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ゴミ収集の仕事をしていた頃

4年前には熊本市のゴミ収集の会社で、パッカー車というゴミ収集の車にゴミステーションに集まったゴミ袋を投げ入れる仕事をしていた。その仕事の途中の出来事。

熊本市内でゴミの収集をしていたら、
通りすがりにクラクションを鳴らす車があった。
それは同じ会社に勤めている中国人の人だった。
えらくピカピカの車に乗っているので、
最初は気が付かず、一緒に回っている人から教えられた。

彼は週末と毎週水曜日は休みになっているのだが、
それは熊本市が毎週水曜日は紙ゴミの日といって、
新聞や段ボールなどのゴミを出す日になっているので、
その日には会社の仕事は休んで、
各地のゴミステーションを回って、
古紙を集め、買い取り業者に売りに行っているのだ。

今熊本市では、古紙は、1キログラムあたり、
17円から19円程度で再生業者が買い取ってくれる。
限界まで軽トラに新聞や段ボールを積むと、
一度に2万円程度の値が付き、
一日に数往復すると10万円くらいの売り上げになる。

中国人くんは会社から、
通勤用にと軽トラを借りていて、
普段は仕事としてゴミステーションの場所や、
再生業者の場所を覚え、
水曜日には休みをとって、
会社の車を使って古紙の回収をして、
個人的にアルバイトをしているのである。

ゴミステーションに出されたゴミは、
一応熊本市の所有物ということになるので、
勝手にゴミステーションからゴミを持ち出すと、
厳密に言えば窃盗罪に問われることになるらしい。

それでも中国人の廃品回収業者は、
おかまいなしに古紙を集めて回る。
もちろん全てが中国人ではないが、
中国人や韓国人の人が多いらしい。
もちろん日本国籍の業者もいるだろう。

なので朝、回収のために、
回収エリアに車で移動していると、
あちこちにたくさん積まれている紙ゴミが、
午後にステーションを回ると、
ほとんどなくなっていることもよくある。

ついでに言えば月に二回は資源ゴミといって、
ビン缶などの収集日があり、
これは地区によって曜日が違うので、
ほぼ毎日どこかの地区でビン缶ゴミが出されている。

アルミ缶は古紙よりも買取価格が高いので、
アルミ缶を集めて回る廃品回収業者も多い。
これも厳密に言えば犯罪になる。

ちなみにアルミ缶はちゃんと分別してあれば、
今なら1キロ35円くらいの値がつくはずだ。
そうやって地道にゴミを集めて回れば、
ピカピカの車が買えるくらいの収入にはなる。

「すごいですね」と僕が感心すると、
「でもやってることは泥棒やけんね」と、
会社の人は中国人くんには批判的である。

でも彼らを通報するようなことはないし、
一緒に仕事していても、
あからさまに蔑視しているわけでもなく、
彼らはわりに寛容な待遇を受けて日本で暮らしている。

ちなみにこれは僕の住んでいる地区のゴミカレンダー、
平日にはほぼ毎日何かのゴミが収集されている。
盆でも正月でも、
家庭からゴミが出ないということはないので、
ゴミ収集というのは、
ある意味食いっぱぐれのない商売だ。

新しい業種の仕事に就くと、
今まで知らなかったことを知ることができて、
面白いし勉強にもなる。

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