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心の声を聞き分けて本当の幸せに向かう

一つの山に登れたら次の山に向かってまた登り始める。そうやって自分を成長させてきた、すがさんこと菅沼博之さん。実際に十分なお金も手に入れるところまで辿り着いたという。しかし、それでも「幸せ」という一番たどり着きたいところの実感が得られずに絶望感を感じ、自分にとっての本当の幸せとは何かを探究しそれを見つけるまでのストーリー。

Co-Active Story vol.20 菅沼博之(すが)さん
Profile:
ファイナンシャルプランナー(AFP)。MDRT成績資格終身会員。 CPCC(CTI認定資格)取得プロコーチ。 防衛大学校人文社会学部卒業。 十以上の会社の営業とWEBテレビの起業を経験し、30歳からFPとして活動。 2000世帯以上のコンサルティング経験を経て「お金の課題を解決しても、それだけでは真の豊かさ、自由、幸せは得られない」と、 FPの限界を感じ、「『お金×こころ』の両面から人生を豊かにし、世界を自由にしていく」ことを志すようになる。 40代に入り、CPCCを取得。 現在はFPコンサルティングとコーチングを軸に活動中。


―今日はよろしくお願いします。コーチングを学び始めた頃、すがさんは人生のどんなところにいたのですか?

40代になって、すでにFP(ファイナンシャルプランナー)として成果は結構上がっていたのですが、自分の中のモチベーションがなくなってしまって行き詰まり感がありました。


―成果は出ているけど、モチベーションがなく行き詰まり感があった。

そうなんです。元々FPになったのは、人生を豊かにするにはお金が必要だと思い、自分自身がちゃんとお金を手に入れたかったし、お金について学んだことを周りの人にも伝えていきたいという理由でした。

自分が情熱を持って仕事をすることで、自分も周りの人も豊かにしていけるなんて、最高の仕事だなと。実際に学んで仕事に活かし、少しずつできることが増えてくると思った通りに成果も出たし、お金も得られるようにもなって、とても楽しかったんです。

20代の頃に目標をノートに書いたんです。収入は月収いくらで資産はいくらとか。まあこのくらいあれば、そのお金を投資に回して経済的な自由を手に入れて、働かなくてもある程度暮らしていける状況になるなとか。その状況になったらすごく幸せになると思ったんですよね。


―資産がこれくらいあると幸せに暮らせると。

そうですね。それを実際やってきて、30代後半の頃にある時気づいたら、当時書いていたことを達成していたんですよね。たまたまいろんな投資がうまくいっていた時期に見返したのもあったんですけど、目標としていた資産を超えていたんです。

なので頭で考えれば幸せだと思うのですが、心はすごく空虚な気持ちがあったんです。 なんて言うんでしょうかね。お金があれば幸せになると信じてたんですよね。みんなを経済的に豊かにすれば幸せにできると思ってFPにやりがいを感じてきたのに、実際にお金がある状態に立ってみたら自分が幸せじゃないぞと。絶望感を感じましたね。


―絶望感。



お客さんも幸せになるし、自分も幸せになれるからFPとしてそれを提供してきたのに、本当の意味で幸せになれないんだったら、提供すること自体にちょっと疑問を持ってしまったというか。やっていていいんだろうかと思ってしまったんです。

このままもっと頑張ればいいのか…でもなんか違う感じがするし。自分自身がゴールがわからない状態になってしまいました。それで、モチベーションが上がらなくなり「そもそも自分にとっての幸せとは何か?」について自分と向き合うことにしたんです。


―そういう背景があったんですね。

自分について振り返ってみると、20代の頃は何をやってもダメで。でも、30代になってFPの仕事をし始めたら自信を手に入れることができました。自分の長所を活かした形で仕事ができる、自分のライフワークだと思っていて、実際にお客さんが喜んでくれている姿も見てきたし、家族も幸せにできている自負がありました。

ただ、自分がそうしてきたモチベーションの元には、母親と父親が喧嘩ばっかりして離婚してとかいろいろあって、お金のことでゴタゴタして「結局お金がないと幸せになれないんだ」とか、そういう自分にとっての強烈な体験がいっぱいあって「両親のようにならないように」っていうのがあったんですね。


―そうだったんですね。

お金があればこうはならないなとか。こうならないためにはやっぱりお金が必要だとか。そういう風に思うようになっていって、お金をしっかり蓄えるにはっていうところで頑張っていたんだなと。


