カゲロウの果実
僕はカゲロウの木。
芽吹いてから枯れるまで24時間しかない木だ。
僕のやることはただ一つ。
果実をつくり落とすことだけ。
そして、それを繰り返さなければいけない。
他のカゲロウが言った「神様って残酷だよね」
僕もそう思う。なにせ24時間しかないのだから。しかも、その24時間ですら無理やりの休息で減らされる。全くもって嫌になる。
けれど、こんな僕にも夢がある。
それは川の向こうの景色を見ること。
そのために一日一日、目的地に近い果実を落とす。
枝が伸びず、今日と変われないこともあるけど、果実を落とす。
暴風が吹いて、後ろに飛ばされることもあるけど、果実を落とす。
落として落として、前に進む。
こんなに健気な僕を無視する神様は残酷だ。
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