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014.職業が喜びを構成する国民
産業革命以来の世界の産業・経済の趨勢などを歴史から学んだ現代の日本人が、冒頭でご紹介したような言葉を聞けば、多くの人は、これは日本のことだと思うはずです。
受講者のみなさんが、「日本」という答えにいたったのは、
・「この国ではヨーロッパの発明は巧みに実用化される」
・「そこでは人びとは勤勉であるが、発明者たちはほとんどいない」
・「職業が喜びを構成し勤労が楽しみをもたらしている」
・「常に改良を施す。いつもなにか新しい工夫をこらしている」
などのフレーズが脳裏に残ったためでしょう。
職業が喜びを構成し、勤勉であり、常に工夫をこらし改良を続けているということばが、日本人の姿とシンクロしてきたのだろうと思います。
これらのことばはすくなくとも企業の中間管理職から上の方がたには、私たち自身のイメージとしてそのままあてはまるはずです。しかし、それが京の町で新選組が跋扈していた19世紀中頃(幕末!)に書かれたものだとタネを明かせば、そのころの日本人の働き方が、「職業が喜びを構成し勤労が楽しみをもたらしている」ものだったかどうかとたんに自信を失うはずです。
21世紀初頭のいまでは、作業を効率化し、品質を安定させるために日常的に行われる小さな工夫や改善とともに、勤勉さ、働くことへの姿勢も日本のものづくりの大きなアドバンテージと考えられています。
かつて日本のサラリーマンの労働時間は、先進国の中でもきわだって長いとされていました。最近では、祝日/祭日の増加、週休2日制、産休・育児休暇等の導入などで、だいぶ改善されてきていますが、それでも、日本人に対する第一印象として、「勤勉」をあげる人はまだ多いでしょう。
日本人でさえ、「日本人とは?」と問われれば、時代は変わり、世代交代が進んだといいながら、ランクの上位に、勤勉ということばがあげられるはずです。
あたかもDNAにしっかりと組みこまれたようなこうした日本人の「勤勉さ」ですが、この「勤勉さ」は、どこからきたものなのでしょうか。
ここで、もう一つ質問です。
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