野球フクノスケ

将来的に野球作家を目指しています。ノンフィクションではなく、高校野球を題材にした新たな…

野球フクノスケ

将来的に野球作家を目指しています。ノンフィクションではなく、高校野球を題材にした新たなジャンルを創出したい、そんな思いをもっています。

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「追想高校野球」〜阿久悠『甲子園の詩』を辿りながら〜

今日から、我が人生における高校野球の記憶を当ブログを通じて辿っていくことにする。後々、野球に関する書籍を出したい思いが強くあり決意した。 高校野球を初めて見てから、早いもので「半世紀」近い年月が過ぎた。 「逆転のPL」が優勝を飾った1978年(第60回大会)がきっかけで、それより前の江川卓(作新学院)原辰徳(東海大相模)、定岡正二(鹿児島実業)等が出場した1973年から1976年周辺のことも雑誌で追体験した。 以後、令和の今日まで高校野球ファンとして過ごしている。恐らく

    • ドラフト新興勢力の大歴史/高田博史著『崖っぷちリーガー』〜徳島インディゴソックスはぐれ者たちの再起〜

      今やすっかりドラフトの新興勢力となった感の独立リーグ。今年は14名(支配下7,育成7)がNPBから指名を受けた。 その歴史は、2005年に発足した四国アイランドリーグに端を発している。創設者は、90年代西武ライオンズ黄金期の主力として活躍した石毛宏典氏。そこから20年近い時を経て、国内5つのリーグで展開されるまでに至った。 本書『崖っぷちリーガー』は、四国アイランドリーグPlusに加盟する「徳島インディゴソックス」の球団創設期から11年連続ドラフト指名選手を輩出した昨年ま

      • 94〜96年、読売巨人軍「なにかと騒がしかった」時の記憶/中溝康隆著『巨人軍VS.落合博満』(2024.10.30)

        本書は"死亡遊戯”こと中溝康隆氏によるノンフィクションで、2023年8月から2024年6月までNumberに連載されたものが加筆修正を経て、今月上梓された。 著者は94年〜96年、落合博満がFAを通じて読売巨人軍に入団した時から退団までの落合の"歯に衣着せぬ”発言を当時の出版物、スポーツ紙、週刊誌を幅広く渉猟し抽出。それらを自身のセンスで接続し「オレ流」ストーリーを巧みに構成している。 個人的にもっとも思い出深いできごと、落合移籍1年目、長嶋茂雄監督が"国民的行事”と銘打

        • 再び"地平を駆ける獅子"を見られるか。/高橋安幸著『暗躍の球史』~根本陸夫が動いた時代~(2024.10/16)

          クライマックスシリーズが盛り上がりを見せる中、先日、パ・リーグ最下位に終わった西武ライオンズの新体制発足の報道があった。 その中で、鳥越裕介(ヘッドコーチ)、仁志敏久(打撃コーチ)、大引啓二(内野守備走塁コーチ)といったライオンズと縁の無かった面々を複数、しかも1軍に迎え入れた点が目を引いた。 西武のコーチ人事は"身内"で固める傾向にあると感じていただけに意外な発表に思えた。 野手の指導において、走攻守すべてに新たな風を入れたいとするフロントの強い意思が感じられる。

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        「追想高校野球」〜阿久悠『甲子園の詩』を辿りながら〜

        • ドラフト新興勢力の大歴史/高田博史著『崖っぷちリーガー』〜徳島インディゴソックスはぐれ者たちの再起〜

        • 94〜96年、読売巨人軍「なにかと騒がしかった」時の記憶/中溝康隆著『巨人軍VS.落合博満』(2024.10.30)

        • 再び"地平を駆ける獅子"を見られるか。/高橋安幸著『暗躍の球史』~根本陸夫が動いた時代~(2024.10/16)

          セイバーメトリクス的「ドラフト採点」(2024/09/08)

          今回はセイバーメトリクスの視点で描かれている分析コラム「1.02 Weekly Report」(以下、1.02WR)について書きたいと思う。 セイバーメトリクスに関しては「信奉者」「アナリスト級」それぞれおられると思うが、ここでは「無関心勢」に寄せて自分が考えるセイバーメトリクスの魅力の一部を伝えていきたい。 「1.02WR」は野球のデータ分析を手掛ける株式会社DELTAが運営する野球データサイト「1.02」の有料会員向けに毎週配信されているメールマガジンで、内容は以下の

