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探究学習プログラム#12 -産業技術高等専門学校 ファシリテーターの困りごと解決プロジェクト-

プロジェクトの概要

4月から7月にかけて東京都立産業技術高等専門学校電気電子工学コース5年生(大学2年生相当)は、電気電子工学実習Ⅳにて弊社ファシリテーターによるデザイン思考講座を受講しました。本講座の目的は、2〜3年次に学んだデザイン思考のステップやスキルを復習しながら、俯瞰的にデザイン思考を理解できるようにすることです。

東京都立産業技術高等専門学校 電気電子工学コースについてはこちらから
https://www2.metro-cit.ac.jp/~ee/top.html

電気電子工学実習Ⅳは、3タームに分けられた授業の中で電気や工学についての実習・実験を行います。デザイン思考講座も実習の1つに位置付けられており、1ターム目、2ターム目は3回、3ターム目は5回の講座を通して、デザイン思考を学びました。

今回は「ファシリテーターの困りごと解決するモノ・コト」というテーマで弊社ファシリテーターの角田が抱える中高生の探究学習授業でのファシリテーションの困りごとを解決するアイデアを考えました。学生たちはユーザーにフィードバックをもらいながらアイデアの改良を重ねていきました。

3ターム目の講座では尾上昌毅さん(日本ファシリテーション協会会員)にお越しいただき、ファシリテーターの視点からアイデアやプレゼンテーションに対してフィードバックをいただきました。

最後に学期末試験の一部として、講座で考えたアイデアについて学科の先生方にプレゼンテーションしました。

プロジェクトの流れ

第1回 デザイン思考の流れを実践する

まず学生たちは、90分間でデザイン思考「さぐる」「きづく」「ひらめく」「つくる」「ためす」の流れを一通り実践し、アイデアを検討しました。短時間でデザイン思考を回しながらアイデアを考えることで、2〜3年次に学んだデザイン思考のステップやスキルを思い出します。学生たちはユーザーインタビュー動画から課題を探し、解決できるアイデアのプロトタイプを作成しました。途中経過を産業技術高等専門学校のデザイン思考講座担当である山本哲也先生と弊社ファシリテーターにプレゼンテーションを行い、フィードバックを受けました。学生たちはフィードバックを元に、更にアイデアを改良していきました。


デザイン思考サイクル

第2〜3回 ユーザーフィードバックからアイデアを検討する

ユーザーである弊社のファシリテーター角田とオンラインで繋ぎ、アイデアに対してフィードバックを受けました。学生からは生徒が困った時にファシリテーターを呼べる「シュラスコ式呼び出しボタン」や生徒がデザイン思考のどのステップにいるかわかる「進捗確認ボード」などが提案されました。「アイデアを使っている時は生徒はどう動けばいいのか」や「困る前にチームの手助けができるアイデアだと嬉しい」などユーザーから直接フィードバックをもらったことが刺激になったようでした。

角田からのフィードバックを元に、新しいアイデアを検討するチームもあれば、インタビュー動画から困りごとを洗い出し、改めてインサイト(本当の願い事)を考えるチームもありました。

ユーザーフィードバックでアイデアを共有様子

第4回 ファシリテーターへの理解を深める

尾上さん(日本ファシリテーション協会会員)に来ていただき、グループワークでのファシリテーションのやり方をご教授いただきました。学生たちは実際にファシリテーションに挑戦したことで、難しさや新たな困りごとに気がついたようでした。自分たちのアイデアの有用性を考えたり、使いやすくするためにプロトタイプを作り直したり、改良を重ねていきました。

アイデアを検討する様子

第5回 クラス内プレゼンテーション

クラス内プレゼンテーションを行い、今までの成果をまとめました。尾上さん(日本ファシリテーション協会会員)に再度お越しいただき、「アイデアを使った様子がわかるといい」「困りごとに着目した理由が知りたい」など具体的なフィードバックをいただきました。学生たちは尾上さんにいただいたフィードバックを元に、プロトタイプやプレゼンテーションの資料を改善していきました。

クラス内プレゼンテーションの様子

第6回目 学科プレゼンテーション

7月17日(月)には学期末試験の一部として、学科の先生方に向けてプレゼンテーションを行いました。学生からはデザイン思考のプロセスを逆算して学ぶ「デザイン思考逆算プログラム」や歴史上の人物になりきって楽しくアイデアを出す「なりきりファシリテーター」などが提案されました。学科の先生方からは、「デザイン思考のステップを逆算しながら学ぶことのメリットは何か」「プロトタイプを使ってどんな効果がでたのか」と質問をいただきました。

