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【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#5

6月26日、舞台を倉敷から甲子園へ移した阪神対中日。二戦目はお互い譲らず延長12回1対1の引き分けに終わった。両チームともに自慢のリリーフ陣を小刻みにつなぎ相手打線を封じた。阪神は近本と中野、二人で計12打数1安打。佐藤輝明に当たりが戻ってきたが、頼みの1、2番が不調では得点力が上がらないのも無理はなかった。

小幡はこの試合、5打数1安打。全打席ストレートを狙っていたことが画面から伝わったが、残念ながら捉えきれてはいなかった。打率は.193。「2割の壁」が立ちはだかっている。

唯一の安打は2回、二死、1、2塁、先制の好機の場面。中日先発、38歳、涌井秀章の2球目、インコース寄り高めの140キロのストレートを上手くミートした。打球は勢いはなかったものの角度がつかなかったことが幸いしたか、右翼手の前に落ちた。板山は予め、前目に守っていたため、二塁走者大山は本塁で憤死。小幡に打点はつかなかった。

1打席目の安打で波に乗っていきたかった小幡だが、残りの4打席は良いところが無かった。

二打席目は涌井の初球143キロ外寄り高めのストレートを打ち上げ遊飛に終わり、第4打席は9回、二死満塁、サヨナラの場面。松山晋也の投じた153キロ外寄り低めをセンターに打ち上げてしまった。さらに延長11回、祖父江大輔の外寄り低めの144キロストレートを左飛。

この三打席、いずれも打ち取られ方は同じで、小幡は身体から少し離れたゾーンに来たストレートを軽く打ち上げてしまう傾向にある。
恐らく、バットが外側から出てアッパー気味になっているのだのだろう。それに比べて、1打席目の安打のように、身体に近いインコース寄りの捌きは悪くない。が、それもあくまで球速が145キロ未満に限るようだ。

先にDeNAウィックから放ったサヨナラ安打は、151キロカットボールだったが、VTRで見返すと少し真ん中に入っていた。小幡のインコース速球への対応度は、この先も観察していくこととする。

この日の小幡の打席で個人的に一番、興味深かったのが、第三打席の左腕斎藤綱記との対戦。外角低めのスライダーを打たされ、1塁ゴロに終わったこの打席、全7球のうち小幡が狙っていたストレートはわずか2球。その他はすべてスライダー。コースは全球外角に集められた。

初球のストレートをファゥルにした時点で、「ストレート待ち」は明らかで、中日バッテリーは2球目から6球目まで4球続けてスライダーを投じた。小幡は大きく外れたスライダーこそ見逃せたが、ストライクゾーンに来たスライダーはストレートタイミングでスイングをかけていた。ポイントが前過ぎて身体が前に出された5球目のファゥルがそれを如実に物語っていた。左打者が齋藤を攻略するには、やはりストレートを打たなければ厳しい。

次戦の中日先発は、梅津晃大。リーグを代表するスピード投手を攻略し、小幡は「2割の壁」を超えていけるか。

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