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一定以上の技術と「私にしか撮れない写真」をどうか見つけるために|Artist Interview Mume - 4/5

What's "Artist Interview" ?
写真のCURBONが、「写真の階段の登り方」をテーマに、活躍中のアーティストにインタビューする連載企画。2020年10月現在は、Mume Takahashi / 高橋夢萌(以下、Mume)さんのインタビューを公開中です

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Photo by Ryo Ogawa / 小川遼

--- 「写真を仕事にする」というテーマでも、ぜひお話を聞かせてください。Mumeさんが、「写真が仕事になった」と思えるようになったのは、いつ頃からでしたか?

写真が仕事になった……ということを、対価をいただけるようになった、という定義に置き換えたとすると、謝礼をいただけるようになったのは2020年に入ってからのことです。

なので最近ですね。

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Photo by Mume

--- 写真が好きな人の中には、写真を仕事にする糸口について悩んでいらっしゃる方もいると思います。Mumeさんは、どうやってきっかけをつかんだのでしょうか?

うーん。理由は2つあるかなと思っていて、1つ目がInstagramに作品を載せて、誰でも見られる状態を整えていたこと。

2つ目は、自分から「写真の仕事を探しています」と、よく口にするようにしていたことだと思います。

もちろん、仕事をください、と直接的には言うわけではなく、写真で困ったことがあったらぜひ声をかけてください、という感じで。

たとえば、これはコロナ禍に入る前のことですが、クリエイターが多く集まる、渋谷のコーヒー屋さんによく通っていました。

そして、そこで知り合った方に「何をしている人なの?」と聞かれた際には、Instagramのアカウントを必ず見せていました。

その作風を気に入ってくださった方に、「今度写真撮って」とお願いしていただくことが、仕事をいただく直接のきっかけだったなと思います。

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Photo by Mume

--- なるほど……!現在は、どんな写真の仕事を手がけていらっしゃるのですか?

いまは、ファッションや音楽のジャケット、デリバリーサービス向けのテーブルフォトを撮ったり、作品撮りをご一緒させていただいたりしています。

もともと花に詳しいこともあって、最近は花を撮る写真講座の講師を務めたり。

あ、ちなみに、InstagramでDMをいただいて写真を撮るときは、フィードの雰囲気と似たものがいいとオーダーいただくことが大半なので、ワセリンを塗って撮影します。

が、それ以外のときはワセリンを塗らずに撮ることももちろんありますよ!(笑)。

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Photo by Mume

--- 使い分けができる、というのはプロのひとつの条件かもしれませんね。技術の向上という面では、何か心がけたことなどあるのでしょうか?

そうですね……。

2019年の春に、結婚式場のスナップカメラマンのアシスタントをしていたことが直結しているかなと思います。

記事が公開されたら追加

👆こちらの記事でも申し上げたように、最初につかせてもらったカメラマンさんが、その会社でトップ成績の方で。

その方に、結婚式の最中に、「カメラの設定、何にしているの?」「今の状況だと、こっちの方がいいよ」など実地訓練で教えてもらって、「そういうことか」と頭と体で理解を深めていった期間があったんです。

--- 写真を通して、お金をいただく場に身をおいて、実践経験を積んでいった期間に、写真スキルが大幅にアップした、というイメージですね……!

はい。もちろん、その時に教えていただいた設定は、以前から知識としては持っていたものだったと思います。

高校生の頃、写真部に所属しながら、週に2度ほど定期的に写真を撮っていたときも、設定については顧問の先生が丁寧に教えてくれていたし、撮影の際は、設定を説明するプリントが配られて、それを読んだりもしていましたし。

でも、暗記だけしていたんですよね。「シャッタースピードを早くすれば暗くなる」「遅くすれば明るくなる」くらいの理解レベルで。

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Photo by Mume

結婚式場での日々を経て、いまは全然違います。

カメラの設定に関しては、自分の中での「基本ルール」が定まっていて、たとえば晴れの日だったら「ISO100 F1.8」、室内だったら「F値固定、ISOだけを変更して撮る」、などにしています。

基本ルールがあると、迷わないし、調整がしやすいんです。モデルさんと撮影する際も、「あ、今だよね」という瞬間を逃すことなく撮れるようになりました。

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Photo by Mume

写真を仕事にするためには、一定の技術って必要じゃないですか。

ある程度は、撮れないといけない。その上で、自分にしか撮れないものがないと、じゃあ誰でもいいやとなってしまう。自分の価値が上がらないですよね。

自分にしか撮れないものだったり、発想だったり、場所だったり、色の使い方だったり……そういうことを学ぶというか、知っていく。「自分で気がつけたひと」が伸びるし、仕事につながるような気がしています。

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MumeさんのInstagramフィードより

あと、私でいうと、いま、Instagramのギャラリーがオレンジ色なんですよ。

これは、意図的に、狙ってオレンジにしているということはないです。でも、撮ったときにオレンジっぽくない写真でも、オレンジっぽくしたほうが私は好きだな、と感じたら、現像の際にオレンジ色にするということが多くて。

SNSで、オレンジ色の写真を撮るひとって、あんまりいないんですよ。青っぽい写真じゃない、となったときに、そこで探してもらえる。目についてもらえる。そこは、強いところかなと思います。

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Photo by Mume

--- 学びが深いです……。この記事、できれば写真を仕事にしたい、たくさんの方に読んでほしい。Mumeさんは、今度、どうしていきたいとかってあるんですか?

えっと、それでいうと、どうしていったらいいのかわからなくて、というのが正直なところで……。

現在ウェディング系の学校に在学のため、じつは就活中なのですが、ウェディングのスタジオだけでお仕事をさせていただく、というイメージがあまりわかなくて。これは、一度やらせていただいたからこそ、持てた実感なのですが。

今の仕事はもちろん続けさせていただきながら、自分の撮りたいもの、表現したいものが、あとから仕事になっていく……たとえば書籍の装丁や、音楽のジャケットなどでしょうか。そういう仕事もできたら、一番幸せそうな気がしているのですが、世の中そんなに甘いことはないかなと思ったり。

迷っています。そもそも、この情勢下で、ウェディングの仕事自体が全体的に減速方向ですし、迷いますよね。

仕事については、偉そうなことを言ってしまいましたが、個人としては絶賛迷っている最中なので、もし私の作品を見て、こんな仕事はどう?など声をかけていただいたら、とっても喜びます。

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Photo by Ryo Ogawa / 小川遼
Mume Profile
学生業のかたわら、フォトグラファーとしても活動。Instagramで公開している作風が人気を呼び、撮影問い合わせがあとを絶たない。音楽ジャケットやテーブルフォト、ファッションなど多ジャンルでも幅広く活躍中。

2020年fotomoti主催「次世代スター発掘キャンペーン」審査員特別賞受賞。使用機材はCANON「EOS 5D Mark II」 
次回更新予定
写真を撮ることは、深呼吸みたいなもの|Artist Interview - Mume 5/5

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