受講者インタビュー

今回、産業技術高等専門学校でデザイン思考講座を実施されている山本先生にご同席いただき、本講座を受講した学生に話を伺いました。

左からAさん、Bさん、Cさん

田中 考えたアイデアを教えてください。

Cさん 私たちはファシリテーターのすべてのチームをサポートする時間がないという困りごとに目を向け、生徒が自身の状況を整理できるアイデアを考えました。これは授業に参加する生徒がデザイン思考のどのステップに何分いるのかわかるボードです。ファシリテーターに状況を提示することで、生徒自身も整理でき、ファシリテーターも生徒の様子がわかるようになります。

田中 アイデアが生まれた経緯を教えてください。

Cさん アイデアを最初にいっぱい出して、次に困りごとを探したよね。インタビュー動画から困りごとを出して、とりあえず解決できるアイデアを考えました。

Aさん 次第にまとまらなくなってきたので、最初に出したアイデアを切り捨てる方向で洗練していきました。

田中 最初にAIを使ったアイデアを多く考えていたよね。ロボットだとぬくもりがないからという理由で切り捨ていたのが印象的でした。

Cさん 生徒が気軽に発言できたらいいよね、ということから生徒がハッピーになるアイデアを考えていました。相槌ロボットとか、肯定してくれる「AIまゆさん(角田)」とか。生徒がデザイン思考に詰まってしまうのは、自信がないからだと思ったからです。自信を持たせてくれるハッピーなアイデアがいいのではないかという意見が出て、生徒にアプローチする流れになりました。

田中 ユーザーである角田さんからフィードバックもらってどうでした?

Cさん 角田さんから「割といいね。」と最初に言われて…

Bさん 嬉しかったね。

Aさん 2年生のデザイン思考の授業では、作ったものに対するフィードバッグをもらうことはなかったので余計嬉しかったです。そもそも作り直すシーンもなくて…今回初めてアイデアを作り直しました。

Bさん 今までは1回の授業でデザイン思考の5つのステップを1つずつ学ぶという授業でした。

Aさん だから1つのステップが長かったよね。3年生でやった企業の課題にデザイン思考で解決案を考える授業でもアイデア対するフィードバックをもらうことはありませんでした。

Cさん なかったね。アイデアに対してどれが一番良かったか投票されて終わりだった。今回の講座は確かにそうだなあと感じるフィードバックが多かったから新鮮だったね。

Bさん たくさんフィードバックもらえたからこそ、別の視点から改善案が考えられた。フィードバックをいただく場面が何回もあったので、次に必要なことが考えやすかったです。

ユーザーフィードバックの様子

田中 どんな視点からフィードバックに対して、なるほどと思ったのですか?

Cさん 「生徒が議論に熱中してる時に使えるか。」とか「グラデーション的に生徒や議論の状況が分かったら嬉しい。」「生徒が困る前にサポートできたらいい。」というフィードバックですね。

Aさん 自分たちも熱中した状態でアイデアを作ってるから、あまりユーザーのことを見えてなかったね。

Bさん 自分たちではわからないこともフィードバックで気がつけたよね。

Cさん 今までユーザーの人が実際どう思ってるかなんて全然わからない状況でやっていました。フィードバックをもらえたからこそ、その意見は確かに大事だよねと感じることがありました

田中 ユーザーの生の声を聞くことが新鮮だったんですね。何度もプロトタイプテストをしていましたが、プロトタイプを作るときに意識していたことはありますか?

Aさん まず使いやすさ。

Cさん アイデアを使うハードルは絶対あると思ったので、使いやすさは重視しました。議論の進捗を伝えるシートを磁石で貼り付けるアイデアなのですが、わざわざ磁石にしたのは生徒たちに使って楽しいと思ってほしかったから。パワーポイントとかで、図形を置くときにグリッドするじゃないですか、カチッて。ああいう感じが欲しいなって。それにとりあえず作ってみようという意識はあった気がします。

プロトタイプについて説明するCさん

田中 とりあえずやってみようと考えたきっかけがありましたか?

