【続いてる写経 568日め】〜アシリパちゃんはやはり「新しい女」でした
ちょいと仏教から離れ、近所のカルチャーセンターの講座「『ゴールデンカムイ』から知るアイヌ文化の魅力」を聴きにいきました。
登壇したのは、同作品のアイヌ語監修をつとめる中川裕先生。
「アイヌ文化で読み解くゴールデンカムイ」という新書も書かれてます。
これね ↓
話はまず、中川先生が監修の話を持ちかけられて、初めて作品原稿を見た時の驚きから始まりました。
当初渡されたのは3話まで。
まずグッときたのがアシリパちゃんの登場シーン。
特に彼女の出立ち。アイヌの装束をきちんと文様まで正確に描いていること、何よりエキムネクワという山杖を持っていることに驚いたのだそう。
この山杖は、アイヌなら男女ともに必ず山に入る時に持っている必須アイテムらしいです。
書籍の中でも他の先生が、「ゴールデンカムイ」の描写の正確さに驚かれていて、博物館などで関連展示ができるのもそれ故なんだそうです。
さらにアシリパちゃんがクマに向かって矢を放つシーン。
カッコいい!!
それまでアイヌはカッコよく描かれたことがなく、手塚治虫先生の「シュマリ」でも滅びゆくかわいそうな民族のような、悲劇的な描写ばかりだったそうです。
アシリパちゃんの、メンタルもフィジカルもタフな姿をみて、こんなアイヌ像を待っていた!と感じたそうでうそうです。それで監修を「是非やらせてほしい」と、逆にお願いしたんだそう。
で、作品は一応史実をベースに描かれていますが、時にはフィクションが混じっているそうです。(そりゃそうです)
例えば、アシリパちゃんのおじさん(というい設定)のキロランケさんの姿。
実際は1871年にアイヌ民族の男子の耳輪・女子入墨が禁止となっているそう。
なので、このマンガの舞台となっている日露戦争後1905年以降は、男子のピアスは禁止されているはずなので、キロちゃんが(キロランケさんは劇中で白石くんにこう呼ばれている)ピアスをしているのはNG。
また、アシリパちゃんもピアスしてますが、たとえ女子でも山に入る時は何かにひっかかると危ないから、ピアスは外すんだそうです。
ピアスはあくまでも正装用の装身具。日常的なものではないそうです。
また、キロちゃんは、大胆な模様の装束なのですが、これも祭事用の衣装なので普段はもったいなくて着ないんだそうです。
もっとシンプルなものを日常はきて過ごすとのことです。
マンガだからね〜、衣装や身につけるものはキャラクター設定として大事なんだよね。
『阿・吽』ではみんな坊主で袈裟だから、書き分け苦労したって話ですからね〜。
フィクションの部分の織り交ぜ方、野田サトル先生は、その匙加減がうまいって褒めてらっしゃいました。
なおアシリパちゃんの名前のは、アシリ(実際はリは小文字)が「新しい」、パは「年」、で「新年」という意味。転じて「未来」も指しています。野田先生がつけたらしいですが、素晴らしいネーミングセンスですね。
でも由来は全然ご本人は覚えてないとか、、降ってきたのだろうか。。
あ、全然終わらない、つづく。
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