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【第2章】儲かるかどうかは産業の構造によって決まる、はもう古い?

※「世界標準の経営理論」で学んだことのメモ一覧はこちら

「世界標準の経営理論」の第1章に関して「儲かるかどうかは産業の構造によって決まる」をテーマに投稿したが、第2章では今はこんなことはないという発表も多数出てきているということで(先に調べておくべき情報と思いつつ・・)追加で紹介する。


儲かるかどうかは産業構造によって決まる考えへの反論

第1章で産業構造について分析する上で便利なフレームワークとして、マイケル・ポーター教授が考えたファイブ・フォースがある。これは5つの観点で業界を整理するフレームワークで実際の仕事においても活用されていることは多いと思う。
1.顧客・・商品・サービスを購入する人。購入する選択肢が多く差別化ポイントが少ない場合、顧客が有利になることが多い。
2.新規参入・・新規に参入するのに障壁があるかどうか。参入するのに初期投資がかかる場合には、参入障壁が高くなる。
3.競合・・業界に存在する競合他社。競合が多いと顧客の奪い合いになり、儲かりづらい構造になる。
4.代替商品・・目的地に行く移動手段として飛行機が第一候補だが、他にも新幹線・バス・車など異なる手段もある状況が代替商品・サービスがある状態という。
5.売り手・・商品を顧客に対して提供する上で必要となる材料を調達するための企業。選択肢が少ない場合売り手の力が強くなる。
※ファイブ・フォースと検索すると事例が沢山でてくるため具体的な事例は割愛する。
※ファイブ・フォースはスナップショットで現在の断面を分析するだけでなく、将来予測や業界の定義を広げて考えることでより幅広く施策を考えられる。

この業界構造の整理を行うことで、儲かるか儲からないかがわかるというのが第1章でざっくり説明されていたことだ。しかし、その説明に対して、業界が与える影響は20%程度、後の80%が企業努力の問題だ、という研究をカリフォルニア大学のリチャード・イメルト教授が発表し、その後も同様に業界も与える影響は限定的だという発表が複数されている。
これは差別化戦略で業界の細分化し儲かる状態を実現している企業(富裕層を対象とした商品・サービスなど)があるので少し想像がつくが、それを持ってどちらが正解かを決めつけることは難しい。ただ、儲からないのは業界構造の問題だと思考を停止させてしまうのはよくないと(当たり前のことだが)改めてと感じた。

業界をグルーピングとしても儲かるかどうかは関係ない

第1章で業界をセグメント分けしてグループをつくる考え方が説明されていたが、それを行うことと業界で儲かる儲からないは関係ないとというのも、SCPに関連する最近の発表で発表されている。より重要なのは、顧客は誰かそれに対して意識すべき競合はどこかを意識し、それに対する打ち手を考えることだ。(感覚的には理解できるが発表内容の詳細について理解できず。)
本を読んで自分なりに解釈したのは、研究は始まった当初よりも業界を超えた繋がりだと複雑化している現代社会において、業界に閉じて議論をするのが難しくなってきているということだ。
例えば、日本において〇〇経済圏をつくろうとしているとしている楽天、PayPay、dポイントの動きは業界単体というより業界の超えたプラットフォームとしてを作る動きなので、業界に閉じて議論するのは難しいと思う。

持続的な競争優位性を築くのが難しい時代

ジェネリック戦略はざっくり説明すると、業界において規模の経済を活かして業界の価格の主導権を握るコストリーダーシップ戦略をとるか、ニッチな分野でトップシェアを目指す差別化戦略をとるかということだ。
この考え方に対して、どのような戦略をとるべきかについてこれまで研究から答えは発表されており、「特殊な環境を揃った時以外は差別化戦略ととるのが賢明」というものだ。では、特殊な環境を揃った時は何かというと、業界において圧倒的な優位を作り出せている時と個人的には理解した。例えば、半導体事業で好調だった時のサムスンは、多額の投資を行って性能の高い高付加価値の商品で差別化戦略を行う一方で、その商品がコモディティ化して価格競争の段階になった時に先行投資したことで得た生産能力を活かして一早く値下げをし、競争に勝つ好循環を実現できたのは、特殊な環境だったと言える。
ただ、本に書かれているのは一度築かれた競争優位性は持続的なものではなく、一次的にしか確保できないということだ。テキサス大学のティモシー・ルエフリ教授とチューレーン大学のロバート・ウィギンズ教授の研究によれば、「米国において持続的な競争優位を実現できているのはわずか2~5%」と発表している。
なんで、競争優位を保つことが難しいのかについて規制緩和、グローバル化、ITの発展など変化の激しい競争環境のため、説明されている。
確かにと思いつつ、自分の頭でも考えてみると、インターネットが一般に普及したことで情報の格差が無くなったこと、情報の見える化ができるようになったこと、でその情報を基にしたアクションをどう起こす化を問われるようになり、結果変化のスピードがどんどん加速していることが大きいのではと思った。このことは、挑戦者にとっては好機と言える状況であり、最近で言えば揺らぐことがないと思っていたGoogleの検索エンジンでさえ、OpenAIの登場によって検索の仕方が自体を覆される状況を見て、情報を得てどんな未来が描くのかが大切なのだと実感させられる。

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