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深夜大学を抜け出して、チャイ屋に行った話【女子大生のインド留学🇮🇳】

この記事は以下の記事に続く内容です。

記事を開いてくださりありがとうございます。
前回に引き続き、インド留学記を書いていきたいと思います。

前回の内容は
インドの下水処理場
について書いているので、ご覧ください〜

簡単にインドに行くまでの経緯

前回も紹介しましたが、私はIITH(インド工科大学ハイデラバード校)に留学するためにインドに行きました。

IITHは世界でもトップクラスの頭脳を誇る学生が集まる名門大学…
そんなIITHへ留学するプログラムが大学で発表されて
ずっとインドに行きたかったこともあり、
こんな機会を逃すわけにはいかまいと大学一年のこの夏に10日間渡印することになりました。
(詳しい内容はこちらをご覧ください)

初めに

本当に後から考えたらすごく危険だし,こんな軽々しくとらえてはいけない話だと思います.
(もちろん男の子6人くらい周りについていてもらっていましたが)女子が日本でも深夜に外に出るのは危険だと言われているのにインドで外に遊びに行くなんて,マジでやばいことだと思います.
(後から聞きましたが,この時インド人の男の子たちは襲われた時用のために刃物を潜ませていたとか)
殺される確率なんて普通にあったと思います.
ただ,初めてルールを破って,本当のインドを見た瞬間だと感じました.
だからこそシェアしたいと思ったのでこの記事を書きたいと思います.

夜の散歩のきっかけ

下水処理場にいるとき,先輩から秘密の話があると言って話を聞かされました.
その内容は,なんと前日にチャイを飲みに行ったということ.さらに校内じゃなくて校外のお店だというのではないですか.
私たちは日本から来たというのもあって,IITH側の先生が気を使ってあまり外に出ないようなプログラムを計画してくださっていました.
そんな中聞いた秘密の話.
インドのことを知りたい一心で来たように、好奇心が強すぎる私には,まぶしすぎるくらい羨ましい話.
そんなわけで自分から「次行くとき絶対言ってくださいね!!」とその時に言いました.
この時はどんなことになるのか想像もできませんでした…

いざ出発

放課後のお楽しみ時間も終わり,夜ご飯も食べてもうあとはシャワーを浴びるだけという11時過ぎごろだったと思います.
出かけるからロビーに集まれと秘密で呼びかけられます.
集まったら管理人さんに見つからないようにそっとIGHを出て、10分以上歩いて正門まで向かいます.

IITHでは深夜に生徒が出歩くことはよくあるそうです.そのため,正門には深夜であっても警備員さんが常駐し,確認を行っています.
その確認は,生徒証をかざして誰が出ていったのか確認するというもの.
私たちは何食わぬ顔で通ればいいよと言われ,ニヤニヤしながら通ったんですけど、本当に普通に通っちゃいました.
このようなことをしたことがなかったので,本当にドッキドキ.ただ,不安よりも楽しさが明らかに勝っていました.
この時点でおそらく12時近かったと思います.

学校の前の道.普通に道路が100キロくらいの速さで駆け抜けていきます.

大学の目の前には大通りが.田舎といえど,車は絶えず爆速で目の前を通過していきます.この道沿いを10分ほど歩いてチャイが飲める場所まで行きます.

チャイを飲む場所までは舗装されていない道路脇をずんずん歩いていきます.すぐ横は茂みだったり,田んぼだったりが広がっており,家はほとんどありません.
私は危ないからという理由で左右にインド人の男の子,前後ろにも先輩とインド人の男の子4人が囲んでくれる厳重体制で出発.
その子たちはよくチャイを飲みに行くと言っていたので,慣れた様子でした.
一方,高速で駆け抜けるトラックがすぐ横を通る状況が初めての私は非常に怖がっていました.

道に住んでる人

その日にもいらっしゃいましたが、茂みには家族が。(次の日にはいませんでした)
私は横目でそっと見た程度でしたが、皆毛布を被り、しんとした様子でこちらを見ていました。
私たちも道路に出るわけにはいかないので、茂みの方に寄っていました。そのためその家族との距離は本当に近かったです。

物理的な距離がこんなに近くても、その背景にあるものは本当に別世界であるこの2グループ。まさに違和感。今までに感じたことのない感情が込み上げました。

すれ違ったのはほんの一瞬だったのに、あの光景が忘れられません。こんな瞬間がインドに行ってからいくつもありました。

爆速で駆け抜ける車の合間を走って渡る

チャイ屋さんまでには難所があります。それが2車線×2の道路を渡らなければならないこと。しかも、田舎なんで車もトラックもビュンビュン飛ばして行きます。100キロ近かったと思います。
インドに来て、沢山の人がいる都市の道路をずんどこ歩いて渡ってく、みたいなことは想像してたけど、いやまさかの田舎で、100キロ出してる車の合間を縫って走るとか考えてなかったって汗…そんな道路を生まれてこの方渡ったことがない私は、衝撃(と興奮)でもう足がすくんでしまいます。
インドの学生は慣れたもので、タイミングをわかっているようです。
そんな私に気を遣いながら、しっかりと手を握ってくれて、タイミングを見計らって、、、、
” let’s go!!!!”
と1人が叫んで一斉に渡って行きます。

