見出し画像

#2-1 フットボール×グローバル×吉田松陰

前回まではJohan Cruyff Instituteでの授業内容、バルセロナでの留学生活を中心に執筆してきましたが、今回からは「教育×フットボール」をテーマの中心に据え、思うことをあーだこーだツラツラ書いていこうと思います。興味ある方は引き続きお付き合いください!

Football MBAを経て

前職がら(英語講師&予備校運営)、教育に興味がなかったわけではないのですが留学前の興味は;

スポーツ強化にはお金が必要

お金を生み出すための仕組みを学びたい

将来自分もそれに関わりたい

でした。でもMBAを経て;

スポーツ強化にはお金が必要でその効果は絶大

チームを大きく変化させることができるのはオーナー

他のアプローチでスポーツ強化に関わりたい

選手・人材に限度がある代表チームと、お金次第で監督・選手含め人事が激変するクラブチームではお金の重要性・影響力は変わってきます。

フットボールに関わりたい、生きていくためにお金も稼ぎたい、日本のフットボールを強く(良く)したいなぁと漠然と考えていた中で、本当に何をしたいのか、何ができるのかを見つめ直し、今の所の答えが;

日本代表がW杯で勝つことに貢献したい

あるクラブを強化したい、収益を改善したいなどクラブ単位の発展ではなく、日本が世界で存在感を示すことに貢献したい。

そのために必要なことは何か?鍵は「教育」だと考えています。

グローバルを意識できるか

グローバル化という言葉が使われて久しいですが、その影響を本当に痛感し、海外を普段から意識し生活している日本人はどれだけいてるでしょうか?

義務教育で中学から英語を勉強しますが(早い人は幼稚園頃かな?)、実際に日本にいて、受験以外で英語を用いる機会がどれほどありますか?

ここでいう機会は「英語を使いたい」ではなく「使わざるを得ない」状況です。自分は大学が外国語学部でアメリカにも行き、比較的海外志向が強く、英語講師もしていましたが、日本では英語がmustな状況はほぼなかったに等しいです(講師時代、授業は日本語にて実施)。

外資系企業で働いている人はともかく、日本にいれば英語を話す必要はほぼない。海外からの観光客が増え、接客業・観光業の人は機会が増えたかもしれません。毎日海外からのニュースが流れてきてもそれは別世界の話。結局、ほとんどの人にとって日本人のみのコミュニティで、日本語のみで、日本国内で生きていくことが十分可能なんです。

話をフットボールに戻すと、そんな環境の下育った日本の選手たちが世界を相手に戦うW杯で勝てるのか?

僕は「NO」だと思います。

そしてそれは、選手やコーチが海外に行けば良い、海外から有名な選手や監督を連れてきたら良い、斬新な戦術を導入すれば良いという単純な問題ではないと考えます。

もっと、GRASSROOT(民衆に根差した)レベルで、世界における日本を意識する人が増えることが大事だと思います。海外挑戦する選手だけでなくその両親が、アカデミーで教えるコーチが、練習の後に立ち寄る食堂のおっちゃんが、幼稚園の先生が、医者や弁護士が、零細企業で働くお姉さんが、ホストのお兄さんがetc…。

日本で生活する人たちが、言語、価値観、見た目など、自分たちと違う人がいて当たり前なんだと意識し、世界の中の日本なんだと実感できた時に初めて、日本フットボールが更なる発展をできると仮定します。

スクリーンショット 2020-07-31 14.21.44

黒船来航と吉田松陰

1853年にペリーさんがやってきて、それにより2世紀に渡る鎖国が終了、一気に日本が変わっていくのはご存知の通り。その時に初めて夷狄(いてき:外国人)を民衆レベルが意識するようになります。

スクリーンショット 2020-07-31 14.18.39

これまでも蒙古襲来、秀吉の朝鮮出兵、中国・オランダ・ポルトガルとの貿易で海外との交わりはあったとは言え、「世界における日本人」というアイデンティティを民衆レベルで持つことは、現代とは比較にならないほど難しかったことと思います。

そんな黒船来航時に、黒船に乗り込んで「俺を連れてって勉強させてくれ」と言ったのが吉田松陰。当時は死刑ものの事件を起こすのですが、ペリーさんのフォローにより投獄のみで済みます。

ぶっとんだ彼ですが、10歳で教鞭をふるう超天才。アヘン戦争の清のように、日本もいずれ欧米列強の影響を喰らうといち早く気づきこのことを看守や囚人仲間など誰それかまわず説いていきます。案の定ペリーさんやってきて幕府はてんやわんや。国のトップレベルの人材でも鎖国をしてきた当時の幕府には、夷狄に対応する術を知るものはほとんどいません。

スクリーンショット 2020-07-31 14.13.51

そしてそれから170年ほど経った現在、海外との繋がりが当たり前になった日本ですが「世界における日本人」を意識して生きている人は今も少ないように思います。

「ヨソはヨソ、ウチはウチ」というウチ・ソト文化が根付く日本では「ソト」に対する関心が元々薄いのかもしれません。しかし「ソト」を意識・理解することで;

ソトを意識する

自分をより深く理解できる

多様性を受け入れられる

生き方のオプションが増える

幸せに生きていくことができる

ってなるんじゃないかなと考えています。

つまり、日本代表が強くなる=日本国民が幸せに生きている

状況だと思うんですよ(やや強引か笑)。

政治や社会システムに対する不満など問題ばかり指摘される日本社会ですが、いやいや、今でも充分幸せやし。海外なんて意識しなくても大丈夫、余計なお世話。って思う方もたくさんいると思います。

正直悩んでいるところもあります。多様性=幸せ、オプションが多い=幸せ、とは必ずしもいえないのでは?とも考えられるからです。

狭い価値観、レールの上に敷かれた人生、オプションが少ないこと、ソトを知らない方が、ある人にとっては幸せなのかもしれない。

そんなことを悩みながらではありますが、吉田松陰のように自分も学びながら、人生を豊かにする術を一緒に考えていくような仕組み・サービスを作りたいなと準備をしております。

間接的な方法ですが、海外を意識する機会だけではなく、幸せな人を増やすことを実現できれば日本代表を強くできるんじゃないかなと思っております。

今週のあとがき

ゴーストオブツシマのストーリー動画を見てから蒙古襲来を調べ直し、そこから高杉晋作と吉田松陰に行き着き、今では吉田松陰にはまりつつあります。著書も購入し読んでいるのですが、最近は歴史から学ぶことが本当に多いなと感じています。

座学だけではなくOJT重視の陽明学(理解する=行動する)のもと、もっぱら行動派だった松蔭。大して日本史勉強してこなかったので、50過ぎのおっさんかと思ってたんですが自分より若くして亡くなってたんですね。しかも偉人輩出しまくった松下村塾はわずか1年のみの開校期間。

もう少し彼と松下村塾について勉強し、機会があれば改めて紹介したいと思います。今日はこの辺で、adéu!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?