          セイバーメトリクス的「ドラフト採点」(2024/09/08)

          広尾晃著「データ・ボール」~アナリストは野球をどう変えたのか~(2024/08/28 )

          野球界で「アナリスト」という用語を耳にするようになったのは、いつ頃だったろうか。 今では、「コーチ」「スコアラー」と同等の要職であることは十分理解しているつもりだ。だが今一つ、彼らがチームにどのように貢献しているのか、仕事の内容は漠然としている。 そんな私のようなプロ野球ファンに、本書は丹念な取材を通じてアナリストの仕事の内容や魅力、そして現場での葛藤などをつまびらかにしてくれる。 本書は二部構成になっている。 第一部では主に、プロ、アマにおけるデータ野球の進展状況、

          広尾晃著「データ・ボール」~アナリストは野球をどう変えたのか~(2024/08/28 )

          "アマチュアスカウト”必読!日刊スポーツ「田村藤夫のファームリポート」(2024.09.03)

          野球ファンなら、スポーツ新聞で楽しみにしている企画がいくつかあると思う。私の場合でいうと断然、日刊スポーツ「田村藤夫のファームリポート」だ。 ご存じの方も多いと思うが、同シリーズは2019年まで中日2軍バッテリーコーチとして若手を育成してきた田村藤夫氏が、ファームで目にとまった選手や期待の注目若手選手の現状をチェックする野球コラムである。 コロナ禍の2020年7月からスタートして今年で4年。菊田拡和(巨人)を皮切りに高校生にまで対象を広げ、選手、コーチとして長年培った眼力

          "アマチュアスカウト”必読!日刊スポーツ「田村藤夫のファームリポート」(2024.09.03)

          ストレートを捨てた156キロ投手木澤尚文(東京ヤクルトスワローズ)〜林卓史著「球速の正体」〜(2024.09.18)

          今回紹介したいのは書籍「球速の正体」ではない。同書で紹介されているプロ野球選手、木澤尚文(東京ヤクルトスワローズ)のプロとして生き残りをかけた必死な姿を記していきたい。 同書は、今年4月、読売巨人U15ジュニアユースの投手コーチに就任した林卓史氏によって昨年上梓されたもので、いわゆる投手の"進化論”的な内容になっている。 データトラッキング機器「ラプソード」の徹底活用法から、プロ・アマにおける最新データの活用事情、プロ投手150人のタイプ分類まで、昨今の投高打低を演出して

          ストレートを捨てた156キロ投手木澤尚文(東京ヤクルトスワローズ)〜林卓史著「球速の正体」〜(2024.09.18)

          立浪監督退任で表出するドラフトへの"隔靴掻痒"。竜は蹉跌を乗り越えられるか?/中田宗男著「星野と落合のドラフト戦略」〜元中日スカウト部長の回顧録〜(2024.09.25)

          中日の立浪和義監督が今シーズン限りで退任する。球団が長く低迷を続ける中、満を持しての登場であったが、"レジェンド"は3年でユニフォームを脱ぐこととなった。 退任報道を聞いたとき、真っ先に思ったことは「3年では間に合わなかったか・・」ということだ。 私は竜党ではないが、PL学園時代に甲子園春夏連覇した"立浪主将"の姿が心に強く刻印されていたこともあり、就任当初から「頑張ってほしい」という思いがあった。 同時に「長期政権でなければ再建は容易ではない」とも予想していた。中日が

          立浪監督退任で表出するドラフトへの"隔靴掻痒"。竜は蹉跌を乗り越えられるか?/中田宗男著「星野と落合のドラフト戦略」〜元中日スカウト部長の回顧録〜(2024.09.25)

          "界隈"に翻弄された2年前の『ドラ1候補』(2024 .8.24)

          「夏の甲子園が終わった。次はいよいよドラフトだ。」 アマチュア野球好きの思考回路はおおよそこんな感じではないだろうか。かくいう私も例外ではなく、甲子園の閉会式前にはスイッチが切り替わる。大学野球秋季リーグ戦を見る前から10月24日が待ち遠しい。 今年のドラフトで個人的に注目している選手の一人に山田健太(日本生命)がいる。 山田は2年前のドラフトで指名漏れの屈辱を味わった。立大から日本生命へ進みドラフト解禁となった今年、指名があるのか大いに注目している。 山田が味わった