―「そうならないように」をモチベーションにしていたのですね。

はい。その時はこれが自分の本当の声だと思っていたんですよね。 ただ、その声がどちらかというと「頑張んなきゃいけない。そこにたどり着かないと幸せになれない。たどり着けなかったらお前はもう奈落の底に落ちてしまう」みたいな悲壮感の声だったんですよ。

要は走ってきたモチベーションが、悲壮感をエネルギーにしていたんです。負のエネルギーからくる声を聞いていたんだと思います。「もっと成長するんだ」とか「絶対にお金を稼がなきゃいけないんだ」とか「立ち止まったら両親のように不幸に引きずり込まれる」みたいな。


―結構しんどいですよね。

自分にとっては、命の危険を感じるぐらいのことを深層心理で感じていました。だから、ようやくたどり着いた時に、動けなくなってしまったというかどこにも進みたくないみたいな、幸せというよりはもう腑抜けてしまって、もう何もしたくないみたいな。

その時は、負のエネルギーをモチベーションにしているなんて気づいてなかったんですよ。心の声を聞いているつもりでいたけど、そういうエネルギーが根源にあったから、たどり着いたらエネルギーがなくなってしまったんだと思います。誰にでも当てはまることじゃないかもしれないんですけど、似たようなことがある人もいるのかなと。


―モチベーションにも種類がありますね。

当時の僕は、まだ自分の心の中に何が起きているのかに気づいていなくて、次のモチベーションを探そうとコーチングを受け始めたんです。自分の人生を山に例えると、一つの山に登ったらまた次の山があってそれに向かう人生で。最初はそれも楽しかったんですけど、また次また次って終わりがないことに気づくと、だんだんと登るのがしんどくなってきたんです。でも、登らないと幸せになれない。だから、次の山を探そうと思ってコーチングを受けたんです。


―受けてみて、気づいたことはどんなことだったのですか?


コーチングを受けて気づいたことは「今幸せなところにはいるはずなのに、その幸せを感じられない自分がいるだけだな」っていうことでした。



―そこに気づけたのですね。

そうですね。それから求めるものが変わっていきました。山を登るんじゃなくて、今、平たいところにいて、ここに自分の好きなものをいろいろ集めていくというか。その平たいところで自分の好きなことをやっていけばいいというか。山を登らなければいけないという前提が外れて、自分は豊かだし幸せなんだってことをまず受け入れられたことがすごく大きかったというか。

だから、今後は悲壮感で動く必要がなくて、 幸せなんだっていう前提に立ってやりたいことをやっていけばいいなって思えたのがすごく楽になったというか。

コーチングを受けて自分もコーチとしてやりたいと思ったからやっていますけど、それは悲壮感からくるモチベーションではなく、やりたいからやるというか自分の人生の目的に沿っているからやるというか、なんかそういう感じです。


―次の山を探そうと思ってコーチングを受けたけど、そもそもその前提ではなく、もうすでにいるところに幸せはあると。 そこに気づいて実感したところから、やってみたいことをやろうというスタンスに変わった。

そうですね。自分が感じたような行き詰まりというか「どっちへ行ったらいいんだ」を教えてくれたのがコーチングだったし、絶対に同じような悩みを抱えている人はいるから、自分もコーチングを提供したいと思ったんですよね。FPとしてお金の問題解決をする前に「そもそもどう生きたいのか」みたいなところから関わりたくなったというか。クライアント自身がどう生きることが幸せなのかについて曖昧なままだったら、それをお金の面だけFPで解決しても幸せにはできないので。


―そこははっきりと自信を持って言えてますね。

そうですね。そもそも老後どうしたいのっていうのがはっきりしなかったら、老後いくら必要かもわからないのに、ほとんどの人は、なんかすごく表面的なところで止まってしまっている気がしたんですね。でも、コーチングを学んでから、もっと想いを掘り下げる様な関わりができるようになり「こんな人生を送りたいんです」っていうのが引き出せることが多くなったんです。それが大きく変わりましたね。もっと人と深く関わりたいという想いが出てきました。


―老後にどれくらいお金が必要なのかの前に、どんな老後で、どんな人生を送りたいのかというところをまず聞くような関わりに変わっていったんですね。

もちろん今までも、どんなことやりたいかとかそういうことは聞いてきたんです。ただそれって健在意識にある想いをすくっているような、表面的な質問で終わってしまっていました。コーチングってもっと深いところから「どんな人生を送りたいのか」を広げていくものだと考えていて。それができるようになったのはよかったです。



―すがさんという人間の幅が広がっている感じですね。今日は、聞かせていただきありがとうございました。



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