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英語学習について(未就学児対象)

弊社はグローバルシッター・家庭教師サービス「chezmo family」を数年前から運営していますが、サービスを通じて300以上のご家庭と関わりを持たせて頂いています。その中で、やはり英語学習に関するご相談が多いので、年齢に合わせた英語学習について、noteにまとめて行きたいと思います。今回は未就学児の英語学習について。

英語を学習する目的は、「英語習得」だと思いますが、「英語習得」と一口に言っても、人によって習得のレベル感が違うと思います。私が言う「英語習得」は、英語で大学学部レベルの講義が理解でき、アカデミック、およびビジネスの場で自分の考えを明確に伝えることができる、というレベルを想定しています(ちなみに、発音や流暢さには重きを置いていません)。このレベルまで到達するにはかなりの時間と努力を要しますので、子ども達にとっては長〜い道のりになりますが、英語を習得するリターンは、本当に大きいものだと身をもって実感していますので、特に若い世代には頑張って欲しいと思います。

前置きが長くなりましたが(汗)、ここからやっと本題です。英語習得に関しては、沢山の調査や文献がありますし、ご自身が身を置く業界や立場によって意見も変わってくるでしょう。英語学習について、実に色々な人が様々な立場から、色んなこと言っていますから、結局どれを選ぶ(信じる)のかは本人、子どもが小さい内は保護者次第、というのが現状です。「英語は早いうちにやらせた方が発音が良くなる」、「小さいうちの方が吸収が早い」なんて英語スクールのプロっぽい方に言われたら、保護者的には“そうか、じゃあうちの子も”となる気持ちも理解できます。

ですが、英語の学習を始めるのであれば、母語である日本語がある程度確立された後からの方が良い、というのが私の確固たる考えです。私は、言語習得に関して様々な本や文献を読むと同時に、仕事において、子どもから大人まで、幅広い年代の方々の英語習得のお手伝いをしてきました。そのような経験を踏まえて、母語が確立されていない時に積極的に外国語を学ぶことに私が賛成しないのは、主に3つの理由があります。(ここで想定しているのは普段は圧倒的に日本語の環境で、英語に触れる機会がほとんどない、という場合です)

① 思考の深さは言語能力に比例するから

② 親の努力が必要になるから

③ 英語を学ぶメリットを感じる機会が少ない(=学習に楽しみを感じづらい)から

では、順番に説明してみます。

① 思考の深さは言語能力に比例するから

「人間は自分の語彙の範囲でしか考えることが出来ない」と、よく言われますが、これは本当時その通りだと思います。例えば「主観」「客観」という言葉(概念)を知らない場合、発想を切り替えることは難しくなります。また、「幸福」「豊富」「平等」などの抽象的な概念も、知らなかったり、定義が曖昧だったりすると、思考も曖昧になります。また、チームで物事を考える場合も、他人の意見や考えを正確に理解したり、自分の考えを効果的に相手に伝えるためには、やはり語彙力が重要です。そして、その語彙力の基礎が母語になります。

まずは自分の頭で考え、整理する為の基本的な言語能力がなければ、外国語を理解することは困難です。英語に耳を慣らす、発音を覚えさせる、英語に対するアレルギーをなくす、という副次的な効果はあるかも知れませんが、「英語習得」という目標においては、母語が確立していない時期に英語を積極的に学ばせる効果は極めて低いと思います。

言葉はコミュニケーションに使うツールですが、同時に思考の道具でもあるのです。ここを混同してしまうと、むやみやたらに幼い子どもに英語学習を強要することになるのではないか、というのが私の考えです。発音が良く、流暢に英語を話すけれども、中身が全然ない(もしくは薄い)という現象をよく見かけますが、こういうタイプは、どの言語でも思考レベルが低い場合がほとんどです。まずはちゃんと、母語で考えることができるようにすると、その後の外国語習得のスピードや深さが変わってきます。未就学児であれば、母語の土台を作ることに注力した方が、結果的には早く外国語を習得できるようになるでしょう。母語がしっかりしていれば、それに付随する思考能力をテコにして、英語を高水準まで引きあげることもできます。

このあたりの内容は、こちらの本のはしがきにも端的に書かれていますので、ご興味あればぜひどうぞ。本編では、言葉の裏にある考え方の違いや文化的背景も含め、英語と日本語の表現の違いが非常に細かく説明されています。

じゃあ、英語はいつから習わせるのがいいの?という話ですが、日本語の基礎ができるのは4〜5歳頃と言われています。年長くらいになると、語彙も表現力も増えて、少し混み入った会話もできるようになってきますので、未就学の時期に英語を始めたいのであれば、早くても年長以降が望ましいと思います。