          "界隈"に翻弄された2年前の『ドラ1候補』(2024 .8.24)

          「32年の呪縛」#野球ショートショート小説

          2010年7月30日。祖父の23回忌で、真一は鎌倉にある墓の前で手を合わせ心の中でつぶやいた。 「おじいちゃん。夏の甲子園は今年で92回大会だ。平成になっても日本は平和だよ。東海大相模は今年、甲子園に出場するよ。」   真一の祖父、哲弘は「高校野球は平和の象徴」が口癖だった。大の高校野球好きで、とりわけ、神奈川県の東海大相模高校の大ファンだった。豆腐屋を営んでいた哲弘がまだ現役だった1970年代、神奈川県高校野球界の勢力図を塗り替えたと評された原貢監督に心酔していた。  

          「32年の呪縛」#野球ショートショート小説

          【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#9

          7月2日、阪神は広島との首位攻防戦に敵地で臨み3対0で勝利。試合は両チーム先発、才木浩人と森下暢仁の息づまる投手戦で0対0のまま延長へ突入。10回、広島、野間峻祥の悪送球で阪神が先制し、その後、近本、中野の連続適時打で加点。最後はゲラが1死満塁のピンチを背負ったが、松山竜平を二塁ゴロ併殺に打ち取りゲーム終了。3連敗を免れ3位に浮上。首位、広島とのゲーム差を3に縮めた。 この試合の小幡は4打席で1安打、1出塁。試合終盤に2度出塁し、チャンス拡大に貢献した。 唯一の安打は、7

          【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#9

          【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#8

          6月30日、阪神はヤクルトに5対6で逆転負けを喫し4位に転落、勝率は5割となった。敗因は明らかに継投にあった。4点リードの8回、桐敷が安定せず、あとを受けた漆原大晟が二死満塁から長岡秀樹に走者一掃の2塁打を浴び同点とされた。その後つないだ岩崎優も山田哲人に決勝打を打たれた。結果として「リリーフ陣総崩れ」。手痛い敗戦となった。 打線は佐藤輝明が二塁打3本記録するなど計13安打。これまでの貧打の状態から脱している。その中で、小幡はこの試合、4打数1安打。唯一の安打は第四打席、木

          【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#8

          【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#7

          6月29日、阪神はヤクルトとの神宮での試合を1対6で落とし3位転落。6月の負け越しが決まった。試合は、先発、伊藤将司が初回に3点を失うなど終始、追う展開。打線はヤクルト先発、奥川恭太の前に走者は出すものの適時打がなかなか出ず、結果、散発6安打に終わった。 小幡はこの試合、守りで手痛い失策を犯した。0対3で迎えた3回1死、1塁、オスナの2塁ゴロの場面で併殺完成へのピボットプレーの最中に落球。小幡が試合後コメントしていたが「2塁ベースに入る際、勢いをつけすぎた分、捕球の反応が遅

          【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#7

          【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#6

          6月27日、阪神は13試合ぶりとなる二けた安打で中日を8対1で下した。不調の近本光司がスタメンから外れたが、試合終盤、打線が爆発。先発、村上頌樹の好投もあり、危なげなく勝ち切った。岡田監督はこの日の勝利でNPB史上20人目となる監督通算「700勝」目を挙げた。 小幡はこの試合、4打数無安打。スタメン出場した野手の中で唯一安打が無く、悔しい1日となった。打率は.180まで下がり「2割」が遠のいていく。 4打席見て感じるのは、小幡は150キロ周辺のストレートを捉えることができ

          【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#6

          【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#5

          6月26日、舞台を倉敷から甲子園へ移した阪神対中日。二戦目はお互い譲らず延長12回1対1の引き分けに終わった。両チームともに自慢のリリーフ陣を小刻みにつなぎ相手打線を封じた。阪神は近本と中野、二人で計12打数1安打。佐藤輝明に当たりが戻ってきたが、頼みの1、2番が不調では得点力が上がらないのも無理はなかった。 小幡はこの試合、5打数1安打。全打席ストレートを狙っていたことが画面から伝わったが、残念ながら捉えきれてはいなかった。打率は.193。「2割の壁」が立ちはだかっている

          【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#5