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新型コロナワクチン:在独、SLE患者の場合。

私が生活するドイツでも昨年12月末からワクチン接種が始まり、

現状の国民全体の接種率は50%弱となりました。

コロナ新規感染者数も劇的に減少し、先週からほぼ全国でレストランや小売店等が再オープンとなりました。

半年以上待ちわびていたので、喜びもひとしおですが、今回はワクチン接種について感じたことを忘備として記録しておきたいと思います。


私はSLEという自己免疫疾患を患っており、治療の一環として日々免疫抑制剤を服用しています。

今回の新型コロナウイルスの拡大に際し、自己免疫疾患患者は基本的に重症化しやすいとのデータ(というか普通に考えてそうなのですが)もあり、

ワクチン接種が開始となってからどうするかぐねぐね考えていました。

というのも、どこの製薬会社にしろ副反応はそれなりに確認されており、

血栓症も併発しているためアストラゼネカ製のワクチンは受けられないなどの制限もあり、

果たして今受けるのが最適なのか、自分でも確信を持てなかったからです。

そして仮にワクチン接種後に体調が悪化したとして、

仮にそれがワクチンと因果関係がなかったとしても、

人は何かに原因を求めたがるのが性。

未来の自分が摂取したことによって後悔の念に苛まれるのも嫌でした。


ただ、今回なぜワクチンを受けたかと言われれば、結局のところワクチン接種によって得られるベネフィットの方が大きかったからです。

まず、移動の自由。

EU圏内についてですが、ワクチン接種者はPCR検査等のプロセスをショートカットし、移動できるようになります。

現状ではフライトの48-72時間前までにPCRテストを受け、陰性結果を持って移動するというのがスタンダードですが、

テストによっても4000円~12000円程度かかるため、往復を考えると大きな負担です。

というか、EUの場合は越境するフライトも3000円前後で予約できてしまうため、テストの方がチケットより高くつくとは何事だ、という割高感もあります。

また、帰国後も各国のリスク状況により自主隔離が必須となります。

ワクチン接種によってこれらの繁雑な手続きがなくなるのは非常に魅力的です。

次に、頭数がカウントされないという利点。

ドイツでは新規感染者数に応じて州ごとに規制を設定していますが、

個人的な集まりの場合、○○世帯のうち○○人まで、というのがスタンダードです。

現状ハンブルクでは2世帯5人迄であれば室内でもプライベートで会うことが許されています。

ワクチンを接種すると、この世帯数の頭数から外れるので、現在のハンブルクのケースに当てはめると3世帯でも会うことが実質可能になります。

複数人と会う際には街中でシュネルテストという簡易検査が無料で受けられるため、その結果を持って自分を安心させてから遊びに行くという手段もあるのですが、

ワクチン接種済であればその心配も無用になります。

次に、施設利用の利点。

漸くドイツでもコンサートホールや大学施設等がオープンとなりましたが、

新規感染者数の推移によって利用条件が変わります。

先ほど述べたシュネルテストの結果が必要だったり、必要ではなかったり、予約が必須だったり、そうではなかったり。

これもほぼ毎週のペースで変化していくため、結局のところ今自分がどのテスト結果が必要なのか毎回調べる必要があります。

また、州によっても規制が異なるため、州をまたいで移動する際にも事前の確認が必要となりますが、ワクチン接種者はこの手続きがすべて免除となります。

これも自分の中では大きいです。シュネルテストが無料でどこでも受けられること自体喜ばしい制度ではあるのですが、やはり毎日大学の施設を利用しようと思うとかなり繁雑です。

そして最後に他の人に心配してもらわなくてよくなるため。

でもまあこれはほぼ後付けです。


そんなこんなで基本的には自分にとってリスクより利便性の方が大きかったから受けたという点が大きいです。

私は主治医のクリニックで医師に摂取してもらいましたが、ドイツでは今月初旬から16歳以上すべてがワクチン接種の対象となり、

かかりつけ医の他にテストセンター等でも接種が可能になります。

もちろん自己免疫疾患患者として以下の条件も重視しました。

主治医(膠原病内科)のクリニックで摂取可能だったこと。

血栓症等の心配がないバイオンテックのワクチンであったこと。

バイオンテックは一回目の副反応が他のワクチンに比べ少ないこと。

これらを判断材料に最終的に接種を決めましたが、直前まで正直すごいナーバスでした。


医師から説明を受け、もう一度服用している薬との相互反応の有無を確認し、同意書を書き、いざ接種。

ワクチンて、何mgか知りませんが、すごい少量に見えたんです。

透明の、わずかな小指の関節1つ分にも満たない、きらきらとした液体。

この液体を求めて全世界が開発競争に勤しんでいたのかと。

この液体を体内にとりこむことで、過去2年間のコロナのごたごたがチャラになるのかと。

人はこの液体さえあれば自分は自由になると信じているのだと。

なんだかすごい不思議な感情に襲われました。

でも、たった一瞬で摂取自体は終わってしまいました。


今は幸い特に大きなショックもなく、落ち着いて過ごしています。

日本でも、ワクチンの大規模接種が始まることでしょう。

そうしたら有無をいわさず、まわりのムードで、とりあえず私も受けるか、となるのかもしれません。

私の決断自体も結局のところそのベースがあってなされた気がします。(私の周りではワクチン反対派の人はほぼいません。)

Anyway,色々と考えすぎず無理せずにしばらくは安静に過ごしたいと思います。




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