「古き良きオクトーバーフェスト」について聞いた話①
例年であれば、今頃はドイツ南部のミュンヘンでオクトーバーフェストが開催されている時期(*ドイツに住んでます)。オクトーバーフェストは9月中旬頃から10月上旬までの2週間に600万人が集まる大イベント。でも昨年に引き続いて、今年もコロナの影響で中止に。
オクトーバーフェストとは
このお祭りは、元々の原型となる風習があった。
ずっと昔の冷蔵技術がない時代には、 気温が上がる春から夏の時期にビールが醸造できなかった。だから暑くなる前の3月に、夏に飲むためのビールを作り置きしていた。そのビールは長期保存しやすいように、通常のビールよりもアルコール度数を少し高く6%程度に醸造。そのアルコール度数の高いビールは、醸造する時期の3月(ドイツ語でメルツェン)から名前を取って、メルツェンと呼ばれる。
春から夏の気温が高い時期には、人々はこのメルツェンをずっと飲む。そして9月下旬には醸造が再開できるから、その時期に3月に作りだめした古いメルツェンを飲み切るために、ビール祭りが開催されていた。これがオクトーバーフェストの原型。だからオクトーバーフェストでは、その時の風習のなごりで今でもアルコール度数が高いメルツェンを飲む。
その後、1810年にミュンヘンを中心とするバイエルン王国で、皇太子(ルードヴィッヒ一世)の結婚式のお祭りが行われた。このお祭りと、元々の風習が合わさって、現代まで続くオクトーバーフェストになった。
会場は、ミュンヘンの中心部にある「ヴィーズン(芝生)」と呼ばれる広大な空き地。この場所は基本的にオクトーバーフェスト会場のための専用敷地になっていて、開催されない時期の大半は空き地になっていて利用されていない。めっちゃ都心部にあるにも関わらず。
3つの場所での楽しみ方
会場全体は、大きく分類すると3つの部分が混在している。
①ビッグテント
巨大なテントの中でビールと食事。お昼くらいからはバンドも出てきて、この地方(バイエルン地方)の伝統音楽を演奏。ビッグテントには比較的若い人たちが多く、「ザ・オクトーバーフェスト」的に大いに盛り上がる。混雑する週末は既に午前中で満員になってしまうことが多く、更に夕方以降は本格的な酔っ払いで満ち溢れてカオスな感じ。
②ビアレストラン
個性豊かなレストランの中で、食事をしたりビールを飲んだりバンドの演奏を聴いたり。地元伝統の山小屋風の建物が多く、料理はソーセージ、仔牛、鴨、ジビエなど、得意分野に特化した料理が出てくる。ビッグテントほどは混雑していないことが多く、週末であっても、昼過ぎに入っても座れることもある。それほどのカオス状態ではないので、子連れの場合はこちらの方が無難かな。
③移動遊園地
本格的な移動遊園地が設置され、子どもはこちらで楽しむ。ジェットコースターや観覧車などもあるし、射的コーナーやお菓子の飾り(レープクーヘンと呼ばれる)を売るお店など、多彩な出店がたくさん出ている。
会場外のパレード
これは会場外でのイベントだけど、有名なのは2日目にミュンヘン市内で行われる民族パレード。ビールの醸造所がフェスト用のビールを馬車に積んで運んだり、近隣の村またはヨーロッパ一円から集まった人たちが、それぞれの伝統の民族衣装や中世時代の衣装を着たりして、行進する。
前置きの「オクトーバーフェストとはなんぞや」だけで既に長くなってしまったので、本題の「古き良きオクトーバーフェスト」の話は次回に ↓。
by 世界の人に聞いてみた
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?