Bさん 2年生の時に石崎先生(産業技術高等専門学校でデザイン思考をご担当)から「とりあえずやってみるのが大事なんだよ」と何度も言われ続けたことですね。とりあえずやってみる精神が刷り込まれているのかもしれません。

Cさん それにチームで早くデザイン思考を回してみようという感覚はありました。

Aさん 僕ら落ち着けない人たちだから。なんかやらなきゃ!みたいな。

Cさん 今回の講座でも「思ってるよりデザイン思考を早めに回すのが大事だよ」と言われたので、意識してやっていたのもあったかな。

Bさん それにみんな似たアイデアを出してたよね。

Cさん 最初から同じようなアイデアがぽんぽん出てたので、じゃあとりあえず作ってみた方がいいんじゃないかと。

Aさん 途中経過プレゼンで自分たちだけ「さぐる」「きづく」だけで終わってしまったので、このままじゃダメだと思っていました。アイデアも方向性もまとまってないままだったので、危機感はありましたね。

Cさん 他のチームは1つのアイデアに絞っていましたが、僕たちはいくつか困りごとに対してアイデアを羅列している状態です、と共有しました。1回目という悪い例があったので、ユーザーフィードバックでも同じ状況にならないようにとりあえず進めようとしました。

途中経過プレゼンテーションの様子

田中 目的意識をもって取り組んでいた印象でしたが、何か気をつけていたことはありますか?

Cさん すごく個人的な話ですが、僕はグループワークに対して苦手意識があり、 最後の1年でどうにか頑張れないかなと思っていた矢先でした。今回は積極的にグループワークに挑戦してみようかと…それに僕の中学校の校長先生が「何でもやってみよう」「目的意識持ってやろう。困ったら何度も目的に戻って考えてみなさい。」とよくおっしゃっていました。おかげで僕もとりあえずやってみるという習慣があるかもしれないです。

Bさん みんなアイデアは出せるけど、なかなか先に進めませんでした。Cくんが中心になって意見をまとめてくれたおかげで、すごくやりやすかったです。次はどうしたらいいのか?考えることができました。

Aさん アイデアに対するフィードバックが的確だったことも目的意識を持つきっかけだったかもしれません。フィードバックを受けて次を考えること、ファシリテーターの手を借りてプロトタイプテストをすることなどは、ユーザーにいただいたフィードバックへの対策だと思っています。フィードバックを受けて、確かにテストできてない、作ってないなと刺さるものが多くて…テーマが「ファシリテーターの困りごとだった」こともあり、先生方のフィードバックより、ファシリテーターの皆さんのフィードバックの方がが響きました。

Cさん フィードバックもワーク趣旨も全体的に納得感があったので、じゃあやってみようかと行動に移しやすかったかもしれません。

ワークで気をつけていただことについて話す様子

田中 グループワークの時に意識したことはありますか?

Bさん 相手の意見を否定しない。もちろん自分も意見しますが、相手の意見もちゃんと聞いて否定しないようにするのは意識してましたね

Cさん 僕はとても意識してました。頑張ってました。僕は発言が強くなりがちなので、人の話はしっかり聞かないと、とずっと思っていました。

Aさん 毎回、チーム内で意見分かれた時はチームメイトに確認してたよね。なんでそう思うの?なんでこれじゃないと思うの?何を考えているの?とか。

Cさん 相手の意見を否定しない、というのは3 年生のデザイン思考の授業からずっと言われてきました。この講座でも、聞くと話すは50:50と言われていたので、相手の意見を否定しないことの重要性を感じてました。

田中 チーム全員で共通意識を持てたからこそ、次に進むことができたのですね。では、この講座で楽しかったことはありますか。

Cさん 珍しくグループワークがとても楽しかったです。先程も言ったのですが、グループワークがあまり好きではなくて…昔から自分のやる気だけが先行してしまって、チームの意見ではなく僕の意見になりがちでした。今回はうまくいった感触がある分、楽しかったです。それに、アイデアに対してフィードバックもらって、作り直すというサイクルが楽しかったです。

Bさん 自分の意見を出した上で、デザイン思考のサイクルを何回も回せたことが楽しかったです。3年生までの授業ではデザイン思考のサイクルを何回も回すことがなかったので、自分の考えが凝り固まっていた気がしていました。今回はグループの雰囲気がよかったということもあり、意見しながらサイクルを回すことができました。自分の凝り固まったところに気づくことができ、すごく新鮮でした。それに、今までは特定の人がチームを引っ張ってくれていたので、自分でデザイン思考をやってる感がありませんでした。今回はもやもやしてるところを共有しても、なんでなの?と全員が掘り下げてくれたので、自分の凝り固まった考えをなくすことができました。

Aさん 僕も今までのデザイン思考と違い、すごく新鮮味があったように感じます。高専生みんなが大好きな「つくる」という工程が多くて、作ったそばからすぐにフィードバックが来て、自分たちで改善案を考える流れがすごく楽しくて…今までのデザイン思考の授業は 1 回作ることがゴールでした。今回はつくってためして、つくってためしてを繰り返して、ユーザーの課題を解決するところがゴールになっていました。アイデアを作った先があるのが楽しいところかな。入学して初めて、ちゃんと意識してデザイン思考のサイクルを回したことも感覚がありました。実際手を動かして自分たちで作ってる感じがすごく楽しかったです。

田中 やっぱり高専生は作ることが楽しい?