一度道路の真ん中で反対方向の車の出方を見ます。そしてまたタイミングを読んで、
“lets go! let’s go!!!!!!”
と叫んで無事みんな渡り終えられました。

しっかり手を握ってくれていたから渡られたけど、もうあからさまに逃げ腰になっている自分。でも渡ってみるとそれがめちゃくちゃ楽しい。これが生まれて初めて親や先生の言いつけを破ってしたやばいことです。インドに来てからどんどん殻が破れて行きますが、ここで思いっきり卵の殻をガチんと割ってもらえたような気がします。

眠らないチャイ屋さん

あぜ道を10分ほど歩いて、恐怖の道路を渡って到着したのはサービスエリアのような場所です。後に知りましたが、この場所を”dhaba”と言うそうです。dhabaの意味は『インドの道路沿いの大衆食堂』のようです。インドの田舎にはこのような店が数百メートルおきに見られます。

この場所にはお菓子や飲み物、タバコ等が売っています。
ここについた時は12時半を過ぎていました。
初めてdhabaを見た時の印象は、
“まさにインド人の生活をみている!!”
という感じ。
深夜にも関わらず、小さな子供からおじいさんまで幅広い年齢の方がいらっしゃいます。日本で言う王将とかの感じ。インド人の生活の一部を覗き見ているような気分でした。

注文カウンターの下にはケーキが売られています

チャイかコーヒーかが選べ、一つ10ルピーだったと思います。
チャイもコーヒーもどちらも甘いので、どちらを選んでも私的には変わりません。ですが、チャイの方がスパイスや香りを感じます。チャイが嫌いな子がコーヒーを飲むという感じです。

チャイの淹れ方

ではここからチャイができるまでを見て行きましょう。

会計が先になりますので、そこで注文して支払いします。支払い時にいただいたレシートを持って机で待っておきます。
呼ばれたらレシートを持ってお兄さんに渡します。

お兄さんはレシートを確認して、調理台の上にあるレシート刺しにレシートを刺します。
次に丸いお盆を持ってきて、その上にチャイカップを乗せて行きます。

すると次にオレンジのフィルターを取り、そこに温かい牛乳にスパイスを入れて煮込んだチャイの素を取り、濾していきます。

出来上がったチャイは綺麗に等分されて完成。お兄さんが目で相手してくれるので、勝手に持って行きます。

これで皆さんもカンペキ!

チャイ屋さんの様子

出来上がったチャイはテーブルで飲むことができます。ここで談笑するのがインド流。

チャイを待っている様子

カウンターは道路に面するように設置してあり、開放的な空間になっています。机はテラスだけでなく地面にもあって、おじさんたちが談笑していました。

おじさんもいっぱい

驚いたことが、小さな子供までいたこと。なんてったって、この時間は深夜の1時です。子供も普通にきゃっきゃっとして遊んでるし、すごくないですか。
私が一緒にいていたインドの友達も大体深夜まで普通に起きていたので、基本的にインド人の夜って長いんだなあと感じました。

これが学生の遊び方や

チャイを飲んで帰ろうかと思っていた矢先、
「もうちょっと散歩しようよ」とのお誘いが。
そんなん、インドまで来たのに乗らないわけないじゃないですか、ねぇ〜。(←本当に危ないですね)
そんなわけで、早速チャイ屋さんを出て道路をもう一度渡り(恐怖)、大学とは反対方向へ道路沿いを進みます。

大学の側には大きな湖があって、それをぐるっと回っていくというルートでした。
そんな途中の道は本当に普通に人が暮らしている田舎町という感じ。人の暮らしを覗き見するような経験をしました。

インドの住宅街

はじめに通ったのは住宅街。大きな道路沿いには五階建て程度のマンションがあったりしますが、ほとんどは一軒家です。多くの家は平屋か二階建てで、立派な門があり、ピンクや黄色のパステルカラーをしています。ですが本当に深夜なので普通に怖い。

また、多くの家は大型犬を飼っています。すごく大きくて勇ましい感じ。道にもワンちゃんがいます。(あれはワンちゃんじゃない、ワンです。)

