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金欠少年はアイスコーヒーを水で割る(1000㎖なら1週間いけるっしょ)
これは、珈琲を薄めるほど、生活が濃くなっていった少年の話である。
ちょうど1年前になる。
セミが鳴くことを辞め、華麗なる紫陽花とは相反して、ジメジメと移り変わる季節。
昨年の6月、今でも忘れない。
とある理由で少年は金欠に陥っていた。
「やべえ、金がねえ。。」
そんな中でも少年には、どうしても抑えることの出来ない欲求があった。
「アイスコーヒーが飲みてえよお。。」
そう。彼は珈琲中毒者である。
お酒とおタバコは体質的に体が受けつない、が、その代償に細胞が珈琲を盛大に求めるのだ。
「くれッ、くれッ、くれッ‼︎ 早くよこせッ‼︎」
珈琲枯渇時の少年の毛細血管はまるで監獄の囚人と化している。赤血球はいつも以上に赤くなり、白血球さえも真っ赤に怒る始末。困ったものだ。主人である僕も怖くなるほどに。
でもお金が無いのだ。スタバには行けないし、ルノアールにも行けない。そんな中、窮地に追い込まれた少年が取った行動とは…???
薄めてやる、どこまでも。
そう、薄めたのだ。1000㎖-100円のアイスコーヒーを、まるでカルピスの原液のように。。
これを聴いて、貧乏臭ッッ…節約術なんて聴きたくねえよ、そう思った読者の皆さん。違うんです。待ってください。
これは単なる節約術では無いのです。『窮地に追い込まれた人間の執念のドラマ』なのです。優しいまなざしで温かく見てほしいのです。
最初は、コーヒー1に対して水3あたりで薄めてみた。ごくり。うん、うまい!!
これが中々にいけたのだ。
さらりに薄めて、薄めて…、、
そんなことを繰り返して、最終的にはコーヒー1・水9という、「もはやお茶やん」というレベルに。
でもこの飲み方には思いもよらぬメリットがあったのです。
カフェイン野郎との絆
少年は珈琲ちゃんの事が大好きでした。毎日夢に出てくるほどに。
しかし、その中に潜んでる裏の顔「カフェイン野郎」に関しては、体が受け付けなかったのです。
眠れない・眠れない・眠れない。
君といると眠れないんだ。ごめん。
そんな感じ。
だけど、薄めた君となら!!一緒にいられるよ!!
そんな感じ。
そう、お金を節約する為に始めたアイスコーヒーを薄めるという行為は、自然とカフェイン摂取の削減にも繋がっていたのだ。
それからというもの、少年は毎日毎日アイスコーヒーを薄めて薄めて嗜むようになった。
今ではカフェイン野郎とも和解し、肩を組み、友人にもなった。LINEなんかも交換して、常に連絡を取り合ってるほどに、仲良くなった。
俺たち一生友達だよな!!河川敷に2人並んで僕らはいつまでも、いつまでも、語り尽くした。
僕らには、気付けば、絆が生まれていた。
珈琲を薄めるほど、濃くなる生活
今回の原体験から学んだのは、
「どんな窮地な状況であっても”楽しむ心”があれば、新たな発見がある。」
ということ。
一見、金欠だとか、アイスコーヒーを薄めてるだとか、悲しい状況にみえるが、実は凄く濃密で実りある生活を送っていた。
アイスコーヒーを薄めれば薄めるほど、生活は濃くなっていくと考えると感慨深い。
さらに、このエピソードは、誰かとコミュニケーションをとる際にも、凄く受けがいいので、無意識にそこも嬉しい人生の貯金になっていた。
みんなが聴きたいのは、自慢話や成功話ではなく、困難だった時のユーモアある鈍臭い話だったり、失敗談なのである。
悩める時期、困難な時期、人には必ずそういう時期があるでしょう。でも悩みが無くなった世界には体験出来ない感情や視点が、そこには転がっているのです。
僕は1年前がどん底の谷の時期だとすれば、今は少しずつ右肩上がりにはなってきたという感じです。
でも未だにアイスコーヒーを薄めて飲んでいます。(1000㎖100円から230円にはグレードアップしましたが)
それはあの時の想いを忘れないためです。
困難な時期に考えて動いた一つの行動が、今もずっと背中を押してくれています。
それはカフェイン君でしょうか、過去の自分の苦悩から生まれた閃きでしょうか、わかりませんが、感謝感謝です。
あの日の想いが、今も僕を助けてくれています。
是非みなさんも、たまにはアイスコーヒーを薄めて飲んでみてはいかがでしょうか??
完
Curiosity
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