Aさん もう、みんな作ること大好きなんで

講座で楽しかったことを話すAさん

田中 即答(笑)では、難しかったこと、大変だったことを教えてください。

Cさん 大変だったことは、アイデアがまとまらなかったことです。とりあえずアイデアを出してみたのですが、まとめる時にインサイト(ユーザーの本当の願望)がわからなくなってしまいました。それにインサイトを見つけるのも難しかったです。結局これインサイトなの?ニーズなの?それとも全く別のものなの?とわからなくなったり、インサイトが何個か出たけど何する?と迷ったり…うちの班は収束が苦手だったので、アイデアやインサイトを整理するのが大変でした。でも特別難しいところはなかったですね。話し合いが煮詰まった時もあったけど、それはそれで…

Bさん 僕もCくんと一緒かな。まとまらなかったところ、収束しなかったところ、僕も難しかったなあっていう感じがする。でもそれくらいかな。

Aさん 僕も同じようにアイデアが収束しなかったところが難しかったけど、あんまり難しかったっていう感覚なかった。難所って難所はなかった気がする。

Cさん え?収束のところなんかすごい難しかったなっていうイメージあるよ。「難所があるじゃん!わかんなーい!」って感じになったし。

Aさん まあ難しかったよ。たしかに

田中 それはどうやって乗り越えたんですか?

Bさん とりあえず言ってみる。

Cさん 話が止まりそうになっても、とりあえずみんな何か話してみる?と切り替えてました。こうじゃないの?と仮説をいっぱい出した気がします。

Aさん 確認すると、あ〜あなたそんなこと考えているのね、と解消することがありました。聞くことで、メンバーの引っ掛かっているものが何かわかりました。同じ点で引っかかってる人が複数いても、共有することでそれぞれ違う観点で考えていたのがわかったのはよかったです。

Cさん 引っかかっているメンバーも考え方のプロセスを含めて話してくれたので、納得感がありました。1人の引っかかりもみんなで共有できたから、理解できたよね。

グループワークの様子

田中 わだかまりを共有したからこそ、理解し合うことができたのですね。今回の講座から気づいたことやわかったことはありますか。

Cさん フィードバックは大事だということ。

一同 あ〜

Cさん 1人だけでは気づかないこともあるし、4人集まっても気づかないことはある。もちろんユーザーにしかわからないことがあるので、ユーザーからフィードバックもらうことは重要なんだと気づきました。価値観は絶対違うので、明確に違いを言ってくれるのが新鮮だったかな。フィードバックがなかったら膨大な量のアイデアが具現化してたかもしれない…

田中 今までのデザイン思考の授業では、フィードバックがなかったのですか?

Cさん ないわけではないですが…アイデアの1 つ 1 つに対して具体的なフィードバックをいただくことはありませんでした。アイデアをプレゼンする工程もなかったですし。

Aさん 3年生では ある企業からテーマをもらってデザイン思考で解決策を考えました。企業の方が学校にいらっしゃったのですが、アイデアをきちんとプレゼンをする機会はありませんでした。企業の方もファシリテーションが本業ではないので、プロトタイプをパッと見て、こうじゃないですか?と少しだけ意見をくださるという感じです。同じテーマに取り組んでいる班が3〜4つあったこともあり、時間もありませんでした。今回ユーザーである角田さんにプレゼンしてフィードバックをもらったことがすごくよかったです。

Bさん ユーザーがはっきりしていたからわりかすかったのかもしれない。

Aさん 相手の顔が見えていたのがよかったね。

2回目のユーザーフィードバックの様子

田中 最初からユーザーが設定されているプロジェクトと自分たちでユーザー決めるプロジェクトならどっちがやりやすいですか?

Cさん 個人的には最初にユーザーが決まってた方が、デザイン思考のプロセス自体にちゃんと集中ができそうです。ユーザーを見つけるところからデザイン思考だ!と言ったら、確かにそうなんですけど…ユーザーを見つけるのところで詰まったり、意見が分かれたり、空中分解してしまいそう…僕は設定されたユーザーの困りごとに対して解決策を考える方が、デザイン思考が楽しめる気がします。

田中 今後デザイン思考を生かしたいことはありますか。

Aさん 大学で同じようなカリキュラムがあれば生きると思います。

Cさん 就職してもデザイン思考を使えばアイデア出そうな気がします。デザイン思考のサイクルは物事を考える時に有用な気がするので、何事にも生きそうですね。

Bさん 研究とかにも使えそうだよね。研究は世の中の困りごとやあったらいいなを解決するものだと思っています。社会での困りごと解決にするにしても、きっと今回の角田さんの困りごとを解決することに近しいものがあると思います。同じような手順でやればうまくいけるって信じてるんですけど…ただ実際に研究でデザイン思考を使ってないので、正直まだわからないですね。

研究とデザイン思考との関係性についてBさん

田中 では、デザイン思考を使う仕事についてみたいと思いますか?