家に近づくとワンが感知して吠えます。吠えたらものすごく響きます。私は狂犬病のことがあったのですごく怖がっていたのですが、『気にしたらもっと吠えられるから』と言ってインド人の友達は無視していました。

ワンに吠えられながら家の明かりもついていない真っ暗な道を歩いて行きます。
民家の中にはいくつかヒンドゥー教の小さな寺院があります。その壁には壁画が描かれていたり、屋根の辺りには細かい彫刻があってとても特徴的です。また、格子の向こうにはずらっと神様の像が並んでいます。このような小さな寺院は至る所にありました。

ヒンドゥー教の寺院

住宅街にある小さな寺院

途中で寺院を二つ見つけましたが、そのうちの一つで簡単な参拝をしました。一つの神様が祀られた本当に小さな場所でした。何段かコンクリート階段を上がった先にお祈り場所があり、その目の前の格子の奥に神様の像が見られます。人々はその像の前にお花を置いたりするそうです。その時も最近備えられたんだろうなと思われるお花がいくつもありました。

ヒンドゥー教の寺院は裸足で入るのが原則のようで、階段を上がる前に裸足になります。もちろん屋外なので砂もありますし、特に蟻が沢山いました。ちょっと抵抗がありましたが、興味が先行したので靴を脱いで、友達について行きます。
蔵の前に到着したら、友達の真似をしながら祈る仕草をします。その時に神様の紹介をしてもらいました。

インドに行ってから至る所で神様の像に出会いました。その都度友達が『この神様の名前は〇〇で、どんな神話があるから、◇◇のご利益があるんだよ』と言った説明をみんながしてくれます。
この時もそうでしたが、インドの子は本当に自分の信仰する宗教の神様についてよく知っていました。無宗教の日本では考えられないことで、いろんな神様がいてそれぞれが自分の神様を信じるからなんだろうなとインドらしさを感じました。

池で一休み

30分ほど歩いて到着したのは大きな湖。奥には大学の光が見えます。こんなにぐるっと回って歩いてきたのかと感心するとともに、それまでに沢山の出来事があったことを思い出して感慨に浸ります。
ようやくこの場所で散歩コースも半分のようでした。

湖には魚が沢山いましたが、友達はすごく珍しい!と言っていました。
湖まで段差になっているところの床を指して『ここで座ろう』と提案してくれました。ただ、その床には蟻が沢山いたので、流石に座れませんでした。そんなこんなで少し休憩して、また大学まで歩いて戻ります。

あからさまな生活水準の差

IITHは最近できた大学のため、今もなお建設途中です。そのため、工事のおじさんが沢山いらっしゃいます。おじさんたちは機会が無いため手作業で建設して行きます。おそらく労働環境も良く無いでしょう。そんなおじさんたちってどこから毎日やってくるのか不思議に思っていました。しかしこの散歩で明らかになりました。

湖から学校まで戻るまでの道。大きな木々で左右も上も囲まれた道に入って行きます。その横にプレハブ小屋とも言えない小屋の小さな集落がありました。
聞いて良いのかわかりませんでしたが、やはり気になって『これは誰の家なのか?』と尋ねると、友達が『おそらく工事のおじさんが住んでいる家だ』と教えてくれました。そして、『工事の人は毎朝ここでトラックの荷台に積まれて学校につき、働に終わればまたトラックに積まれてここに帰ってくる』と言っていました。
その話を聞いた時何とも言えない感情になりました。これがカーストかと初めて実感した時でもあります。同じ人が同じように扱われていないヤバさ。学生との生活水準が明らかに違っていることはこんな私でも分かりました。もちろん想像するよりも彼らは仕事に対してやりがいを持っており、今の生活に満足しているのかもしれません。だからこれがダメだ、あれがダメだとは一概に言えないと思います。ただ、私はこの時明らかな差別があると言うことをはじめて実感しました。

帰宅

色んなことがあった散歩も無事何もなく終わり、深夜3時ごろようやく大学に戻ってきました。このまま宿舎まで帰るのかと思っていたのですが『チルしようぜっ』って感じで大学校内の道の脇にあるところで一休み。
沢山歩いたこともあって、無言で夜風に吹かれてそれぞれが感想を言い合ったりしんみりする時間を過ごします。

私はようやく外に出て、初めて本当のインドを垣間見ることができたと感じていました。その中には嬉しさや興奮もありましたが、心に強く残る出来事も多くありました。色んな意味でのカルチャーショック。だけどそれは私にとってポジティブな成長要素で、新たな課題意識を生む重要なきっかけとなりました。
インドに行ったからこそ、こんな友達にあったからこそ得られたもの。自分の中できっちりと消化したいなとつくづく思う日となりました。

以上で【深夜大学を抜け出して、チャイ屋に行った話】を終わります。
長い間ご覧くださりありがとうございます!

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