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酷暑が予想される今年!暑い日のお酒、実はこんなに危険かも?

CureApp宋医師が解説する夏の飲酒のリスクとその対策

夏が近づいてきました。BBQやビアガーデンなど、お酒を美味しく感じる季節になりついつい飲みすぎてしまう方も多いのではないでしょうか。しかしながら、夏の飲酒には危険がたくさん潜んでいます。今年の夏も平年より高い気温が続く見通しで酷暑が予想されます。そこで今回は、夏に起こりやすいアルコールによる健康被害を避けるために気を付けたいことをCureAppの社員で医師の宋が解説いたします。



東京で毎年1万人が救急搬送される危険な行為とは

 暑い夏に水分補給代わりにゴクゴクとビールを飲み干してしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。夏の飲酒で特に危険なことのひとつが「脱水になりやすいこと」です。アルコールには利尿作用があるので、飲酒により体内の水分が失われてしまいます。夏は発汗によりさらに脱水状態となり熱中症のリスクが高まるうえに、血中のアルコール濃度が上昇し、急性アルコール中毒のリスクも高まります。東京消防庁の調査によると、毎年1万人以上の方が急性アルコール中毒により搬送されています。月別に見ると宴会の多い12月についで、7月、8月の搬送者が多いことが分かっています*1。急性アルコール中毒になると意識レベルが低下し、嘔吐、呼吸状態の悪化など危険な状態になり、命を落としてしまうこともあります。<健康に配慮した飲酒の仕方>*2を参考に、十分に注意しましょう。

*1 東京消防庁HP https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kyuu-adv/201312/chudoku/
*2 出典:厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001211974.pdf

<健康に配慮した飲酒の仕方>

  1. 自らの飲酒状況等を把握する
    ご自身の飲酒状況を把握するツールのひとつとして、アルコールに関する問題をスコアリングするAUDITというテストがあります。10項目の簡単な検査ですので、是非受けてみてください。https://kurihama.hosp.go.jp/hospital/screening/audit.html

  2. あらかじめ量を決めて飲酒する

  3. 飲酒前または飲酒中に食事をとる

  4. 飲酒の合間に水、または炭酸水を飲む

  5. 1週間のうち飲酒しない日をもうける

睡眠のためのそのお酒、実は逆効果かも⁉お酒と睡眠の関係

 夏の夜は気温が下がらず眠れないこともあります。寝苦しい夜にはついついお酒に頼ってしまう方もいるかもしれません。日本人の30.3%が寝酒の経験があるという調査もあります。この調査は10カ国で行われ、寝酒率は日本がトップでした*3。アルコールは確かに寝つくまでの時間を短縮させますが、睡眠の質を著しく悪化させることが知られています。何度も目を覚ます中途覚醒や、朝早く目覚めてその後眠れなくなる早朝覚醒が多くなり、熟睡感も乏しくなってしまいます。アルコールを毎晩飲んでいると、お酒を飲まないと眠れない状態になってしまうこともあります*4。不眠症はうつ病をはじめとした様々な精神疾患の初期症状として現れることが多くあり、飲酒自体が不安障害やうつを引き起こしたり、気分の落ち込みを悪化させる要因にもなり得ます。お酒を飲まないと眠れない方は、医師に相談することをおすすめします。

*3 出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」https://www.mhlw.go.jp/content/001208251.pdf
*4 出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

夏は”痛風の季節” あの痛みを避けるには

 痛風は、高尿酸血症が原因で尿酸の結晶が足の親指などの関節に蓄積し、激しい痛みや炎症がおこる病気です。健康診断などで尿酸値が7.0mg/dlを超えていると高尿酸血症と診断されます。原因のひとつにアルコール摂取があります。昨今、健康意識の高まりとともに尿酸のもとになるプリン体を気にして、プリン体をカットしたアルコール飲料を飲まれている方も増えてきました。しかしながら、あまり知られていませんが実はプリン体が含まれていなくとも、アルコール自体に尿酸値を上げる働きがあります。飲酒や発汗で脱水状態になりやすい夏はよりいっそう尿酸値が上がりやすくなります。プリン体が多く含まれる食品、飲料を避けることも大切ですが、アルコールの量を減らすこともぜひ考えてみてください。

 生活習慣病のリスクを高める飲酒は「一日の平均純アルコール摂取量が男性40g、女性20g以上」と言われています。これには個人差があり、飲酒の影響を受けやすい体質の方はもっと少ない量で影響が出ることもあります。主な酒類の純アルコール量を下記に示しますので、ご自身にとっての適切な飲酒量を把握しましょう。

酒類の純アルコール量

健康は一日にしてならず。まずは「減酒」からスタートしましょう!

 夏に起こりやすいアルコールによる健康被害についてお伝えしました。今回ご紹介した健康被害の他にも、アルコールは高血圧、肝障害、様々ながんなど多くの身体疾患の原因であることが分かっています。このような健康被害を防ぐために、重篤な状態に陥る前にまずは飲酒量を減らす事が重要です。自身の飲酒習慣に不安を感じている方は一度かかりつけ医にご相談することをおすすめします。

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