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スピーチする時の頭の中を教えてください

久しぶりに「人の頭の中」シリーズについて書いてみよう。

むかしドイツで働いていた時に、「スピーチする時に、人は事前に頭の中をどのように準備しておくか」について興味を持ったので、職場の同僚たちに聞いてみた。

この「スピーチ」とは、資料とかプレゼンなどの書き物を何も見ないで、ソラで喋る時のことを指している。

というのも、欧州の人たちは一般的に喋ることが得意な人が多く、人前で見事にペラペラと喋ることができる人たちを僕はたくさん見てきた。

もちろん中には「ペラペラとそれっぽい喋り方をするけれど、中身がない」というパターンの人もいるけど、総じて言えば、上手に聞かせる喋り方ができる人は多かった、というのが僕の個人的な印象。

いずれにしても、僕は学べることがあれば学んでみたい性格なので、一体彼らは書き物を見ずにスピーチをする時には、あらかじめ頭の中を一体どんな感じで準備しているのかを聞きてみたいと思った次第。

僕自身は

因みに、僕自身は資料やプレゼンに沿って説明することには慣れているんだけど、「何も見ないで喋るスピーチ」については、あまり得意ではない。

それでも、時には人前でスピーチするケースもあるので、試行錯誤して自分なりの方法を身につけるようにした。

僕なりの方法というのは、喋りたい内容を予め「目次」として整理する。そして、それを頭に浮かべながら喋るようにすること。

「目次」とはどういうことかと言うと、まずは話す内容を、大きな章やそれに付随する小さな項目に整理して、端的な言葉にまとめてメモ用紙にまとめて書く。

次に、そのメモをビジュアルとして自分の頭の中に思い浮かべられるように記憶する。僕の脳は、画像で思い出すのが向いているタイプなので。

で、実際にスピーチする際にはその目次に沿って話を進めながら、具体的な中身については都度思い出しながら話を進めていく、という要領。

ドイツ人に聞いてみた

さて、何人かのドイツ人同僚たちに聞いてみたところ、聞いた範囲ではみな同じような答えだった。それぞれに表現は違うけれども、言っていることは基本的に僕の方法と同じ。

ドイツ人同僚たち
「まずは、話の幹となる重要な項目をいくつかピックアップするんだよね。そしてその幹に関連する小さな話題を集めて、幹の周りに枝葉をいくつかくっつけるようなイメージで整理する。そしてそれを頭に思い浮かべながら話をする。大きな幹さえ見失わなければ、枝葉はいくつか忘れても、まあ問題ないでしょ」

ということで、やっぱり一言一句を憶えるというわけではなく、大きな流れを頭に置きながら話をする、という要領だった。

幹と枝葉

ここからが更に興味深かった。だいたいみんな口を揃えて同じことを言う。

ドイツ人同僚たち
「何はさておき、一番大事なことは、とにかく鏡の前で自分を見ながら練習すること。それを何度も何度も繰り返せば、喋っている内容が自分のものになって定着して、自然に流ちょうに喋れるようになる」

というように、大事なスピーチの場合は、みんな鏡の前や、奥さんとか旦那さんの前で練習する、と言っていた。日本人的には少し照れるけど。

なぜ何度も練習するのか?その狙いも説明してくれた。

ドイツ人同僚たち
「スピーチで一番大切なことは、相手の心に伝えることでしょ。そのためには、自分も内容をしっかり心から理解して腹落ちした上で、相手の目を見て自信をもって話しかけないと。でないと、絶対に相手の心に届かない。だから何度も練習をして、言いたいことをしっかり自分のものにした上で、語り掛けないとね」

と、力説していた。

ドイツ人は皆さんあれだけペラペラ上手に喋るから、何か特別な秘訣があるのかなー、それを教えてほしいなぁ、と思っていたんだけど、意外と地道な答えだった。突飛なテクニックはない、ということなのかな。

学んだこと

こうやって同僚たちに聞いてみて、学んだことは。

あくまでスピーチで大切にすべきことは、単に頭の中だけで整理してスラスラ喋ることがポイントではなさそうだ。それよりも、伝えたいことを自分で腹から理解して、それを体を動かして練習して、総合的に「自分のものにする」。

つまりスピーチというものは、頭の中や口だけで行うものではなく、身体全体から発信するもの、と理解するのがよさそうだ。というのが僕の学んだことだった。

さて、みなさんの場合は、スピーチする時にはどうやって準備するでしょうか?

by 世界の人に聞いてみた

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