私はみんな私『2023.12.16』

雪国が本気を出してきた。


今日は大雪だった。
出張から帰ってくる父が、母に「昼くらいには家に着きます」といつもは無い連絡をしてきた。私も母もはてなマークが浮かんだが、「昼くらいには帰れるから買い物の準備をしておいてね」の暗号文だったようだ。

今日は大雪。だけど明日はもっと吹雪くと天気予報が言っていた。
確かに、窓越しに外を見ると、積もる雪が降ってくるのが分かった。雪国育ちの人間は大体、積もる雪が積もらない雪かの判別が出来る。

土日は父の仕事が休みだから、家族で買い物に出掛ける。スーパーに行ったり、本屋に行ったり、いつも行くところは決まっているのだけれど、私はこういう日が好きだ。

後部座席に一人、片方だけイヤホンをしながら「MVの主人公になりきる」という全国民が一度は経験したことのある行動をする。そんな時に色々なアイデアが出てくるのだ。


どんどん思いつき、どんどん書き溜める。書き溜めた文を消費していないから、溜まる一方なのである。
今日こそは書くぞ、今日こそは考えるぞと思っているのに中々手が出ない。

自分でやる気スイッチを作らなければいけないのに、製造までに時間が掛かる。

机に向かってテスト勉強をする時、洗濯物を畳む時、ストレッチを始める時、物語を書くのにパソコンを開く時。

私は別の人間になる。

うだうだしてやる気のない私の目の前に、映画の撮影で使うカチンコが現れる。

私は女優ではないけれど、カチンコが見えてやっと「𓏸𓏸をする自分」になれる。

「よーい、はい!」

誰の声か分からない声でカチンコが鳴らされると、別の人間が動き出す。やる気が起きなかった私では使い物にならないと、もう一人の私が動き出す。

何かをする時には、いつもそうやって動いてきた。
自分でカチンコを鳴らさなければならないのだ。

今まで書いてきた日記で、たくさんの別の人間・人格の話をしてきた。だが、こうして日記を書いている私も、物語を書く私も、洗濯物をたたむ私も、仕事を辞めた私も、私だ。たくさんの私を率いているのが私。やらなきゃいけないことを、やる状態に出来るのは、いつだって自分なんだ。

小さな理由を作って、逃げるのはやめよう。小さな理由で、きっかけを作ろう。

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