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詩「戯言(たわごと)」


黒い黒い髪をなびかせて
草原を裸足で駆け巡っていた時に
私の泥だらけの手をはらって
何事も無かったかの様な顔をして
去って行った
あなたの冷たい後ろ姿を今でも覚えています

長い長い時が経って
私は自分を繕うことを覚え
今までの面影を隠す様に
雅な香りを身に纏った頃
あなたがあの街から
気まぐれに帰って来て
立ち尽くしていた私を見るなり
肩に手を回して
こう呟いたのです

「綺麗になったね。」

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