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ラーメンは飲み物です

以前書いたことのある話題を再び。

ドイツのラーメン屋では、ドイツ人たちが「ラーメン、麺抜きで」という注文をすることがある。

いったい何の世界観に基づいて、こんな注文をするのか?

その背景には、彼らのスープ文化がある。ドイツにはラーメンやうどんに似た食べ物がないため、彼らはあくまでこのような汁物の食事を「スープ」と位置づけざるを得ない。

それに伴って、ラーメンやうどんの麺は、あくまで「スープに入れる具」と定義される。だから具が少ないスープを飲みたい時には、麺を抜く、という思考回路になる。

背景をキッチリと聞けば理解できるけど、背景が(少なくとも僕にとっては)想像の範囲を超えてしまっているので、聞いてみない限りは理解できない。


今回も、これと同じような経験について。

ドイツに住んでいた当時、ドイツ人同僚2人と一緒に昼食としてラーメンを食べた時のこと。改めて、世界観が違うと思い知らされた。

ラーメンは飲み物

ドイツ人同僚たちとお昼ごはんを食べに、他社の社員食堂へ行った。この会社は諸事情があって、社員食堂を地域に開放していて、他社の従業員であっても食事させてもらえていた。

多彩なメニューがある中で、3人ともラーメンを選択。

因みにその会社はインド人の従業員も多く勤務しているので、ラーメンのスープはカレー風味でスパイスたっぷり。かなりコッテリしている。セルフ方式になっていて、お盆にどんぶりを載せて、自分で具とスープをどんぶりに入れる。

僕は最初に、トングで麺を山盛り入れる。そしてその上からスープを注ぐ。いわゆる日本人に馴染みのあるラーメンの配合。日本人ですので。

同僚の一人は、スープだけをどんぶりに注いで、麺は全く入れない

もう一人は、スープをどんぶりに注いで、麺はトングの先で数本だけつまんで、パラパラっとかけるだけ。まるで味噌汁にのせるネギみたいに。

ドイツ人同僚たちは、その「ドイツ人的に解釈したラーメン」を、スプーンだけで全て飲み干す。彼らにとってはトマトスープや野菜スープと同じ感覚みたい。

その「ドイツ人的に解釈したラーメン」は、典型的なドイツ飯である肉やジャガイモの食事と比べると、カロリーが低くて、栄養があって、発汗作用のあるスパイスも入っているので、素晴らしくヘルシーな食事・・・と同僚たちは考えている。従って同僚たちは「今日はヘルシーな食事にしてみた」とか言いながら汗だくで飲んでいた。本当にヘルシーなのか、僕の目ではかなり疑問を感じるけれど。

一方で僕は、お箸を使って大量の麺を食べ尽くした後、スープを数口飲んでごちそうさま。

スープを残していたら「食事は終わったの?」って聞かれた。


「うん、日本人は、ラーメンのスープを全部飲む人もいれば、飲まない人もいるから」。

ドイツ人同僚
???スープなのに敢えて全部飲まないって、どういうこと?栄養もいっぱいあるのに??」

って、理解不能な顔された。


「いや、日本人にとってもスープはスープなんだけど、でもいわゆるドイツ人にとってのスープとは違うっていうか。。。」

同僚たちは、ラーメンとはあくまでスープであり、それがヘルシーな食事だと頑なに信じている。その人たちに対して、「日本でラーメンやうどんのスープを必ずしも全て飲まない文化」を説明して納得させるって、、、意外と難しい

by 世界の人に聞いてみた

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