時代だったのだとよく分かりました。

おわりに

カンボジアの長い歴史の一端が見える博物館でした。
プノンペンの街中にいると、そういう歴史的な側面に触れる機会はあまりありません。街中に古いお寺があちこちにあるわけでもないですし。博物館に行くと、カンボジアの重厚な歴史に触れることができます。
上で挙げた以外にも数多くの石像や木像があり、なかなか見応えがありました。私は2時間ほどかけて回りました。
整えられた中庭もあり、疲れたら庭の脇のカフェで冷たいものを飲みながらゆっくりできます。建物の中であってもなかなか暑く、ずっといるとじわりと汗ばんできました。

中庭。インスタスポットになってました



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