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#96 おかげ犬

前回の記事で
人間以外もお伊勢参りを行ったと
最後に書き残したのですが
その正体は『犬』でした。

伊勢参りをする犬を
『おかげ犬』と呼び
首に巻いたしめ縄に、路銀を入れた巾着を付け
「伊勢参りをする」と書いた紙をくくりつけて
伊勢まで旅をしていたのです。

なぜ犬がお伊勢参りをしたかというと
病気や歳で伊勢まで行くのが
困難な主人の代わりに
他の人と一緒に連れて行ってもらうい
自分の代わりにお参りしてもらうため
という理由でした。

そのため「おかげ犬」は
同じ伊勢を目指す人と並んで歩いているのが
本来の有り様でした。

しかし、
伊勢参りが大ブームになった
1700年後半
1771年に伊勢神宮の上方から
犬が単独で参宮したという話が舞い込んできたのです。

フィクションかと思いますよね。

しかし当時は、犬は四つ足の獣で、
穢れた存在とも言われていたため、
当然宮司さんたちも宮中に犬が立ち入ることを
固く禁じていました。

ただ、その犬に限っては
あまりにも丁寧な佇まいであったため
これを見た宮司は犬を労り抱えて、
お祓いした後お札を付けて放してあげたとされています。

放してもらった後、その犬は
伊勢神宮の外宮へ赴き手洗場で水を飲み、
本宮前の広場で伏せをし、
本当に拝礼するかのような格好をしたと言われています。

伊勢神宮へとたどり着いた
「おかげ犬」は、伊勢神宮の宮司さんから竹筒に入ったお札を貰い、
再び色々な人から助けてもらいながら、
ご主人の元まで無事に帰ったと言われています。

お伊勢参りに行く人を助ける善意は徳が積める話は
前回しましたよね?
その対象は人間だけではなく犬もだったそうで
おかげ犬も色々な人に助けられて
伊勢神宮を参りご主人の元へと帰ることができたのでしょう。

江戸時代にどれだけの「おかげ犬」が誕生したかは分かりませんが、
、江戸時代の浮世絵師である歌川広重の
伊勢参宮宮川渡しの図東海道五十三次 四日市には
所々にしめ縄をつけた犬が描かれています。
多分この犬こそ『おかげ犬』なのでは
ないでしょうか?

おかげ犬については有名な実話があります。
秋田犬シロというわんこのお話です。

福島県須賀川市十念寺には、
お伊勢参りを無事に果たした代参犬、
「シロ」という犬にまつわる犬塚が存在します。

「シロ」の犬種は秋田犬で、
福島県で代々床屋を営んでいた市原家は、
それはそれは大事に飼っていた犬でした。

市原家では毎年当主の綱稠(つなしげ)氏が、
皇大神宮(内宮)神楽祭りに参拝するのが通例だったそうなのですが、
ある年の事、当主が病気を患ってしまい、
お伊勢参りに行けなくなってしまったとか。

そこでどうしたものかとみんなで相談をしたところ、
普段から人の言葉を理解でき、買い物や用事をこなしてきた
「シロ」に代参をさせようということが決まりました。

「シロ」の首には、事前に道順とお金、
『人の言葉を理解するので道順を教えてあげてください、
『「シロ」を助けてあげてください。』と書いた紙を袋に入れて持たせ、
伊勢神宮へと向かわせました。

市原家の人々は須賀川宿の外れまで「シロ」を見送り、
その後は朝晩神棚に行灯を挙げ無事を祈ったと言います。

そして「シロ」は、市原家の期待に応えるように、
奥州街道を下って江戸に入り、
東海道~四日市市経由で伊勢神宮へ赴き、
2カ月という長い月日を経て、無事に市原家まで帰ってきたのでした。

行きで持たせた袋の中には、
しっかりと内宮で頂いたお札と、
奉納金の受領、食べ物の代金を記した帳面とお金の残りが
あったと伝えられています。

https://www.inutome.jp/c/column_12-37-42931.html

いや〜
本当にすごいですね。
優れた帰巣本能がある犬だからこそできたお話です。
猫だったらどうだったのでしょうか笑
猫も一応帰巣本能あるんですけどね。

現在伊勢では
『おかげ犬サブレ』など
おかげ犬をモチーフにしたお土産も売っています。
地元で商売しているからわかっていることですが
おかげ犬サブレを製造販売しているのは
『赤福』です笑

日持ちするお菓子なので
ぜひ会社の人たち用のお土産に!

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