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街耽溺への誘い:札幌周辺編①

 皆さまお仕事に学業に“耽溺”におつかれさまです。前回noteで街耽溺の記事を書いてからもう1年半以上も経ってしまったことに気付きました。予告していた紫野編や西陣編をすっとばしてハバナ(仮称)編になったわけは愛おしい街々を思いおこすうちに北海道を出たくなってしまうのが怖かったからです。

 ♪どこかちがうの…この街だけは…いつもわたしにやさしくするの…♪
雨の日曜、付き合いで訪れたお琴の発表会の後、わたしはハバナ駅にいた。“恋の町”へ向かう快速は4番、「裕次郎ホーム」と名付けられた駅メロがブランデーグラスのホームの人混みの中で。恋の町に行ってしまうと朝まで帰られなくなることが怖かったわたしはいそいそと江別行の各停に乗った。
 ハバナ〜札幌間の車窓は朝里駅に近づくにつれ日本海に近くなる、銀色の海を眺めながら、といってもJR北の普通車はいつも窓が曇っている…に揺られること十数分、銭函という大層、商売繁盛に御利益のありそうな駅で降りた。改札を出ると空は小さく涙を流し、わたしのジャケットの肩を少しだけ濡らした。

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