詩 - 2020-04｜差羽ナガレ

束の間でも構わない
僕を飾ってくれないか
革張りの椅子に抱かれ
静かに眠りたいのさ
偽物が溢れる世界で
本物があるならば
誰にも見えやしない
明日僕が消えようが
この世は巧く回るから

差羽ナガレ

2020年4月29日 22:39

古い写真

過去は戻らないと
繰り返し聞かされ
その言葉に
俺は飽きてたんだ
古い写真の中で
貴方は微笑んでる
今はもうその
面影すら残らない
だからさよなら
とても美しい人よ
狂った風に
背中を押されて
俺は消えちまう
骨すら残らずにさ

差羽ナガレ

2020年4月28日 21:30

息をする様に

画像を加工して
年齢も誤魔化し
君は稼ぎ続ける
需要が無くなる事を
何時も恐れ続けて
息をする様に
今日も嘘を吐く
鼓動が止まるまで

差羽ナガレ

2020年4月27日 22:40

愛にすべてを

忘却の丘を越えて
塩が降る故郷へ
私を待つ者など
何処にもいなくても
愛にすべてを
絶たれた望みに
打ちのめされて
涙が海になっても
愛にすべてを

差羽ナガレ

2020年4月26日 22:22

メカクシ

都合の良い事だけを
貴方は見せてくれる
誰かが吐いた毒に
僕は少しずつ蝕まれ
何れ全てを知るだろう
貴方の手を振り解き
眩しきこの世を眺めて
僕は手に入れてしまう
悪意なき人の欲望を

差羽ナガレ

2020年4月25日 22:38

ブラックナイツブギ―

大した事じゃないぜ
裏切りの犬が出る事は
だから派手にやろう
弔いの赤狩りを
巧く夜に紛れ込んだ
あいつ等を炙り出すには
狼に頼った方が良い
影も姿も足音すら消し
その首魁を狙うから
月で研いだ牙には誰も
抗う事すら叶わない
ブギ―を聞き流す様に
黒く染まって死んで逝く

差羽ナガレ

2020年4月24日 22:36

９番

１３５７が消えて
独りになる９番
太陽に口付けする
左目のジュリー
渋谷交差点を
封鎖する見えざる手
如何でも良いと
言い放つ羊達
皆罪人だとしても
報いは受けない
鋳造された神が
その名を呼ぶ限り

差羽ナガレ

2020年4月23日 22:11

コールミー

オリーブの雨
続く市街戦
戦車が走る中
電話ボックスで
貴方に伝える
言葉は届かない
盗聴されない様
切られた電線
照明弾が照らし
閉じ逝く世界

差羽ナガレ

2020年4月22日 23:13

テープエコー

巻き戻らない時間を
借りながら生きるのを止め
永遠を手に入れたなら
貴方は何を思うだろう
取り留めもない事を
繰り返す位ならせめて
美しく消えてくれないか
擦り切れてしまう前に

差羽ナガレ

2020年4月21日 23:12

穢れたハリー

正義の旗の下で
人を殺すハリー
残酷な世界は
今日も止まらない
蠍座から来た男が
事件を起こしても
法の庇護を受け
街へ解き放たれる
悪人は誰なのか
答えは出ないまま
銃を撃ち続けた
穢れたバッチを捨てて

差羽ナガレ

2020年4月20日 22:24

ゴール・Ⅾ・ランド

薄暗い空を笑う様に
立ち尽くすゴール・Ⅾ・ランド
其処は夢の国を越えた
札束を払える者しか入れない
黄金に埋め尽くされた月が
夜を迎えて始まるストーリー
その場にいる誰もが何かに
取付かれ狂喜のまま踊り出す
全ての願いを叶えても
沸き続ける欲望は溢れ続けて
この世界は朝を迎える
遠くの街が赤く燃えても