ためにならないミステリ雑学
・はじめに
ミステリ作品それ自体ではなく、その周辺情報として雑学的なものがあります。以下箇条書きに、ためになるかどうかわからない雑学を思いつくままに書いていきたいと思います。有名かどうかは気にしないことにします。
・雑学(?)
・ハードボイルド小説御三家のひとり、ロス・マクドナルドの妻はサスペンスミステリで有名なマーガレット・ミラー(ロス・マクドナルドの本名はケネス・ミラー)
・ブッカー賞作家のジュリアン・バーンズがミステリを書くときの筆名はダン・キャヴァナーで、ハヤカワ・ポケット・ミステリから二冊ほど邦訳がある(イギリスを舞台にした私立探偵小説)
・同じくブッカー賞を受賞したジョン・バンヴィルがミステリを書くときの筆名はベンジャミン・ブラックで、フィリップ・マーロウものの正式続編を書いている(『ロング・グッドバイ』の続編で、『黒い瞳のブロンド』という邦題でポケミスから出ています)(ちなみに、バンヴィルがブッカー賞を受賞したときに同じショートリストに入っていたのはカズオ・イシグロ『わたしを離さないで』)
・謎解きミステリに傑作の多いヘレン・マクロイの夫は通俗ハードボイルドに作品の多いブレッド・ハリデイ
・スティーヴン・キングの息子はホラー小説作家のジョー・ヒル
・上と同じ系列だと、一般文芸で有名なスチュアート・ダイベックの息子ニック・ダイベックはポケミスで一冊邦訳がある(『フリント船長がまだいい人だったころ』)
・フェイ・ケラーマンとジョナサン・ケラーマンは夫婦でミステリ作家であり、息子のジェシー・ケラーマンも作家である(邦訳もあります)
・ニコラス・ブレイクの本名はセシル・デイ=ルイスで、イギリスの桂冠詩人。息子はアカデミー賞俳優のダニエル・デイ=ルイス
・ロアルド・ダールとイアン・フレミングは大の仲良しだった
・パリの警視庁にはメグレ警視の記念碑がある
・LA警察本部は当時の本部長ウィリアム・パーカーに由来してパーカーセンターと呼ばれていた。今は施設も新たとなりニューパーカーセンターと呼ばれる
・ダシール・ハメット『赤い収穫』(『血の収穫』)の舞台となったパースンヴィル(ポイズンヴィル)のモデルとなった街はビュートという地方都市(小鷹信光さんが詳細に取材されています)
・同じくダシール・ハメット『マルタの鷹』でサム・スペードの相棒マイルズ・アーチャーが殺されたと思しき場所にはプレートがはめてありそれと示されている
・コーネル・ウールリッチの別名義、ウィリアム・アイリッシュの名前の由来は、ウールリッチが別名義で出版せざるをえなくなったときに、編集者に対し「国名から取ったらどうか」とウールリッチ自身が提案したから
・マイケル・スレイドはカナダの弁護士たちによる複数人の合同ペンネーム(余談ですが、弁護士であのような内容のミステリを書くってすごいですよね)
・同系統で、パトリック・クェンティンも複数人による合同ペンネーム
・MWA賞(アメリカ探偵作家クラブ賞、エドガー賞)を受賞すると、記念としてエドガー・アラン・ポーの胸像が送られる(意外とチャーミングな胸像です)
・ディック・フランシスはクイーン・マザーのお抱え騎手で、グランド・ナショナル障害レースでデヴォン・ロック号に騎乗し優勝目前だったが、デヴォン・ロックが突然動かなくなってしまい優勝を逃した(優勝していたらグランド・ナショナルを制した唯一の大作家になっていたでしょうね)
・番外編
・イタリアの作家ナタリア・ギンズブルグの息子は著名な歴史家のカルロ・ギンズブルグで、その娘は作家のリザ・ギンズブルグ
・雑記
大変偏った、いわばマニアックな知識になってしまいました。読書をするうえで全然ためにならないとは思いますが、知っているとなかなか楽しいと思います。「そんなの知ってたよ」という方にはごめんなさい。