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【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か? 第三部#9

7月2日、阪神は広島との首位攻防戦に敵地で臨み3対0で勝利。試合は両チーム先発、才木浩人と森下暢仁の息づまる投手戦で0対0のまま延長へ突入。10回、広島、野間峻祥の悪送球で阪神が先制し、その後、近本、中野の連続適時打で加点。最後はゲラが1死満塁のピンチを背負ったが、松山竜平を二塁ゴロ併殺に打ち取りゲーム終了。3連敗を免れ3位に浮上。首位、広島とのゲーム差を3に縮めた。

この試合の小幡は4打席で1安打、1出塁。試合終盤に2度出塁し、チャンス拡大に貢献した。

唯一の安打は、7回、森下の甘く入った138キロ外角のカットボールを左翼へ流し打った。初球と二球目を、147キロのストレート高めにインコースとアウトコースに投げ分けられいずれもファゥルとしたが、カウント0-2と追い込まれてからの失投を逃さなかった。

一方で、森下と対峙した他の2打席は、いずれも力負けしていた。

一打席目は、森下と会澤のバッテリーはストレートを決め球とし、初球から3球目までのカウント球には続けて変化球を選択した。初球のカーブは真ん中高めで甘く入っていたが小幡は見送り、3球目のカットボールもど真ん中だったがファゥルにしてしまう。2球打ち損じた後の4球目、147キロ外角低めのストレートを引っ張るも平凡な2塁ゴロ。この打席は、「浮いた変化球」が2球あった。いずれかを捉えたかった。

二打席目は三球三振。初球、外角低めのチェンジアップに抜かれ空振り。ストレート狙いは明らかだったが、そのストレートを小幡は弾き返せない。2球目の146キロ外角高めをファゥルにしてしまう。決め球はインコース高め135キロカットボールで、ストレートタイミングで振りに行った結果、バットが空を切った。

最終打席の四球は、延長10回、1死無走者で島内颯太郎から選んだ。この打席、島内は小幡に対し、全6球のうち5球を150キロ越えのストレートを投じたが、ストライクになったのはカウント1-3からの1球のみ。小幡はストレートには一度もスイングをかけることなく、結果として、難なく四球を取った。

この試合を終えて小幡の打率は.181。木浪に代わって出場した6月16日からここまでの10試合、小幡の全打席を追跡したが、個人的に「甘い変化球しか打てる球がない」「打てるストレートは145キロ未満」との見立てをしている。

既に虎党のSNSでは、小幡の昨年の打撃成績、「78打数22安打の打率.282が過大評価だった」などの辛辣な見方が少なくないが、昨年も安打の大半は変化球、もしくは半速球だった。常時出場する機会がなかったため、「弱点」が虎党の間で認識されていなかったように思う。

しかし、こうした小幡の打撃の状態でも岡田監督は二軍から誰も昇格させることなく、スタメン起用を続けている。しかも、小幡に代打を出したのはわずかに1度だけだ。まさに岡田監督は自らの持論、「ショートは打たんでええ」を実行しているのだが、球団の編成はどうだろうか。

小幡の打撃の停滞が続けば続くほど、デイリースポーツをはじめとするスポーツ紙の今ドラフト阪神の1位入札予想が「宗山」に傾斜する確率が高まっていく。〜第三部(終)~

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