Aさん 楽しいは思うけど、ものすごく疲れそう。

Cさん 頭疲れそう…でもどうなんだろう?仕事ってそんなものと考えたら楽しいのかもしれない。新しいものを考えるのは楽しいから少し興味はあるかな。

Bさん デザイン思考を使った職についてみたいかって言われると半々ぐらい。技術系の職につくなら、困りごとに対してアイデア考えて社会を変えるものを作ると思うので…それとは別にデザイン思考のつくってためしてのサイクルは楽しかったので、またやってみたいです。

田中 普段の授業とデザイン思考講座の違いはありましたか。

Aさん 普段の授業でもモノを作る授業はあったけど、大半がそういうわけではないかな。

Cさん うちの学校はグループワークも結構あります。みんなで何か作る授業はたまにあったので…今回は4チームしかなかった分サポート受けやすかったです。クラスメイトは44人いるのですが、 4人班組んでも10チーム、対して先生は1人、多くて 2人。今回のテーマと共通をしますが、グループワークで欲しい時にサポートがないと停滞してしまう時間はありました。班が少ないかったし、時間もあったので、やりやすいかったです。

Aさん 手を動かす授業は多いと思います。週 1で実験があったり、 CPUを作ったり、C言語でゲーム作ったり、デジタル回路を使って何かを作ったり…ただ手を動かす授業で割合を占めてるのは実験ですね。ただ実験はモノ作るわけではありません。モノを作る授業が少ない分、今回の講座は新鮮さや刺激があって普段の授業より楽しかったです。

Bさん みんなは新鮮と言っていますが、僕はどちらかというと授業でもいろいろなモノを作っている感覚はあります。今回の講座では、アイデアを考えてみんなで作るのが楽しかったです。

普段の授業との違いについて話すAさんとBさん

田中 楽しんでもらえたようで嬉しいです。ではデザイン思考を学ぶ意義はあると思いますか?

Cさん デザイン思考の知識を持っておくだけでも価値があると思います。人によってはデザイン思考に合う合わないもあるかもしれません。その場合でも、こういう考え方もあるんだと知っておくだけでも変わると思います。それに問題解決の手段の1つとして、知識が自分の武器になります。

Bさん デザイン思考は自分の考えや意見を出し合う時に大切な気がします。デザイン思考を身につけておけば、世の中に出た時とかに使えそうですよね。今後はグループワークでも使っていきたいです。

山本先生 話し合いが大事だと気づいたきっかけはありますか?

Bさん デザイン思考への考えが凝り固まっていた時期は、わかっているようで、相手の真意がわかっていなかったことが多くありました。話を聞いてわかった気になって話し進めてたら、全然違う話だったとか…今回は自分の考えを共有することで、意見のすり合わせができ、グループワークははかどることに気がつきました。

Aさん やっぱり、とりあえずやってみようの精神が身についたのはすごく大きいかな。作ることは元々好きだったのですが、デザイン思考を学ぶ前は、とにかくやってみようの精神はなかったですね。学問を修めるにしても、仕事するにしても、やってみよう精神は大切だと思います。最近は色々なメディアでもとりあえずやってみよう、行ってみようとよく言われています。とりあえずやってみようの精神が身に付くのは、デザイン思考をやる1つの意味だと思います。

田中 やってみようの精神を身につけてから変わったことはありますか?

Aさん 日常生活の中で生きてるかは正直わかりません…ただ授業を受けるたび、前より積極的にやってみようと思えているなという実感はあります。

山本先生 特にどんな場面でやってみよう精神が役立っていますか?

Aさん 僕は卒業研究で役に立ってる気がします。卒業研究は先生からフィードバック受けながら進めていますが、ハードルが結構高くて…こんなものを先生に見せていいのか考えてしまいます。やってみようの精神があるだけで、先生に見せるハードルがガクンと下がります。これって合ってますか?とかこういう結果出たんですけどこれでいいんですか?と自分の意見が言いやすくなる点では日常生活にも生きてると思います。

田中 みなさんにとって学びあるプロジェクトになってよかったです。本日はお話いただきありがとうございました。


                    (インタビュー・文章:田中)

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