深夜特急5 トルコ・ギリシャ・地中海 第13章 使者として トルコ
気になるキーワード
「急げ!出てしまうぞ」 「走れ!」 交渉擦れの嫌悪感 外界にたいする途方もない無関心の眼をした子供 好奇心の摩耗 倹約強迫症 胸の奥の小さな痛み あらゆることにつましくなってしまった 金を使うことに臆病になっていた イランとトルコの国境がアジアンハイウェイの最終地点 アジアが終わる アララト山 国境のトイレに行かなかった後悔 ヨーロッパハイウェイ 便意の風雲 間歇的便意 料金を値切ってしまった罰 木賃宿 禅 Being on the road オリーブ油責め ガイドブックは持ってきていない ルメリアとアナトリア 汚れの目立たない臙脂色 シミを作る側 ジャポン 相手を喜ばす嘘 異国にいることに痛感する カードゲームの老人 東郷元帥 トルコと日本は仲間 非喜劇 糠喜び 写真を撮ること=情熱とエネルギーが必要 石を投げることは難しい 好意に身を委ねる 臨時の写真屋の撮影大会 お金のメモリー 深夜便で来たことの後悔 知悉 毎日が祭りのような日々だった香港 何かを失うことなしに前に進むことはできない 海があるだけで日本に近づいているようだ オリエント・エクスプレスの終着駅
旅の軌跡
香港→マカオ→香港→バンコク→チュンポーン→ソンクラー→ハジャイ→バターワース→ペナン→バターワース→クアラルンプール→マラッカ→ジョホールバル→シンガポール→カルカッタ→キウル→ガヤ→ブッダガヤ→パトナ→ラクソール→ビルガンジ→カトマンズ→ビルガンジ→ラクソール→パトナ→ベナレス→サトナ→カジュラホ→ジャンシー→デリー→アムリトサル→ラホール→ラワルピンディ→タクシラ→ペシャワール→カイバル峠→ジャララバード→カブール→カンダハル→ヘラート→イスラムカラー→カルカレフ→テヘラン→シラーズ→ペルセポリス→イスファハン→テヘラン→コム→バザルガン→エルズルム→トラブゾン→アンカラ→サムスン→イスタンブール
いよいよイランを抜けてトルコに向かうことになる主人公。
今までの圧倒的にうるさいバスとは違い生活バスなのか静かだった。
乗っているのは多くはイラン人だが、外国人はアメリカ人、ヒッピー風フランス人家族、出稼ぎスリランカ人。
印象的なのはヒッピー風フランス人風の間の子供で7、8歳ぐらいだが、ここにいるということは学校に通っていないということか。
表情は、外に対しての途方もない無関心を表し、
本来人間が持っている好奇心を摩耗させてしまったのではないかと主人公は考えた。
子供から好奇心がなくなるなんて、これほど不幸なことはないのではないだろうか?
イランとトルコの国境に着き、アジアの終わりを実感する。
ついにヨーロッパ圏に入るのだ。
ここで主人公はあるミスをする。
トイレを済ませなかったのだ。
途中途中で街を抜けるがどこにも止まらず一気に目的地であるエルズルムまで行くという。
便意ほどどうにもならないものはない。
自分だったら絶望するだろう。
やっとの事で着いたエルズルムでは降車は主人公だけ。
しかもかなり寂しい街で、返してもらった荷物はガソリンくさく
トイレ問題も解決していないので、宿が見つかるまでまだまだ安心できない。
宿が少年の好意で見つかりトイレに駆け込んだ後、
ドミトリーでドイツ人二人と話をする。
この二人はまだ好奇心が摩耗していない。
カードゲームの老人からチャイをご馳走になる。
代金を払おうとすると周りのものの一緒になって受け取れないという。
人の温かさだ。
ヨーロッパの寒さは気候的な寒さでなく、宿に帰った時の誰もいない寂しさが寒いと
他の旅人から聞いていたが、ここでは寒くなかったようだ。
場面は変わって、水面に石を投げて何度か跳ねさせる遊びを少年に見せて少年もやろうとしたが、
投げること自体がぎこちなく、野球が普及していない国では投げることは意外と難しいことに気付く。
また別の青年とも出会い、
なんでも親切にしてくれて別れ際に礼をしたく何が欲しいか尋ねらたマネーが欲しいという。
なんだと一瞬がっかりしたが、欲しいものは現地トルコにお金ではなく、日本のお金が欲しかったようだ。
それが「メモリー」とのことだ。
全ての出会いにおいて、トルコでは親切にしてくれていた。
ところが主人公は今までの修羅場のような旅の経験から
素直にその親切を受けられなくなっていたのではないか?
これは旅における負の遺産だ。
スレて警戒するのは身を守る上では大切だが、
本当の親切まで遮っては大事なものを失ってしまう。
主人公は香港での九龍↔香港島のフェリーを「60セントの豪華な航海」と呼び、ここトルコのイスタンブールでのフェリーボスポラス海峡のフェリーを「5リラ50クルシュの優雅な航海」と呼んだ。
旅をしていると不思議な既視感を何度か体験することがある。
主人公はこのあと、ギリシアに入る。
深夜特急5 トルコ・ギリシャ・地中海 第14章 客人志願 ギリシャ に続く
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