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詩「パレット」




小さい頃
真っ白なパレットに
様々な色を出した
鮮やかな色達は僕の心模様

そこに
ここぞとばかりに
僕が放った黒い絵の具が侵食していく
墨汁やイカの墨とは違う圧倒的な濃い黒色
僕は
何にしても使い方が下手くそだった
パレットにこびり付いた
混ぜるのに失敗した絵の具を
何度も水で洗い流した
それでリセットしたつもりになった
僕は
せっかくのエメラルドグリーンを台無しにした
鮮やかなエメラルドグリーンは
小さい頃の僕にとっては
宝石の様に煌めいていた

君の白い腕に埋もれて
僕の汗と君の吐息が混じり合って
僕達だけの色を作った
僕の脳裏には
図画工作の授業で使った
失敗したパレットが頭をよぎった
黒い絵の具が
星も見えない暗い夜空を見上げた時の様に
脳内にこびり付いて
今この瞬間のしあわせを感じられずにいた

僕達だけの色は
鮮やかなエメラルドグリーンに似ているのだろう
君の汗が宝石みたいに
僕の目の前で零れ落ちる
その度に
僕の筆についた黒色が
僕達の未来を消そうとしているみたいに
思えて仕方なかった

僕は
あの頃と同じで
うまくやれない気がした








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