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謎い旅行の末 ~2日目編~

レコーディング旅行2日目

初日に胃が痛くなるぐらい食べたからか、朝から全然食欲がない。
この日は声とギターのレコーディング。師匠が全力で歌う。

みんなめっちゃ全力。とにかく全力。

あれこれと私にはよくわからない細かーーーい音の違いや「こうしたほうがかっこいい」とかいろいろ話あっていました。そんな様子をみてなんだかもやもや。胃の調子も悪い。暇。スタジオは山中湖から遠いし、、、もやもやもやもや

お昼になって、師匠が私に「で、いつこっちに引っ越してくる?」と突然いった。そこから、私をいろいろ連れ出してくれる理由・環境を変えることの大切さとかいろいろお話してくださった。すごくわかりやすい話だったし、理解できた。けど、その時の私の顔は納得できていない顔だったと思う。いくつか自分が思っていることを話したけれど、なんだかうまく伝えられなかった。せっかくお話してもらったのにすごい煮え切らない感じでその場が終了。すごく失礼なことをしてしまった。

もやもやもやもや…

そんなもやもやしている様子をまた奥さんが見透かしてカメラを貸してくださった。
撮って編集する。けど、
撮った写真・編集した写真が全部一緒に見える。おもしろくない。

あーだめだ。とおもって「全部一緒に見えます」と奥さんに相談

「かっこいいと思える見え方が少ないからだよ」
「写真ってね、物事をいろんな角度から見ることができるようになるんだよ」
とかいろいろ話してくださった。会話の流れで

「ひかるちゃんは今、仕事とか飽きちゃってるんだよ。」

という話に。
その言葉を聞いた瞬間、なんだか涙が出そうになって止めるのに必死になった。

あーー、そうだ、飽きてるんだ。

「そんなときは転職とか引っ越しとか新しいことをはじめるタイミングなんだよ」

奥さんはカメラを通して師匠と同じことを違う角度?からお話してくれた。
涙が出てくるのをこらえるのに必死で奥さんとの会話もすごくそっけない感じで返事して終了。またすごく失礼なことをしてしまった。

その後、もやもやを抱えながらみんなで山中湖周辺を散歩することに。
はじめは曇ってて富士山はみえなかったけれど、だんだんと雲が晴れて頂上まで見えた。大きくて、堂々としていて、静かに、そこにある感じ。

また泣きそうになった。

富士山の空気を体中に取り込むように何度も大きく深呼吸して、変わっていく富士山の様子を眺めていると、へんな気持ちになってきた。もやもやしている原因が解決したわけではないけれど、妙にすっきりしたような。

歩いて帰りたくなって、師匠にそのことを伝えて一人で帰ることに。
途中で前に以前勤めていた学校の先生から連絡がきて、大声で笑いながら歩く。電話が終わった後、また妙にすっきりしていた。
静かに歩いていると、師匠たちが全力でレコーディングしている姿・奥さんが集中してパソコンを打っているときの周りの空気感・以前に師匠とお話を伺いにいった和紙を使った布でいろんな商品を作っている職人さんが語っている姿、その職人さんが師匠の話を聞いているときの表情が思い浮かんできた。

みんな真剣で、こだわりがあって、全力で、死ぬ気で生きている感じ。

自分にはそれがない。もやもや感は「いいなぁ」っていう羨ましい気持ちがあったことに気づく。そして、「狂ってていい」という師匠の言葉が腑に落ちてきた。すごい解放感。

どこかに私が狂える環境があって、師匠は私がそれを見つけることができるように案内してくれている。師匠が今までずっと私に話していたことがようやく”すとん”っと体に入っていく感じがした。
でも結局、いろんなことを理由にして勇気が出ないままズルズル時間だけが過ぎていく…気もするけれど、本当に心からやりたいことがあれば自然と体が動いていくだろうと信じて、今は素直に好奇心に従おうと思えた。

帰ってから、奥さんがお昼に作ってくれていたおにぎりをくれた。
お昼に食べた時もすごくおいしくて奥さんが作ってくれた料理の中で自分的に№1のおいしさだったけれど、帰ってから食べたおにぎりはお昼のおいしさを超えていて、めちゃめちゃ元気が出た。

朝から感じていた胃痛やモヤモヤも、完全に忘れていた。