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雑食について

この世で最も健康的な動物は肉食動物で間違いないだろう。彼らは食べるために走る。走らなければならない。猛速で走った直後に良質なタンパク質を供給することによって、彼らの疲弊した筋肉は更に増強され、食べていくための力を養う。加えて、誰よりも速く走らなければならないため、無駄な脂肪は付けない。彼らの逞しく優雅な姿は、この習慣から生まれている。

一方で、草食動物といえば、殆ど動くことは無い。自分の首が動く範囲に草が無くなったら三、四歩移動してはまた食べるの繰り返しである。彼らは四六時中だらだらと食べるか、それ以外の時は寝るか、四つの脚で呆然と立ち尽くしている。しかし彼らだって筋肉を震わせて走る時はある。けれどもそれは食べられる寸前だけである。最期には走るための筋肉を蓄えた肉食動物に食べられる。

余談だが、草食動物は食べるためというよりも、生きるために食べ、脂肪を蓄える。反対に、肉食動物は生きるためではなく、食べるために生き筋肉を強くする。

それでは、雑食動物である人間はどう生きているだろうか。二つの性質を持った私達は合理的な存在と言えるだろうか。

肉だけ食べていくには運動が足りずただ太り、植物だけを食べていくにはセルロースを代謝するシステムが無く痩せ細っていく。どちらにも中途半端に依存している私達は、不合理で不自由な存在なのかもしれない。

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