② 親の努力が必要になるから

未就学児が20分以上集中して座学で勉強するのは大変困難です。オンラインの英語レッスンも、未就学児や小学校低学年の場合は30分以内がほとんど。以前、弊社のサービスをご利用頂いていたご家族は、お子さんが年中の時にオンラインで英語レッスンを始めたのですが、嫌がるお子さんを抱きかかえて、保護者が一緒に椅子の前に座り、レッスンを受けさせていたそうです。その結果どうなったかというと、お子さんは英語に対して嫌悪感を持つようになり、英語というと顔が暗くなるようになりました。お母様は「私の責任なんです・・・」と仰っていましたが、仕事柄、このような状況に陥るご家庭を、少なからず見てきました。親の頑張りが、子どもの英語嫌いに繋がってしまうのは、とても勿体ないです。

幼い頃から英語を習わせようと必死になると、確実に親の努力が必要になります。手を替え品を替え、子どもに興味を持たせながら、英語に向き合わせる必要があるからです。

もちろん、未就学児の英語学習を英語スクールや家庭教師に任せることもできるでしょう。ですが、語学学習で本当に大切なのは、実際に勉強している時間以外の時間なのです。習ったことを復習する、実際に使ってみる、この繰り返しによって言語が血となり肉となっていきます。逆に言うと、これが出来ない場合は、いつまで経っても外国語は習得できません。

そういう意味でも、年齢が低ければ低いほど、親のサポートが必要になります。子どもの英語学習の進度を確認し、興味関心に沿って英語に触れられるようにサポートする為には、自身が英語堪能である上に、英語教育を少しでも理解している親でないと、難易度が高いと言わざるを得ないでしょう。それでもやはり小さい頃から英語を習わせたい、という場合は、どこを目標にするのかを明確にしましょう。週に1回や2回英語スクールに通っても、すぐに大きな変化や進歩は現れません。「英語の音に慣れて欲しい」「楽しく英語に触れて欲しい」くらいのゆるい目標であれば全く問題ないですが、ざっくりと「英語が話せるようになって欲しい」と考えるのは危険です。親の努力、お金と時間が無駄にならないよう、その英語学習で、どんな効果を期待しているのか、まずは一度考えてみることをオススメします。言語習得は長い道のりですから、長期的な目線を持ちましょう(子育て、教育も同じですね)。

③ 英語を学ぶメリットを感じる機会が少ない(=学習に楽しみを感じづらい)から

人間がやる気を保ちつつ行動を持続させるには、「内発的動機づけ」が必要です。これをやればお菓子がもらえる、などといった「外発的動機づけ」とは異なり、自分が気分が良いから続ける、楽しいからやる、というのが「内発的動機づけ」です。何かを続けるにはこの「内発的動機づけ」が大切で、語学のように継続が肝となるような学習においては欠かせません。ですが、これを小さな子どもに持ってもらうのは、簡単ではありません。外国の友達ができた、海外旅行に行った時に英語が話せた、などは「内発的動機づけ」に繋がりますが、未就学児ではなかなか実感ができないでしょう。

小さい子が、英語が少しできるようになると、一番褒めるのは親だと思います。それ自体は子どもの自信に繋がるから大いに結構なのですが、親からのフィードバック以外のメリットや楽しみを見出しづらく、やる気を保つのが難しいのが幼児の特徴です(大人でもモチベーションを保つのは難しいですからね・・・)。そして、親は常に子どもへのフィードバックを与え続ける必要が出てきて、これがまた②の親の努力に繋がってくるわけです。

逆に小学校高学年や中学生以上になると、好きな分野の情報を得るために英語をやる、行きたい学校の為に英語を頑張る、などの動機が出てきて、大人が介在しなくても自分でやるようになります(とは言え、子どもが大きくなった後でも、英語学習にどんなメリットがあるのかという点において、大人が選択肢を見せてあげることは大変重要です)。余談ですが、英語の情報量は日本語の10倍以上と言われていますので、英語が使えるようになると、インプットの量が飛躍的に伸びますね。(参照:https://www.internetworldstats.com/stats7.htm

以上、未就学児の英語学習について、実体験を交えながら書かせて頂きました。巷には幼児向けの英語関連ビジネスが沢山ありますが(しかも高額なものが多め)、謳い文句に踊らされることなく、長期的な目線でお子様の英語教育を考える為の一助になれば幸いです!

 P.S. 幼児期の「英語学習」には限界があるという内容を書きましたが、将来の英語学習に繋がるものとして、異文化や多様性との接触が幼児期からあるのは大変有効だと考えています。まずは英語に好奇心や興味を持つ環境を作る、というのが幼児期のポイントの一つです。ご興味ある方は、ぜひこちらにお問い合わせください!(宣伝w)


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