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Keith Richards / Talk Is Cheap

1988年リリースのキース・リチャーズ初のソロ・アルバム。こことかここで書いた通り、ストーンズこのまま解散か?というような時期に出た1枚。過去ソロ活動にはあまり興味がないと言っていたキースがアルバムを出したのでますます解散の信憑性が高まったのだが、当時はそれをあまり残念とは思ってなかった記憶がある。というか、メンバーの年を考えると「さもありなん」という感じだったのだと思う。まさか2023年に素晴らしい新譜をリリースし、50代の私がそれに興奮するなんて考えもしなかった。

 さてこのアルバム、オープニングのファンキーな“Big Enough”に多少面食らった部分はあるが、全体的にはいかにもキース!という感じのギターリフ満載。よくこんなにリフを考えつくもんだと感心するけれども、キースにとっては当たり前なのかも知れない。ラスト11曲目の“It Means A Lot”も割とファンキーなリズムだが、とにかくギター弾きまくりの曲で、久々に聴いたら強烈に盛り上がった。

 後に出た「デラックス・バージョン」でアウトテイク?を聴くとかなりブルースっぽい曲があって、考えてみればこのアルバムにはもろブルースという曲はないのに気付く。当時のキースの年齢もあるだろうが、ミックに対して怒っていたことも理由かも、と邪推してみたり。

 このアルバムは全曲キースとスティーヴ・ジョーダンの共作で、チャック・ベリーのドキュメンタリー映画「ヘイル!ヘイル!ロックンロール」での共演がきっかけらしいが、その後もキースの作品やライヴには欠かせない相棒となっていく。そこから考えるとストーンズにおいてチャーリー・ワッツ亡き後のサポートをスティーヴがやるのはごく自然に思える。
 
 当時44歳、今の私よりひとまわり若いキースのギターを聴くのがとても楽しい。


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