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詩「夜になっていく」


毎日、規則的に
太陽が沈み
夜が訪れる

やり切れないのは人間だけ
ページが進む予感がすると
お腹がキリキリ痛くなる
自然には生きられない
踏ん張って力を出さないと
自分にはならない
自分という存在には
責任が付いて回る
責任を果たす為に
力を出し切ってヘトヘトになる
そんな矛盾の繰り返し

騒がしい昼間には気付かない
沢山の光が
平等に照らしてくれるから
ちっとも寂しくはない

太陽が沈みかけると
筋肉が硬くなって
心まで停止してしまう
思考が混乱する

それでも
進んだページには
自分の思い描いた自分でいたいから
底力を出して
自分を延長する
多少の歪みを感じても
心が歪んでも
最後の力を出してでも
私は私を生きて行く

どこかの家から発せられる
夕食のしあわせそうな和の匂いが
私を現実に連れ戻す

街は自然に夜になっていく

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