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家の整理収納と似ているコンテンツデザイン

こんにちは。デザイナーの中西です。 私は普段、会社案内や社内報・社外報といった企業のコミュニケーションツール、小学校の教科書などのデザインをしています。 同時に二児の母として、家事育児する日々です。
子育て中の私にとって、家庭内での収納問題は大きな関心事のひとつです。家事を効率化し、限られたスペースで快適に過ごすため。子どもが自分で自分のことをできるように教えていくため。日々試行錯誤しています。 そして「収納」を考えることは、コンテンツをデザインする行為とよく似てると感じます。

アニメから気づいた収納とコンテンツの類似点

ある日、自宅で息子が「あたしンち」を見ていました。「あたしンち」はけらえいこさん原作の、4人家族の等身大の日々が描かれた漫画・アニメです。
その日見ていたストーリーは、以下のようなものでした。

  • 母がこまごましたものを収納しようと思い立つ

  • ちょうど良さそうな箱を見つける

  • リビングに雑然と置かれていたカセットテープや耳かきなどを無秩序に詰め込む

  • 帰宅した家族に「(意味が)ない」と文句を言われる

出典:【アニメ】あたしンち公式チャンネル「第14話:父『アレがいい』」
https://www.youtube.com/watch?v=XAf0g8tmkTw
(閲覧日:2024年3月18日)

「とりあえず見た目だけはきれいに収納したけど、本質的な解決ができなかった」というエピソードです。 これはコンテンツをデザインする際に、注意しないと陥りがちな事態と似ているな、と感じました。
「家の中を美しく、スッキリさせよう」という気持ちから、収納箱の中にものを詰め込んで「コンテンツ」を作った母。そのこと自体は家族にもメリットがあるものの、「家族が使いやすいものにしよう」ではなく、「スペースに合うものを入れよう」という作業になっています。 それがマンガではストーリーの面白さにつながっているのですが、ではどうしたら使いやすい収納箱(読まれるコンテンツ)になったのでしょうか。
以下の4つのポイントがあると思います。

〈ポイント1〉 使う人の事情を考える

雑然と置かれている物にもその場所にある理由があります。母は滅多に使わない物でも、家族は毎日使っているかもしれません。使う人の目線に立てば、その人のニーズには合っているという場合もあるでしょう。
私が仕事で担当する企業の広報誌のデザインにおいて、どんな人が読むのか? その人にとってその情報はどの程度必要か? を、まず考慮するのと似ています。

使う人の目線に立たないと、使う人にとって使いやすいものにはならない

〈ポイント2〉 情報の属性を整理する

使う「人」で分けるのか、「場所」で分けるのか、「行為」で分けるのか。分類を明示するだけでも家族にとっては探しやすくなるでしょう。コンテンツの場合、無秩序に並んだ情報は読み手に負担をかけ、知りたい情報も見つけづらくなります。

情報の属性を整理した上で使う人の目線に立ち、最終的な置き場所を決めることが大切

〈ポイント3〉不要なものは潔くなくす
「そもそもそれ、置いとく必要ある?」っていうもの、ありますよね。それがあるためによく使うものが出し入れしにくくなっているとか。使うかもと捨てられないでいるアレとか。 コンテンツデザインにおいても、本当に伝えたいものが見えづらくなるくらいなら、優先度が低い情報を取ってしまう決断が必要です。

あれもこれもと置いておくと、本当に必要なものが使えなくなってしまう

〈ポイント4〉スペースを最優先しない

「ちょうどここに入りそうだから」を使っていいのは、周囲にあるものと入れ込むものに近しい関係性がある場合に限ります。コンテンツでも、予想しない場所にある情報は読む人に見つけてもらえなかったり、理解しづらいものになる可能性が高いです。

スペースが空いてるからといって置いてしまったものは、使う人には届かない可能性が

家族の使い方を考慮して、過ごしやすくするための秩序を作る。普段の暮らしの中で皆トライ&エラーを繰り返している収納の考え方は、そのままコンテンツデザインの考え方に応用できるなと感じています。