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ミントと蛸の生春巻き、そして夏の断捨離へ。


家の改装に伴って、
9月から約3ヶ月のあいだ
少し自宅から離れた海沿いに
老犬と夫婦ふたりで住まうことになりました。

自宅のミントたちともしばしのお別れ。
この夏は、特に世話になったハーブでした。

仮住まいの家の近くには地ダコの直売所もあり、
遠さを嘆くより、せっかくなら楽しんで暮らしてみようと思っています。

魚屋さんでおすすめだった江戸前のたこに
刻んだミントを和え、
レモンや酢で軽くしめたものを、
きゅうり、ラディッシュ、にんじんなどの千切り野菜と合わせて生春巻きに。
ミントの葉は、酸味やチリソースとも好相性です。

きゅうりと冷たい野菜スープをミキサーにかけ、
大人にはミントとハラペーニョ唐辛子を加え、
仕上げに酢とヨーグルト、塩胡椒を少々混ぜた
すっぱ辛いスープに。
いつまでも暑い今の季節にぴったり。
さっぱりします。

ハーブティーの風味がお嫌いでなかったら、
夏の簡単おかずの定番、冷しゃぶにも。
パクチーのように葉のまま巻いても、刻んでたれを作っても。

汗をかいたあとのビールもいいけれど、
モヒートやミントジュレップも夏にはなかなか捨て難いもの。

どんな厳しい季節にも、
乗り切る味方がいると、心強いなあと思います。


終わりの見えない暑さとともにあった
2023年の夏。
私にとっては
どうしても家の一階部分を空にしなければ、という重石が後ろ背に乗っかったまま離れない、
そんな少々追い込まれ気味の日々でした。

25年ぶりの引越し、
そしておそらく人生最大の、断捨離。
引っ越しはみんなが手伝ってくれても、
断捨離は、自分の過去や今に向き合うことがどうしても肝要で、誰かに任せて済む訳もなく。
当初は遅々として進まず、
一と月半くらいかかったかと思います。
ギリギリになってからやっとお尻に火がつき、
終わって振り返ってみれば
少し手離しすぎてしまったかもしれません。

のちに子供たちが処理に困りそうなもの、
写真、本、雑誌、衣服、ビデオ、器に布、紙、雑貨から家具、家電に至るまで、
これからも必要なもの、大事にしたいもの以外の全てを、譲ったり売ったり処分したりしてしまいました。

これまでは、それらを部分的に断捨離しては
♪やったやった♪片付いた、とご満悦だった私。

ところが、屋根裏の納戸の奥底、各部屋の天袋に至るまで、全てを出してみれば、、
予想を遥かに超える夥しい数のモノに溢れた我が家の全体像に、やっと気づくという有様だったのでした。

それからは忙しい日も休日も、
降っても照っても曇っても、
家にいるたび、この25年分の荷物と格闘し続けることに。
中には迷ったものも数多くあり、
この日までに空にしなければいけない、という縛りがなければ捨てられなかったかもしれませんが、
終わった今はやはり、やって良かったのではないか、と思えるようになりました。

片付けをしている途中で、宝石箱の中で絡まり合った銀色のネックレスを見つけ、
ちょうど荷物運びに疲れていたのもあって、
休みがてらそれを少しずつ解きはじめました。
意外と頑固な絡まり方で、家人も加わって2人がかりでまち針片手に解き作業に没頭し…
小一時間ほどの格闘のすえ、
するするする、と3本が外れた時、
断捨離で人生観が変わると言われるのは、もしかしたらこういう事なのかもしれない、と
なんとなく感じたのです。

色々なものにまつわるそれぞれの思い出や歴史、
そしてその当時の忙しさや余裕のなさ、
これから要るかも知れない、後で見たくなるかも知れない、という不確かな予測、
そういった要因たちが積み重なり、絡まり合うままにいつしか思考停止状態に陥って、
頭の中までこんがらがっていく。
そんな未来は、誰だって選びたくないはず。

ゴミ屋敷の報道に接しても、
それまでは全くの他人事だったけれど、
もしかしたら特別な人の奇異な状況ではなく、
固く絡みついたネックレスのように
あそこまでのありさまになる可能性は 
誰にでもあるのかもしれません。

いい歳をした今になって 
しみじみとそんなことに気づくなんて
恥ずかしいようですが。

ミニマリストにはなれなくても、
物の数と種類と在処が把握できるだけの量で暮らしをやりくりすることができると、
家だけでなく自分の頭の中も、なんとなく風通しが良くなった感がありました。
さまざまな考えが働きやすくなったり、
衣食住あらゆる面で、あれとこれを組み合わせると、という発想もより生まれやすくなったり。

屋根裏に仕舞い込んでいたものと同様のものをうっかり買ってしまっていた、という気づきもあり、
新たに買うものがほんとうに必要なのかの判断も、前より早くなれそうです。

長々と、小さな家の大荷物の話を語ってしまいました。
やっと終わって今は放心状態ですが、
これから向こう3ヶ月間、
この非日常を元気に面白がって行こうと思っています。


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