(7)現代中国語に革命をもたらした日本語
■漢字には品詞もなく、性も数も格も、変化もない。
・所有を表わす日本語の「~の」に当たる文字として「的」、
・位置を表わす前置詞的な「~に」は「在」や「里」などを入れ、
・ (~に関して) 「関于」、
・ (~によって) 「由于」、
・(~と認める)「認為」)
・ (~と見なす) 「視為」、
なども、日本語を翻訳する過程で生まれた。(P.515)
■日本語の表現力を導入し、句読点を入れる
さらに句読点を入れたり、横書きにしたりするようになったのも、日本文の影響だった。
そして、日本語にならい、
・「西洋化」の「化」や ・「中国式」の「式」
・「優越感」の「感」、 ・「新型」の「型」
・「必要性」 の「性」、 ・「文学界」の「界」
・「生産力」の「力」 ・「価値観」の「観」
というような文字を使って語彙を増やしていった。
この結果、中国語の表現はそれまでとは比較にならないほど豊かになり、緻密さと論理性が加わるようになった。 (P.515)
■現在の中国語は文法も語彙も日本からの借用の結果
こんな風に、日本語が現代の中国語に大きな影響を与えてきたとは、まったく知識もなかった。
岡田も書いているように、「両国の人々が心に留めておいていい事実ではないだろうか」。本当にそう思う。
これは、第二次大戦後に賠償などの意味を含めて、日本が中国で橋脚の整備などインフラ整備にかなりの額のODA予算を投じながら、中国国民に刺激を与えるといけないという中国政府の要望で日本の資金協力を伝える「記念碑」などを設置しなかったために、日本が中国に対して多大なインフラ整備支援を行ったということが中国の人たちにまったく知られていないという事態になっていることにも通じる。
このことには、サンフランシスコで講和条約に中国が参加していなかったというちょっと複雑な事情がからむのだが。
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