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m/e スラッシュミー

去年の今頃、私はこんな自分を想像したことがあっただろうか。
この1年の間に、私を守ろうと包む腕やその肌の匂いは変わったし、それが私の肌に既に馴染みつつある。

人生最大の大失敗、というよりは、間違ってはいなかったと思うけど、世間的なその失敗をした事で私は仕方なしに夜の世界にやってきた。
私が日に日知らない人になっていくんじゃないか、夜に染まっていくんじゃないか、と、怯えて泣いた彼の頭を撫でて、ただ平謝りするしかなかった。
その日私は酔いつぶれて玄関で眠っていて、深夜4時に目が覚めてベッドの隣に私が居ないことに気が付いた彼にベッドに運んで貰ってた。

こんなんじゃ、ダメね。

仕方なしにじゃない子達は、一体、どんな気持ちで働いてるのかな。
私には解らなかったし、解らなくていいと思った。
解ってしまったらそれは、彼の言う知らない「誰か」になってしまう気がするから。

1.2.3...カード決済、家賃……返済のお金……
そういえば、体調を崩していたから給料はマイナス4万だっけ?
返済どころか、生活費、足りるんだろうか。
なんて。
そんな毎日。
平気な顔して、なんとなくすり減っていくのがわかる。
あと、どれだけ。
こんな日が続くのか。

彼の隣で少しでも長い時間笑っていたい。
その為には、今隣にいる時間が消えていくような…
なんだか。

そもそも今を踏ん張ったところで、その先、彼は。
傍に居てくれる?

無責任なことは言わない人だけれど。
どうだか。
なんて。

夜の世界に身を沈めると、時間がゆっくり過ぎるの。
彼の隣ではあんなに瞬く間に過ぎていくのに。
1.2.3...時計の秒針を刻む。

はやく温かい所に帰りたい。
生きていていい、生きてる、生きていけるって、
そう、思いたい。

m/e....
スラッシュme。
私がまたブツブツと切られていく音がした。

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