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谷口吉生さんの建築を学ぶ旅
谷口吉生さんの建築は本当に美しい!
私は谷口吉生さんの建築を見て建築設計を目指しました。
谷口吉生さんの建築を学ぶために石川県へ!
石川県は谷口吉生さんが育った場所でもあるので谷口吉生さんが設計した建築がたくさんあります。
谷口吉生さんの建築について学ぶために石川県を旅することにしました。
鈴木大拙館
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金沢駅から徒歩20分程の場所にある鈴木大拙記念館です。
ここは、禅文化を世界に広めた仏教学者、鈴木大拙氏の記念館です。
建物はシンプルなデザインですが、納まりはとても美しく、研ぎ澄まされたデザインが特徴です。
水平ラインと垂直ラインが強調されている、カッコいい外観。
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床・壁・天井の境界がはっきりしているすっきりした内部空間。
余談ですが、この建物のデザインとアップルのiPhoneのデザインは少し似ている気がしました。
必要なものは最小限に抑えて余計なものは見せない。ガラスやステンレスなどの素材を活かしたデザイン。
おそらくアップルのスマホを谷口さんがデザインしていたら、爆発的に人気が出たんだろうなー。
話は戻りますが谷口さんのこだわりは腰壁にも施されています。
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腰壁の天端には真ん中の溝に向けて勾配がつけられています。
雨が降ってもこの溝に雨が通るようにすれば、外側が汚れないで済みます。
雨が流れる情景すら美しく見せる。
このあたりの細部へのこだわりが素晴らしいですね。
展示空間は主に3つあるのですが、それぞれが庭との繋がりが感じられるようになっています。
ここは学習空間から眺められる路地の庭です。
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こんな素敵な庭を眺めながら学習できたら存分に勉学の世界に浸れるでしょう笑
この記念館では展示室を回っている途中、外部に出ます。
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通路になっていて、目の前には大きな水盤があります。
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水盤の中にポツンと建っている寄棟の建物が気になるところです。
水盤の周りには手摺があるのですが、その手摺がきれいでした。細くてそれなのにビスも見えない。まるで糸のような手摺です!
水盤には周りにある木々や建物が反射して写っていました。水面が大きな鏡のようです。それで水鏡の庭なんですね。
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水盤の中に建っている寄棟の建物には椅子が置かれていて、思索ができるようになっています。
天井が高く吹抜けている空間で、私は椅子に腰掛けて物思いにふけってみました。
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ただ私の場合は周りの建物の納まりや目の前に広がる水鏡の美しさに見惚れて座ってられませんでしたが笑
展示室はこの建物を出て廊下を通れば出口となります。
建物を出た後は私の楽しみである外観の研究をするために、建物外周部をぐるぐる回ってみます。
この建物の外周部は自然の散歩道のようになっています。
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その道の途中に水鏡を囲っていた壁の開口部が見えます。
そこを通ると水鏡を見渡すことができるようになっています。ただ行き止まりで、その先には行けないようになっています。
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この行き止まりの道はおそらく建物の中に入ってみたいという願望を持たせるためにあるようにも感じます。
谷口吉生さんは設計することを楽しんでいる!
何を隠そうこの建物を訪れた自分がそう感じたので、きっとそうだと思います。
仕事をしていて大切なこと、それは楽しんで仕事をするということ。
私の仕事は建築の設計ですが、設計しているときや図面を考えながら書いているときは本当に楽しいです。
その気持ちは死ぬまで忘れたくないですね。
これが発見できたのも、この建築のおかげです。
金沢市立玉川図書館
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谷口吉生さんのお父さんである建築家の谷口吉郎氏と共に設計した図書館です。
外観は鋼板で覆われた四角い形をして閉鎖的に感じますが内部はとても開放的です。
この図書館は通り抜けができるようになっているんですね。
円形の開口部が開けられた緑色の鉄骨の梁が上部に見えているのが珍しく、とても魅力的な雰囲気なので逆に入ってみたくなります!
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この通り道のおかげで街とのつながりが生み出されています。
谷口吉生さんは建築に抜け道を設けていることが多いです。
この抜けがあることで街と一体となった建築になります。
内部はルーバー天井になっており、森の中のような木漏れ日が降り注ぐ空間になっています。
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この図書館には谷口吉生さんの建築の特徴でもあるブリッジが設けられていることに気づきました。
内部空間には遊具のように置かれたブリッジを渡るとドラマチックな空間体験ができます。
このブリッジはのちに設計されたつくばカピオや丸亀市猪熊弦一郎美術館などでも見ることができます。
訪れれば訪れるほど谷口吉生さんの建築の面白さに気づきます。
谷口吉生記念館
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金沢にある谷口吉生さんとその父である吉郎さんの記念館。
計画段階から楽しみで待ちわびていたので、やっと訪れた時は本当に感動しました!
