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プロジェクトマネジメント入門④「ステークホルダーマネジメントについて」

弊社執行役員の細澤新太郎が、公開経営指導協会さまの会報誌にて連載させて頂いているプロジェクトマネジメント入門に関して、第4弾ステークホルダーマネジメントについて掲載させて頂きます

はじめに
コロナ対策、SDGs、DX、カーボンニュートラル、など、ビジネスにおいて時世に沿った課題/検討観点は、絶えず発生しており、これらへの対応/解決を目指す取り組み(プロジェクト)も多く発足しています。「プロジェクト」とは「特定の目的を達成するための、臨時組織による、有期性の活動」と定義されています。企業活動においては、中長期的な観点にて、「課題の解決」や「目指すべき状態の達成」のための取り組みと言い換えられます。
タイトルとなっている「プロジェクトマネジメント」は、いかにプロジェクトを正常着地させるか(Q(品質)、C(コスト)、D(納期)を計画内におさめるか)を主眼とした、プロジェクトの管理技法です。第4回の今回は「ステークホルダーマネジメント」に関して掘り下げていきます。
 
ステークホルダーマネジメント
ステークホルダーは、ビジネスシーンなどでは一般に「利害関係者」と訳されます。プロジェクトチームのメンバーだけでなく、プロジェクトオーナー(スポンサー)、株主、ユーザー、外注業者など、プロジェクトに影響を与えたり、またプロジェクトによって影響を受けたりする人や組織を指します。さまざまなステークホルダーの中には、必ずしもプロジェクトに肯定的でない人もいます。状況によっては、それがプロジェクトの進行の妨げになることもあります。ステークホルダーの影響度などをよく分析し、プロジェクトに積極的に関与、協力してくれるように働きかけていくのが、ステークホルダーマネジメントの目的です。
大きく、各ステークホルダーの属性/状態を把握し、適切な形でのプロジェクト関与を促すための方針を検討する「計画」のフェーズと、「計画」フェーズで検討した方針に沿ったアクションを推進する「実行」のフェーズがあります。
 
〇計画
ステークホルダーマネジメントの「計画」プロセスでは、次のような作業を実施します。
・プロジェクトにおけるステークホルダー(利害関係者)を特定する
・ステークホルダーの役割、影響度、現時点の関与度を把握する
・ステークホルダーが適切な形でプロジェクトに関与するように促すための方法、戦略などを決定する
 
ステークホルダー分析:権力と関心度によりステークホルダーを分析し、対策検討の際の判断材料にする。

ステークホルダーの関与度:ステークホルダーの関与度を現時点の立ち位置をもとに5段階に分けて評価する

 
〇実行
ステークホルダーマネジメントの実行プロセスでは、次のような作業を実施します。
・計画に沿ってステークホルダーとコミュニケーションをする
※過度な期待をステークホルダーが抱いている場合は期待値調整をする(ハードルを下げる)
・ステークホルダーの関与度(味方具合)が想定通りかをチェックする
※想定と差異がある場合は原因を明らかにし、解消するためのアクションを検討する
 
ステークホルダーとのコミュニケーションにおいては、コミュニケーションの目的を明確にし、話す順序や資料の構成を工夫する事で、伝えたいことが正確に伝わるようにする必要があります。プロジェクトへの影響度合いが高いステークホルダーに関しては、日頃から小まめなコミュニケーションを心がけましょう。
 
【column:ステークホルダーマネジメント小話「できるだけ敵は作らない?!」】
プロジェクトが頓挫したりする原因の多くは“人”です。敵は作らないに越したことはないのですが、そう簡単なことではありません。初めからプロジェクトを歓迎していない人もいれば、あまり関係がないのに、途中から「そんなの聞いていないよ」とクレームをつけたり、完了目前になって「こんな業務成り立たない」と怒り出したり……。突然、プロジェクトの抵抗勢力となって、立ちはだかることもあります。
敵を作らないということでは、例えば人に何かを伝える場合、その頻度や伝える相手の順序などに注意が必要です。「先にこちらに話を通すべきなのでは?」などと、傍から見ればどうでもいいようなことが抵抗勢力を生む火種になることもあります。何に怒っているのかは、その人の価値判断基準が表れるところでもあります。
問題が起こったら、とにかく早く適切に対応をすることが重要です。それには、相手の価値判断基準を知り、うまいアプローチ方法を考えること。孫子の『兵法』でなくても、「敵を知る」ことは、勝つために不可欠です。また、いろいろなルートからアプローチできるように、日頃から人脈を広く持つことも重要です。たとえ対立する相手でも、信頼する〇〇さんに間に入ってもらうことで、「〇〇さんが言うなら」と解決できることもあります。アプローチ次第では、敵が一転、頼れる味方になることもあります。

【プロフィール】
◆名前:細澤新太郎
◆役職:執行役員
◆出身地:静岡県
◆趣味:ロードバイク、漫画、段ボール工作
◆座右の銘:「楽しむ」
◆社内部活動:ボードゲーム部
※ボードゲーム部は、ボードゲームが好きなメンバー 約 15 名が所属する社内部活動です。 社内のレクレーションルームに集まって、 ボードゲームを楽しんでします。 ボードゲームは論理力が試される場面があり、 その人の性格がよくわかります。
【略歴】 大学卒業後、倉庫管理システム(WMS)パッケージベンダーにて、海外事例も含め様々な案件に従事。2008 年、株式会社キューブアンドカンパニー入社。製造業、流通小売業、飲食、運輸業などの事業領域にて、組織戦略、現場改善、システム導入PM/PMOに従事。
【著書】『初めてのプロジェクトマネジメント 〜最短理解で最大成果!』

◆会社概要
企業名:株式会社キューブアンドカンパニー
本社所在地:東京都中央区東日本橋 2-7-1 FRONTIER 東日本橋 7F
代表者:代表取締役 荒内慎孝斗
創業:2007 年 3 月 12 日
事業内容:戦略コンサルティング/IT コンサルティング/業務コンサルティング/パブ リック・アフェアーズ支援/人材教育サービス/通信サービス/WEB サイト運営 等 ホームページ: https://cube-company.com/company/