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サスカッチの3大悲劇!?

みなさん、サスカッチ(Sasquatch)をご存じでしょうか。

「サスカッチ?知らない。」
「ああ、ビッグフットの仲間だろ!?」
「ネイティブアメリカンの人達がビッグフットをサスカッチって呼んでたはずです。」

反応は、おそらくこんなところでしょう。
これがそのままサスカッチの3大悲劇なのです。

3大悲劇とは何でしょう?
1.知名度が低い
2.名前の由来を誤解されている
3.後付けの名前に主導権を奪われた

???
最初の知名度が低いのはわかるけど、2~3の意味がわからん!
と思われた方、多いと思います。それではこれからお話しましょう。

まずサスカッチの概略を説明します。
サスカッチ(Sasquatch)とは北米大陸に生息する未確認生物UMAです。
身長は2mを超え、体重は300㎏~500㎏と推測されています。
食性は雑食と考えられ、人間との接触を好まない比較的温厚な生物だと考えられています。全身を黒、灰色、赤褐色の長い体毛に覆われ、二足歩行をする人型未確認生物です。

おや?どこかで聞いたような説明だけど?
…ええっと…
ひ、ひとまずサスカッチの3大悲劇についてお話していきましょう。

悲劇1:歴史がある名前なのに知名度が低い
先ほどのサスカッチの概略を見て
「え、これってまんまビッグフットじゃない!と思った方、正解です。
現在においてサスカッチはビッグフットの別名と判断して問題ありません。
ですからこのUMAの紹介はビッグフットという名前が先に出るのです。
結果的にサスカッチという名前はあまり登場せず、出てもビッグフットの
別名程度の扱いになってしまうのです。

ただこの「知名度が低い」という事象は本場アメリカ合衆国やカナダでは少し異なります。
あちらでもビッグフットとサスカッチは同じです。
ただ、紹介される際には並列にされることが多いです。
例えばナショナルジオグラフィックやヒストリーチャンネル等の番組で、
ビッグフットが扱われる場合の呼称の多くは「ビッグフットあるいはサスカッチ(Bigfoot or Sasquatch)」です。あるいは同一の番組内の場合もビッグフットとサスカッチの呼称は交互に使われたりしています。

こうした背景にはアメリカ合衆国やカナダの歴史的背景が関係しているように思います。ご存じのように北米大陸の国は元々ネイティブアメリカンの人々がそれぞれの部族単位でコミュニティーを築き暮らしていました。それを15世紀末の西洋人による新大陸発見により西洋人の入植が始まり、原住民のネイティブアメリカンの人々との激しい闘争の後、現在の巨大国家を築き上げた経緯があります。

そのような歴史的背景から、現在のアメリカ人やカナダ人はネイティブアメリカンの文化を尊重する傾向があります。そうした観点から観ると、ビッグフットという現代アメリカの言葉と「サスカッチ」というネイティブアメリカンの言葉を同等の扱っているのではないか、という気がします。

しかしながら本家のカナダやアメリカ合衆国でも、一般的には「サスカッチ」よりも「ビッグフット」の方がよく使われます。

悲劇2:名前の由来を誤解されている
サスカッチという名前の由来がしばしば誤解されています。
この名前がネイティブアメリカンたちが昔から使っている名前だと多くの書物やTV番組などで言われています。先の章では私もあえて同じような書き方をしました。

しかしこれは完全な間違いです
ネイティブアメリカンたちはサスカッチと呼んでなどいませんでした。

彼らはこの二足歩行する巨大な類人猿に似た怪物を、それぞれの属する部族の言葉で言い表していました。例えばズニ族(Zuni)は「アターサイア(Atahsaia)」、アルゴンキン族(Algonquin)は「トク=ムッシ(Toke-mussi)」、ナバホ族(Navajo)は「イェイツー(Ye'iitsoh)」などと呼んでいました。

なぜ「呼んでなどいませんでした」と言い切れるのでしょう。
それはこの言葉は20世紀になってからカナダ人研究者によって作られた造語であることがはっきりしているからです。
1929年にカナダ人ジャーナリストJ.W.バーンズ(J. W. Burns) がカナダのブリティッシュコロンビア州(British Columbia)に生息すると言われる未知の毛深い巨人を記述するために「サスカッチ」という言葉を作り出したのです。

彼はネイティブアメリカンの友人たちから聞いた「ソクワイアム(S'oq'wiam)」、「ソスクタル(Sossq'tal)」などの名前を基に、ネイティブアメリカンぽい発音の「サスカッチ」という言葉を作り出したのです。

そう。サスカッチという言葉はネイティブアメリカンが昔から使っていた言葉ではなくほんの100年ほど前に白人によって作られた「英語」だったのです。

その後、この言葉はネイティブアメリカンぽい発音の影響もあってか、少しづつ人々に知られるようになりました。従来、「ワイルドマン(Wild man)」、「エイプマン(Apeman)」などとと呼ばれていた二足歩行の類人猿型未確認生物は、サスカッチと呼ばれるようになってきました。

そう、あの事件が起きるまでは…

悲劇3:後付けの名前に主導権を奪われた
サスカッチ最大の悲劇はこれにつきます。
1958年8月5日
、「フンボルト・タイムズ(Humboldt Times)」紙に初めて巨大な石膏の足跡の写真が登場しました。そこには「ビッグフット(Bigfoot)」の名前も一緒に記載されていました。アメリカ合衆国カリフォルニア州の工事現場で現場労働者が二足歩行の怪物に遭遇したという記事とその足跡と足型の石膏の写真は、センセーショナルに一般大衆に受け入れられました。と同時にサスカッチの敗北が始まったのです。

1929年に「サスカッチ」の名称は誕生し約30年かけて定着してきました。しかし、この事件から生まれた名称「ビッグフット(Bigfoot)」はその的確過ぎる名前から、あっという間に世界中に広まりました。

そして先行していたサスカッチの名称は駆逐されていくのです。
その後、世界中に現れた、二足歩行の類人猿型UMAは「○○のビッグフット」、「ビッグフットの仲間」などと呼ばれていきます。あまり「○○のサスカッチ」とかは聞きませんね。
サスカッチはビッグフットに敗北したのです。

以上がサスカッチの3大悲劇です。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

みなさんのご意見ご感想等がございましたら、およせください。

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