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ギターリペア初心者のジャンクギター再生 二年目

コロナ禍をきっかけにフリマアプリやネット通販でギターを買うようになった。実物を確認せずに購入すると、やはりどうしてもコンディションに難があるギターが届いてしまうことがある。しかしネットでギターを買うのは便利だし楽しい。そこで二年くらい前から「買ったギターに不具合があったらある程度自分で直せるようにすること」を目指して、ジャンクギター再生を通じてギターリペアの技術を身につけようと考えた。

ジャンクギター再生に取り組んで最初の一年間は手探りな部分が多く、今振り返ってみると危ういリペアをしていたように見える。そこからさらにジャンクギター再生に取り組んで一年間が過ぎたので、どのような進歩があったのか振り返ってみたいと思う。

状態の良いジャンクギターが届いてしまう問題

最近はなかなか街中のリサイクルショップで安いジャンクギターを入手するのが難しいので、練習用のジャンクギターも専らネットで購入している。写真や説明を見て、適度に状態が悪そうなジャンクギターを選んで購入するのだが、意外とコンディションが良いギターが届いてしまうことが時々ある。

一年前に直したAnboyも、写真で見る限りでは状態が悪そうなギターだったのだが分解してクリーニングしただけで、調整せずともただの弾きやすいギターに戻ってしまった。分解してクリーニングして組み立てるだけでも練習としては成立するし学びもあるのだが、多少消化不良感があるのも事実だ。

当初の目的と完全に逆行しているが、最近は届いたギターのコンディションが悪ければ悪いほど、高い満足感を得られるようになってきている。

ネックのリペアに関する苦手意識

コンディションが悪いほど満足感があると書いたが、一方で最も危惧してきたのがネックのコンディションだ。トラスロッドが効かないひどい反りや捩れに対しては当時なす術がなく、自分のリペアスキルの限界を感じるところであった。

こちらのギターはネックの反りがひどく、同時にフレットも擦り合わせを躊躇する程度に低かったため、満足できる状態まで演奏性を復元する事ができなかった。そんなこともあり、この一年間も前半の半年間はネックのリペアに関する限界、苦手意識を持ち続けていた。

フレット擦り合わせの妥協に関する反省

フレットのすり合わせに関しては大分要領がわかってきた感覚があり、この一年間でも何本か擦り合わせを行った。擦り合わせの効果は大きく、丁寧にしっかりチェックしながら擦り合わせをすると、ジャンクギターでも十分に弦高を下げて快適に弾ける状態を作る事ができるということを学んできた。

同時に擦り合わせの作業は面倒臭く時間のかかる作業でもあり、同時に不必要に実施をしてしまうとフレットの寿命を減らすことになってしまう。そういったこともあり、擦り合わせを行うか迷って結果的に省略したケースが何度かあった。

迷った挙句(あるいは細かくチェックをせずに)擦り合わせを省略すると、大抵組み込んで調整をしている段階で弦高や音の響きで妥協せざるを得ない状況になり仕上がりに大きな影響が出る。そして、やはりやっておけばよかったと後悔する。今後はここに関しては妥協しないようにしていきたい。(まあ時間さえあれば、組み立てた後でさらにそこから擦り合わせをやれば良いだけの話ではあるのだが)

ナット交換というチャレンジ

この一年間のリペアの作業で最も大きな出来事は初めてのナット交換作業だった。

この作業が予想外にうまくいったことで、上述のネックのリペアに関する苦手意識が緩和された。同時に、この作業のために工具を充実させたことで後述する次のチャレンジに対するハードルが低くなった。

指板調整、リフレットというチャレンジ

ナット交換をできるという自信と、工具が揃ったことで指板調整とリフレットという新しいチャレンジを行うことにした。

実は一本、購入したは良いもののネックの状態があまりに悪過ぎて手をつけられず一年以上放置していたギターがあったのだが、ようやくそのギターのリペアに着手する決心がついた。なかなか時間が取れずゆっくりとしたペースで作業を続行中だが、トラスロッドで修正できない反りがあるネックを指板修正とリフレットによって回復させるという作業に取り組んでいる。うまくいくかはまだわからないが、一年前は想像していなかった新しい挑戦なので楽しい。

ジャンクギターリペアの経験が活かされたケース

この一年間はコンディションの悪いギターのリペア以外でも、ジャンクギター修理によって得られた経験と自信が活かされるケースが度々あった。

ワイヤレストランスミッターを取り付けられるようにジャックを改造

Ibanez AZ224Fのジャック部分の改造は、実益という点で自分にとって大きく意味のある作業になった。ジャンクギター修理によって得られた経験と自信があったからこそ、ジャック部分を改造しようというアイデアが出て、実際に問題なく作業を完了できた。

ハイエンドギターでも不調の原因を調べて直す

ギターリペアを通じてギターの構造がわかったことで、不調の原因や対処法が多少わかるようになった。そして、残念なことではあるがハイエンドギターの中にも造りや組み込みで問題が起きているケースを自分で見つけられるようになり、同時に自分で直せる範囲であれば直せるようになった。

怪我に関する反省と懸念

この一年間作業をしている中で、何度か軽い腱鞘炎を起こしてしまう事があった。作業でパーツを押さえる際などに長時間無駄な力を入れ続けてしまうのが原因だと思う。また、腰痛や肩こりが悪化することも度々あり、ギターの演奏だけでなく日常生活に支障が出ることもあった。

リペアで腱鞘炎や腰痛になってギターを弾けなくなってしまっては本末転倒なので、この点については最大限注意していきたいと思う。

良い工具・姿勢で無理なく作業することの重要性

腱鞘炎や肩こり、腰痛の原因が無理な姿勢、力の入れ過ぎにあったのは自明だが、そもそも無理な姿勢や力の入れ過ぎが発生してしまう原因は「横着さ」にあったと思う。ちゃんとした工具を使わずに、大体の工具でなんとかしてしまおうとしたり、ギターや自分の位置を移動するのが面倒でそのまま作業をしてしまったり、というところから上述の問題が生まれてしまった。

姿勢については横着をしないことを心がけるだけだが、工具については今後もちゃんと投資をしていきたいと思う。良い工具は身体的な負担を減らしてくれるだけでなく、時間と労力の節約にもなるし仕上がりにも大きく影響するということを、この一年間の作業でも改めて感じた。

結論

ジャンクギター再生をまた一年続けて、着実にギターのリペアに対する理解と自信は深まったと思う。やれることの幅も増え、今まで以上に楽しめるようになってきた。手持ちのギターも、自分自身でより快適な状態に調整・修正して楽しめるようになってきたので、ギターという趣味を以前よりも楽しめるようになってきたと思う。今後も怪我には気をつけつつ、ジャンクギター再生を楽しんでいきたい。

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