金沢駅から歩くには少し遠い場所にありますが、その距離が私にとっては逆にワクワク感を高めてくれます。
記念館の姿を目にした時、ファンであればすぐに谷口吉生さんの建築であることがわかります。
純粋幾何学体を用いたカタチと暖色の花崗岩が印象的です。
谷口吉生さんの作品の特徴は、一歩敷地内に入ると心が引き締まるような感覚が味わえるところです。心が落ち着き、余計なことを考えず、静かに作品と向き合える空間です。
物に溢れた現代社会では、中々味わえない非日常空間へ連れて行ってくれるところが何より素晴らしい。
エントランスはメタリックパネルで覆われていて、新しさが際立っている空間です。
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美術館や記念館は古い・昔っぽい雰囲気になりがちですが、このメタリックなパネル効果もあり、若い人達も訪れやすい雰囲気となっているように感じます。
エントランスの風除室を抜けると、暖色の花崗岩とガラスで囲まれた明るくて爽やかなロビー空間が現れます。
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まるでホテルにでも来たときのような美しさに感銘を受けます。ここは入場券売場・ミュージアムショップになっています。
ミュージアムショップには、ここでしか買えない谷口さんの書籍もたくさんあるので楽しみの一つです。
私が長年探していた谷口吉生さんの「私の履歴書」という本はここで購入できました。
展示スペースへ進むとまず初めに吹抜けのあるホール空間が現れます。
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トップライトが壁際にあり、そこから光が壁を伝って降り注ぐ設計手法は、谷口さんの作品では多く用いられています。
これは谷口吉生さんの建築を見る楽しみの一つです。
ホール空間には、上下階を結ぶ階段が設けられています。ホールの吹抜けが上下階を立体的に繋ぐ装置となっているところも素敵ですね。
2階では和室の広間と茶室が出迎えてくれます。和室の広間と茶室の前には人工の水盤があり、目の前にある木々が街並みを見せない目隠しのような役割を果たしています。
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静寂を映し出す、ここだけの特別なひとときが楽しめます。
優れた建築素材と、徹底的に納まりが考えられた日本の伝統空間を味わうことで、日本建築の質の高さが理解できます。
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ここまで徹底した納まりを見れば、設計者だったら感じることが絶対あるでしょう!この空間には一切の妥協がありません。
建築家の谷口吉生さんは、図面を徹底して書くことで知られています。
現場監督や職人の方々は、谷口吉生さんの図面を見た瞬間、緊張が走るでしょう。ここまで書いてくれているのだから失敗は許されないと!
私も同じ建築の設計として、納まりを徹底して考えていきたいと感じています。
本当にどこからみても美しく納まっていて、惚れ惚れします。
ちなみにホールに置いてあるテーブルや椅子は谷口吉生さんがデザインされたとのことです。
まさに空間にふさわしい家具です!
内部をじっくりと堪能した後は、外部のデザインを研究しにいくのが私の楽しみでもあります。裏側に回って帰ることにしました。
この建物の裏側は建物基礎一体?と思われる擁壁になっていて、そちらからも建物にアプローチできるよう外部階段が設けられています。
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これぞ谷口吉生さん建築の醍醐味です!
自然の地形と一体化されているだけでなく、アプローチもできるという周りのことを考えた計画となっています。
デザインだけでなく計画も含めて全てが細部まで考えられているところが、谷口吉生さんの素晴らしいところです!
加賀片山津温泉総湯
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ガラスパネルに映るのは目の前に広がる青い空、白い雲。
目の前に広がる自然を映し出す鏡のような美しさ。
この建築は2枚のガラスの壁をずらして配置し、その間に空間をつくっています。
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この建築手法は、香川県にある東山魁夷せとうち美術館と同じつくりかたをしています。
作りを見てみると、ずらされた2枚のガラスの壁の先端部分に温泉の空間を配置しているんですね。
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一つは目の前に広がる潟に向かって開かれた温泉空間。
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もう一つは人工的に森をつくり出してそこに向けて開かれた温泉空間。
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日によって温泉空間が男湯・女湯と入れ替わるようになっていて、よく考えられているなー♪と感じます。
私がこの建築をジロジロみていると、「あなたはこの建築に詳しいんですか?」と知らないおじいさんに声をかけられました。
するとその方に、
「この建物は脱衣所が狭いんだよね。もう少し広くして欲しかったんだ。」
「木を植えるのもわかるけど、毎回水面を見ながら風呂に入りたかったんだよな。」
…なるほど、貴重な意見をもらいました。。
この意見は私が建築を設計する時の貴重な意見として取っておこうと思います。。。
本当にこの建築は周囲と一体化しているのがよくわかります。
空からこの建築を撮影した写真を見ると、まるで最初からこの土地に埋まっていたかのようにも思えます。
この建築の素晴らしいところは、美しいだけでなく、気軽に立ち寄ることができるところです。
観光に来た人もふらっと立ち寄り、温泉に入ったりカフェで飲食できるところがいいですね。
まとめ
石川県には谷口吉生さんの建築作品が合計4つありました。
この4作品を見れたことで谷口吉生さんの建築作品の特徴について学ぶことができただけでなく、建築のつくり方を教えてくれた気がします。
日本全国には谷口吉生さんの設計した建築がたくさんあります。
海外にもいくつか谷口吉生さんの設計した建築があるのでいつか見に行きたいと思います。
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