高齢者のワガママには、どう接するのがベスト?
困った高齢者が、実はとっても多いのです。
「接遇」や「傾聴」では、どうにもならないケースも経験してきました。
今回は、困った高齢者の実例を紹介したいと思います。
同じように高齢者支援に携わっている理学療法士や看護師、介護士は
「あ~、分かる~」と思ってもらえるはずです。
一番でないと納得いかない
高齢者のなかには、自分が一番でないことが納得いかず、周囲に文句を言う人がいます。
利用者のAさんは、他の利用者のリハビリを見ていて「私の方が時間が短い」と不満を述べました。
リハビリ時間は20分。決して、他の人が長くて、Aさんが短いわけではありませんでした。
なぜか、ひがんでいたようです。
高齢者は、一度、思い込むと、どれだけ事実を説明しても、納得しないケースが多々あります。
Aさんもその一人でした。
事実をどれだけ説明しても、納得せず、「私は、もう、ここには来ない!」と、ご立腹の様子でした。
その後、いろいろあって、利用は継続になりましたが、職員とのぎくしゃくした関係性は、しばらく続くことになります。
自分さえ早く帰れたらよい
利用者が多い日は、一度の送迎で全員を送ることができません。
半分くらいの利用者を自宅まで送り、再び事業所に戻ってきて、残りの利用者を2便目で自宅へ送り届けます。
Bさんの送迎は、いつも2便目でした。
送迎のタイミングは、自宅が事業所から遠かったり、ご家族の都合があったり、ヘルパー支援があったり、障害の程度があったり、さまざまな要因に応じて調整されています。
ある日、Bさんは、「なぜ私はいつも帰るのが遅いのか!もっと早く帰れるようにしてくれ!」と怒りました。
Bさんを早くするということは、他の誰かが遅くなるということです。
遅くてもガマンしてくれそうな利用者を2便目にし、Bさんは早く帰るように調整されました。
Bさんのように、自分さえよければそれでいい、という高齢者も、実はかなり多く見てきました。
高齢になれば、周りの人のことを考えられるようになる、と思ったら大間違いです。
自己中心的で周りが見えない高齢者
Cさんは、自己中心的でワガママがひどい利用者でした。他の複数のデイサービスでもトラブルを起こし、利用を中断している人でした。
あるとき、リハビリスタッフの間でインフルエンザが流行りました。女性スタッフの産休やケガでの入院も重なり、数週間、リハビリスタッフが足りないという時期がありました。通常であれば、利用者全員リハビリできるはずだったのですが、理学療法士・作業療法士が足りず、しばらくの間、利用者の3分の1は、リハビリできないということになりました。
ほとんどの利用者は、事情を理解してくれました。
ところが、数名の利用者は、ガマンができません。
Cさんは、特にリハビリの必要な身体状況ではありませんでした。
利用回数も多く、元気であったため、その日のリハビリは、ナシになりました。この日、半分くらいの利用者がリハビリを受けられない状態でした。
すると、Cさんは「マッサージがないなら、帰る。ここに来ても意味がない。タクシーを呼んでもらおう。」他の利用者に対し、大声で騒ぎ始めました。
スタスタと出口の方にいき、
「もう、帰ろう。来ても意味がない。」
フロア全体に聞こえる声で言い続けます。
その日、リハビリが受けられない利用者は数多くいたのです。
Cさんは、自分さえ、リハビリ(マッサージ)を受けられたらそれで良かったのです。
数多くの利用者と、ほとんどの職員は、心の中で、こう思いました。
「さっさと帰れ。二度と来るな。」
ウソウソ。
こんなことを思ってはいけないですよね。
でも、本音です。
責任者が対応し、他の利用者のリハビリの代わりに、Cさんのリハビリを受けられるように調整しました。
もちろん、私は断りましたので、他のスタッフが対応しました。
自分本位の視点が強く、周囲の事情を理解できない高齢者も数多くいます。
接遇ではなく、リスク管理で
「傾聴」「接遇」という言葉が一人歩きしていますが、こういう利用者を優先するということは、他の利用者を犠牲にするということです。
普段から我々に協力的でおとなしい利用者が損をして、ワガママを言う利用者が得をするという事態は、決して良いものではありません。
接遇には、限界があります。
ある一線を越える利用者に対しては、接遇ではなく、リスク管理で対応しなくてはならないのが現実です。
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